
メジャーリーグの公式戦の開幕試合が日本で行わわれ、かつ日本人選手同士が開幕投手を務め、日本人のスラッガーが双方のスタメンに名を連ねていました。そして、テレビを見た人がそのCMの多さと、そのほとんどが他業種にまたがる大谷翔平さんがらみという驚きの構図で、見た人はもはや洗脳されるようなここ2日間の試合中継でした。
東京ドームにはいったいどのような特権階級の人が行けるのかとか、いったいどれだけのお金がアメリカ、主催者、MLBや、グッズ関連業者、放送局に流れていくのか、相対的貧困な立場を忘れさせ、庶民はただ一喜一憂のプレイに酔うだけの感じでした。
公式戦しかも開幕の人気カードを米本土以外で行うというのは、本来禁じ手とも言える、興行優先の選手コンデションも考えない、地元無視な営業です。それでも日米を往復して十分大儲けして帰国の途につくのでしょう。それだけ、日本はMLBの美味しいマーケットなのでしょう。米国内ではバスケ、アメフト、アイスホッケーが強く、サッカーも上昇してきて野球は独占的人気ナンバー1スポーツではありませんから、日本のMLB人気は大助かりなのでしょう。
確かに大谷翔平選手の身体能力と実力、スター性は群を抜いていてけなすところが見つからないほどです。体格とパワーでアメリカ人に負けない日本人は戦後75年のして、日本人が抱いていた敗戦のコンプレックスを払拭するものです。
1949年という75年ほど前、戦争が終わって焼け野原から復興しはじめたばかりのサンフランシスコシールズというチームが来日して日本で日米野球が開催されています。主目的は、GHQの米国人とその家族の慰問だったそうですが、国賓級の扱いで日本中は沸き返ったそうです。3Aのチームですが、当時アメリカの事情もわからない日本人は大リーグと思いこみ、田中絹代さんら日本のトップ女優さんらもお出迎え、オープンカーを連ねて京浜国道―銀座へパレードしたそうです。各地で数万人の観衆を集めましたが、日本のできたばかりのプロ球団は0勝6敗で惨敗し、一般もアメリカの強さを感じる中、プロ野球関係者はシールズがアメリカの大リーグの下部リーグの7位と知り絶望するとともに、本格的にスカウトや2リーグ制などの今のNPBにつながるリーグの創設を研究し始めだしたそうです。
テレビの本放送が1953年でまだその後です。コンテンツとしては日本がアメリカにチームとしては大差をつけられる野球よりも、日本人がアメリカ人を打ちのめすプロレスの方が初期のテレビではわかりやすく人気が出ました、敗戦で自信を失っていた日本人には、さらに米国との差を見せつけられるよりも、嘘くさくても力道山が空手チョップで外国人を打倒する姿が勇気づけになったのでしょう。
もちろん、その後、高校野球もプロ野球も人気コンテンツに上昇します。日本人メジャーなど夢の夢だった時代から、一人また一人と階段を上るように挑戦者が現われます。
テレビが当たり前に普及して、ネットも進化して情報はあっという間に早く伝わる時代になりました。アメリカのメジャーリーグを現地とほぼリアルに把握する人もいます。プロレスのハッタリの興行や、3Aを大リーグと誤解させるようなやり方は通用しない時代です。
とは言え、WBCをはじめ、今回のメジャー開幕戦含め、溢れかえる情報操作は、昔のようなデマではないのせよ、洗脳的な強調傾向はあります。日本人は、いろいろ政治や税金などに文句を言いながらも、高額なチケットやユニフォーム、グッズを買うカモに見られているのも事実なのです。
相対的貧困から逃れるには、大衆的洗脳に乗せらないことです。