ETC障害 デジタル化の闇

 4月6日未明に発生したNEXCO中日本のETCシステム障害は、7日の午後2時にETCによる料金収受を再開するまでに約38時間を要しました。
 復旧に手間取り、物流やビジネス、観光などにも大きな影響が出ました。課金システムの更新上の不具合で破損したデータが広域に広がったそうですが、あってはならない大きな障害です。優秀なはずのシステムが案外脆弱な面もあることがわかりました。
 私も今はまれにしか長距離の運転はしないのですが、企業や公的機関で運転する時、ガソリンカードとともにETCカードは便利で使わせてもらい、管理もしっかりしないといけませんでした。導入の頃は車載器が高いとか、割引ですぐ元が取れるとかいろいろ物議もかもしていましたが、いつの間にか今や97%の普及率で、ETC専用のインターも増えています。だからこそこういう障害はあってはいけない悪夢です。
 デジタル化が普及すればするほど、自然災害で電源や電波が来なくなることも脅威ですし、何ら原因のわかりにくい障害も不気味で自然災害と同等の怖さがあります。

 もう一つ、心配というより課題を上げれば、日本のガラパゴス的進化でオーバースペックになっていてお金がかかり過ぎる点です。
 複雑ゆえにシンプルに回復するという対応ができない点も問題です。日本のような大きなゲートを構えて課金のシステムを構築している国はそんなにありません。
 今、駐車場でナンバーを読み取って自動的に課金できるようなシステムを導入しているところも増えています。
 ETCカードの車載器も、インターの設備も実は要らないというのは、あながちデマでも都市伝説でもありません。
 確かにセキュリティがしっかりしていて、悪用されないとかいうこともあるのでしょうが、マイナンバーカードと読み取り機でもそうなのですが、多額の導入初期費用、過剰な設備がいかにも業者とお役所が結びついた日本のやり方です。

 国土交通省、元運輸相と建設省、いわゆるゼネコンといわれる土建や港湾、運輸がらみの利権が多いのは誰もが印象を持つところです。ガソリンの暫定税率も道路族議員や地方自治体、建設業界にとって、この税収は「既得権」として強く根付いています。道路整備やインフラ事業は、地域経済に直結しやすく、政治家にとっては票と支持の基盤となるものです。
 ETCのセットアップ事業などを牛耳る財団法人「道路システム高度化推進機構」(ORSE)というところがあり、国交省の重要な天下り先と言われています。ETCのセットアップ1台ごとに高速道路会社から何百円かを受け取ります。これが年間計十数億円に上り、車載器メーカーやETCカードを作るクレジットカード会社からもやはり年間同じように集金されるお金があります。
 濡れ手に粟みたいな儲けの財団と役所です。メーカーなども公的な仕事は安定してお金が入るので献金しても止められない美味しい仕事ですが、基本的に原価があり労働力も要る仕事なのですが、こういった財団が儲かるのは税金がどう使われるとかいう以前に、お金が巻き上げられる構造です。
 財団役員には国交省や経産省の役人が理事としてずらりと並ぶ、ETCレーンの現場の障害でお詫びするなどどこ吹く風で、多額の退職金を得るま出なをつらねていくのです。
 日本のデジタル化はすぐれた文化でもあるのですが、競争のない独占の公的機関で結局、こんな弛んだ事故が起こり、物流費を圧迫するガソリン代、高速料金が高いままなのです。
 ETCなど、本来クルマのナンバーや貼り付けたQRコードのようなものを読めばコストの安く済みシステムはいくらでもできるはずです。
 目に見えてお金を取られるお米の値上げのようには批判はされない高速料金ですが、本来は償還が終わったらタダにする約束で徴収していたものです。今まで払い続けていた習慣なので誰も文句を言わないですし、ETCならもう気にもせず祓い続けています。
 本当ば高速道路も償還が終わり、無料にしてしまえば、物流費もそれに関連する物価も劇的に安くなり、個人のフトコロも潤い、日本の景気は良くなります。
 伸びないという日本の多くない所得が、本来節約できる高速料金に支払い続けて実質の可処分額はさらに減っている。この悪質な構造、澱んだ組織、本当に何とかならないモノかと思います。

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