
北陸新幹線の敦賀以降、新大阪延伸が厳しい情勢のようです。
整備新幹線の着工はJRとは言え、強靭な国土軸を作る国策です。国がリーダーシップを持って、早急にやるやらないを決め、住民に十分な説明をすべきです。
【経緯と課題】 北陸新幹線新大阪延伸、すでに8年前、小浜・京都ルートに決定した時の図で、この後昨年詳細、京都~新大阪も松井山手経由の南ルートになりました。

舞鶴ルートは予算も工期、採算性も難しく、米原ルートも予算や工期は最少ですみますが、技術的、ダイヤ的にも技術的にも東海道新幹線乗り入れも難しく、並行在来線問題もあり、最終的には小浜ルートが選ばれました。
しかし、京都市や京都府北部の水や環境問題で 「千年の愚行」と罵った仏教会はじめ市民の猛反発にもあい、京都市内のルートも昨年度中には決まらず、石川あたりからも小浜のハシゴを外すように、米原ルート再考を求める声も上がっています。暗礁に乗り上げたようですが。すでに決まったことを長引かせ、没案をゾンビのように語るのも愚行です。

私の知る鉄道アナリストや鉄道マニアもこの問題の行く末を懸念し、半永久に敦賀止まりの可能性も示唆していました。
リニアの名古屋まではさらに先、新大阪はさらにもっと先になりそうな感じです。
反対派を納得させ、加速のつく流れが出ない限り、せいぜい北陸は2040年以降か凍結か、リニアは2060年にやっと名古屋ぐらいもあると思います。
【米原ではメリットなしか】
ここでは、せめて少し早く北陸の延伸の可能性を進めるためにも、ゾンビのごとく蘇った米原案の却下されていた理由、多くの方が誤解しているような部分と、整備新幹線の在り方を考えます。以下できるだけ、車両設計など技術的なことは無理してもやるとしても、実現不可能な要因をさぐります。
8年前の新大阪へのルートは小浜から京都を経て新大阪と正式に決まっており、この時、舞鶴ルート、湖西線ルートなどともに米原ルートは落選しました。コスト面と開業後の採算面などを総合的に検討された結果であり、米原ルートは一見短く、コストも工期も短いですが、いくつかマイナス面があります。
元々敦賀から米原は中央北陸新幹線という計画の路線の一部であり、そこに割って入ると、時間を巻き戻し、全ての計画スキームを見直すということです。決まりかけた話を元に戻すという、心待ちの小浜など地元に対して大変負担にもなり、失礼な話ではあります。整備新幹線の在り方を変えるということは、今まで他のルートでそれに従い、お金を出し、苦労をしてきた人に対しても整合性を取らねばならず全国的にも大変な問題です。
米原ルートも十分検討されて、却下となっていますから、簡単に米原でいいんじゃないかということではないのです。
簡単に見えそうに思う方は誤解されている場合が多いのです。多くの人はそれなら、「敦賀止まりの凍結でいいんじゃない」の方になると思います。それは北陸新幹線の延伸を根本から否定することになります。そこまでのちゃぶ台返しをしないとするなら、新大阪延伸をするならベストとは言わないまでも小浜・京都ルートしかないのです。
第一は最初に書いた、決まったスキームの変更が難しいということです。
第二は米原ルートと一概に言われますが、漠然とそう思う人は、少し鉄道好きな方でもやり方は違うようです。滋賀県から遠い人はその実情も分からないで述べられます。
およそ4通りに分かれます。
①「米原からも新線で建設で、京都、新大阪に向かう」
②「米原までつなげて、東海道新幹線に乗り入れる」
③「米原までつなげて、東海道新幹線に乗り換える」
④「米原までつなげて、在来線リレー特急(新設、サンダーバードの琵琶湖線経由)に乗り換える」
各イメージを持たれているのです。①は理想的ですが、小浜ルートとコストも距離も変わらなくなり、米原を経由して東海道新幹線と並行する意味もあまりありません。すでに新幹線駅ではありますが小規模都市にある米原駅です。滋賀県の南部、近江鉄道沿い迂回なども考えられなくはないですが、米原ルートの長所のコスト最少とは程遠く、米原以西は今からルートも一からです。時期はさらに伸び、建設コストもとんでもないでしょうから無理です。
米原という町も十分地元以外は知られていません。小さな町で、昔から新幹線駅でも乗り換え需要だけです。今さら、地域が活性するわけでもなく、新規駅としての小浜や、現在の終着駅の敦賀に比べると採算性を上げるプラスの効果は小さく、開業フィーバーもさほど望めません。
結局、今さら米原を拠点へとというこの考えは②、③、④の東海道新幹線への接続や乗り換えでも同じなのです。
米原駅に新幹線ホームを設けて北陸新幹線と東海道新幹線を同一ホーム上で乗り換えるというのは、敦賀でできなかったのと同じでアクロバチックな難易度でしょう。
まして②のそのまま、東海道新幹線の線路に乗り入れていくのは無理筋です。リニアができれ新幹線がよほど閑散化しない限り全く技術的にも無理なのは、理系でなくとも今の東京駅5分おきの発着を見れば分かるかと思います。東北・上越の新幹線ぐらいならまだ、乗り入れや併結・離合もできますが、すでに16両フルで高頻度運転しいてますから、入る余地がないのです。
では米原まで、50キロほどの新線を作り、同一ホームは無理でもとにかくたどり着いたとして、乗り換えの問題です。こだまかひかりの増発と、またこれも難しい問題が出てきます、そして、自社の在来線特急サンダーバードを廃止にしてせっかくここまで作ってもJR西日本は、JR東海に米原以西もしくは名古屋方面は売上をもっていかれます。滋賀県内北陸線は三セク化、湖西線特急もなくなり、滋賀県にもいいことはないのです。
近畿圏の人でも良く分かっていない誤解に、④サンダーバードを米原行きにして、リレー特急とすればという人いました。湖西線特急が無くなり、東海道線経由にするというのですが、湖西線が強風で止まると確かに東海道線にサンダーバードは迂回します、しかし、所要時間は短絡線で高規格の湖西線より東海道線のがかかります。大阪、京都から敦賀以北に行くなら、到達時間は変わらない上、現状と同じ乗り換えが必要となると、誰も喜ばないような計画に巨額を投じることになります。
そう考えると、現状の敦賀で東西からの在来線と上下移動乗り換えのままというのも満更悪くないのです。
どの計画もいかに難しいかも分かると思います。
本来の計画での、小浜というものはやはり町に対し十分なフォローが必要です。
新幹線が来たらと期待で夢を描いていた人もいるわけです。小浜線の現状、小浜市を考えると、厳しいものもありますが。だからないがしろにもできません。延伸するしない、小浜ルートでなくなるか中止なら、早くケジメもつけないといけません。
【それでもやるべき】
鉄道、運輸の世界も大きな費用がかり、利権もからみます。それでもこれからの景気と国土軸、経済、地域格差のためにも決断してやっていかないといけないことです。
財務省の増税などの議論で、国債の発行が未来の世代に借金を残すと言いますが、簿記で見ると、たとえ借金をしても日銀や日本人が支えているのであり、むしろ資産として未来の世代に役立つインフラが残るかどうかです。
国鉄が解体されたのですが、もうJRも古くなっています。抜本的に縄張り争いをしている枠組みを変えれば光明は見いだせるかもしれません。設計などシステムに詳しい専門家や、JRの経営ルールが分かっていると「無理」がすぐ見えますが、【やる】となるとそんなものをぶっ壊すほどでないとできないです。
いくら、節約しても景気が良くならず、人も減り、田舎への交通は不便さを増すのでは、日本の国は、中身も外枠もどんどん小さくなり、スカスカになります。