
今年は啓蟄が終わっても寒く、梅の開花も遅れていました。
桜に比べると、意識しないとああ咲いていたなというような存在ですが、その香りはなかなか心地よく、和ませてくれます。先日友人たちと、古い社寺を訪問している際にも梅が咲き誇っていました。
3月は卒業、別れの季節で懐かしくも寂しい思い出も甦り、心によぎります。
三寒四温で、寒い日と温かい日が往きあいながら、春と呼べる季節になっていくのでしょう。
明日が3月11日ということで、思い入れの深い日になります。齢65になった私です。年度が替わる前、最後の月、今年度は多くの同級生、同期入社だった人がほぼ65歳を迎えてまた人生の区切りとなった年かもしれません。
定年が70歳以上や自営などの方もおられますが、早い方で60歳、65歳の誕生月や今年度には延長した雇用も定年を迎えておられる方が多いとは聞きます。
花が早く咲いたり、見事に咲き誇り早く散るのもあれば、遅咲きのものもあれば、蕾が膨らんで咲くや否や風に飛ばされる場合もあります。それでも、それぞれは何も他と比べ、妬みことも焦ることもなく、香っているのです。人もまた、そうで他人と比べ何が幸福、何が正しいなどはないのです。大会社で長く勤めても、役所や大学で高度な職についても、商売で大儲けしても、人の一生など、川に流れる花びらのような儚くうつろうものです。
そんな花に鳥や蝶が集まり、それをまた夢幻のように見ている人がいます。来世とは言わず、明日の朝、目が覚めると人間であったことを夢見ていた蝶か、鳥か、鯉になっているのかもしれません。
得たものが多ければ、失うものも多い。前に進んだ距離が長ければ。元に戻る距離も長く寂しくなる。最後はいったん無に帰るのです。だから、人生に正しいとか間違いとかはないのです。気楽に、少しだけがんばっていきましょう。