65歳から夜間学校に通う勇気に感動

 
 花粉症で目がかゆいので、「少年と犬」は涙出そうなので避けたつもりが、かえって泣ける映画を観てしまいました。
 【以下、ストーリーネタバレあり】
 笑福亭鶴瓶さんと原田知世さんが夫婦役を演じ、最愛の妻にラブレターを書くため文字の勉強に奮闘する読み書きできない夫と、彼を長年支え続けた妻の人生をつづったヒューマンドラマ。2003年に朝日新聞で紹介され、創作落語にもなるなど話題を集めた実話をもとに映画化されたものです。

 戦時中に生まれて十分な教育をうけることができず、文字の読み書きができない65歳の西畑保と、いつも彼のそばにいる最愛の妻・皎子(きょうこ)。貧しい家に生まれ、ほとんど学校に通えないまま大人になった保は、満足な就職もできず虐められ生きづらい日々を過ごしてきた。やがて皎子と運命的な出会いを果たし結婚するが、その幸せを手放したくないばかりに、読み書きできないことを彼女に打ち明けられずにいました。半年後、ついに事実が露見し別れを覚悟する保だったが、皎子は彼の手をとり「今日から私があなたの手になる」と告げます。どんな時も寄り添い支えてくれた皎子に感謝の手紙を書きたいと思った保は、定年退職を機に夜間中学に通いはじめるます。
 古い町並み、平城京跡、奈良公園と美しいロケーションが、感動の物語を彩ります。

 重岡大毅さんと上白石萌音さんが若き日の保と皎子をそれぞれ演じ、夜間学校の教師に安田顕さん、保を雇い入れる寿司屋に笹野高史さんも好演。江口のりこ、くわばたりえが脇で共演し、塚本連平監督が脚本も手がけたました。

 鶴瓶さんやはりいい味を出していますし、重岡くんの純朴さもさもありなんです。昭和から平成のロケは案外、ツッコミやすく難しいのと、苦労はしてもあんなに出来過ぎた奥さんに巡り合えるのには一番羨ましくツッコミたくはなるのは令和の映画なのでしかたないところです。

 それでも、何の学もない65歳が夜間学校でひらがな、カタカナから20年かけて学ぶ姿というのは、素晴らしいという言葉ではいいつくせないこみ上げてくるような感動的な姿です。目的はどうあれ、生半可ではできないでしょう。逆に65歳からもう一度人生の2周目を生きられたのですから羨ましいほどの幸運かもしれません。世間の多くがリタイアしてのうのうと暮らしたり、過去の栄光にひたりながらも老いの不安にさいなまれる時、人間はいつからでもリセットして学び直せるのだということを証明してくれています。

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