
コメ高騰で備蓄米が放出されても価格が下がらず、コメが店頭に並ばない。この異様な事態の背後に農協、農水族が暗躍しているとはよくささやかれます。実際備蓄米落札のほとんどが全農であり、政府の中枢も与党自民党の農協票田に支えられた地方選出の農水族議員が多くを占めます。
農協を知らない人が農家を支える地方の牧歌的な組織なら良いのですが、そういった1面は皆無とも言わないまでも、戦後80年を経て実態は恐るべき【日本の闇】とも言われる存在です。
書き出すととても長くなり、検証しがたい書物も諸説もありますので、統計で見えるJAグループの組織と、画像の本をはじめ、その題材のフィクサーや、対立した京都出身のかつての政界のドン野中広務氏の書物などで、おそらく間違いない範囲での概略を書きます。
JAグループ、農協といっても組織は大きく、多岐にわたります。ホームページで確認できます。
JA全農(全国農業協同組合連合会)は、JAグループの経済事業を担う組織で、農家(組合員)の営農を支援し、安全安心な食料を消費者に供給することなどを目的としています。具体的には、農産物の販売、生産資材の供給、農業振興のためのインフラ整備などを行います。本来、昔ながらの百姓的な専業農家は、コメや農作物を作っても、集荷し売るのは、ごく小さな直売を除き、多くは農協に委ね、肥料や農具をあっせんしてもらったり、技術のアドバイスを受けていたのです。農協の抱かれるイメージは概ね、JA全農です。
その並列に農林中央金庫(のうりんちゅうおうきんこ)があり、JA(農協)、JF(漁協)、JForest(森組)など、農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関です。略称は「農林中金」お金を司るJAの銀行です。
もう一つ並列して、全国共済農業協同組合連合会の愛称であり、仕組開発、審査、査定、および資産運⽤を⾏い、JAと連携・協調しながら、JAの共済事業を総合的にバックアップしています。JA共済連は、仕組開発、支払共済金にかかる準備金の積み立て、 資金運用業務、全国的なシステム開発・運用等を担います。 JA共済は、組合員・利用者のニーズやライフプランに応じて保障を提供しています。保険事業です。
組織としては、この大きな3事業の上にJA全中があり、統括しています。そして、この3分野の組織の下に、各都道府県JAがあり、さらにその下の地域のJAがあるわけです。
その事業割合は
信用事業(銀行業務)::40~50% 程度
共済事業(保険業務)::20~30% 程度
購買事業(肥料、農機具などの販売)::10~15% 程度
販売事業(農産物の販売)::10~15% 程度
その他に分かれます。
比率の推移までな詳しくないですが、戦後の高度経済成長期、バブル期と、専業農家も減り、本来の農業の売買よりも、地域の非農家も含めた金融や保険が主体なのも分かります。農協の事務は、自治体の役場と並び、地域の数少ない安定した就職先でした。
ところがこの時代、金融や保険が厳しい業界なのは、経済に疎い人でもわかると思います。地方の銀行、信用金庫はどんどん閉鎖、統合され、大手の都銀や保険会社も統合、リストラの嵐です。外資やネットの台頭もあり、金融や保険の事業もどんどん縮小して、元の本業の農業をカバーするほどではありません。
直近も農林中央金庫は大規模な赤字に陥っています。これは、アメリカ金利の高止まりによる外債価格の下落と、それらに伴う運用上の損失が原因です。特に、2024年4月~12月期の連結決算では、1兆4145億円の赤字を計上しており、2025年度の赤字額はさらに拡大する見込みです。
では、JAグループの組織トップに君臨するJA全中は、何を考え、そもそも何をする組織なのでしょう。
JA全中(全国農業協同組合中央会)は、日本のJAグループの総合指導機関であり、JAの健全な発展、農業振興、地域社会の発展を支援する役割を担っています。具体的には、政策提言、経営支援、情報発信、人材育成など様々な活動を通じて、JAグループの総合力を発揮し、日本の農業を支えることを目指しています.(ホームページより)
自ら、政策提言とも標ぼうしている通り、組織を束ねって政治に関わるのが生業となあっていました。そのために、国会に議員を送り込み、地元の議員を応援して、政策に関与するのです。もちろん、政治の世界なので、やりすぎは件の野中広務や安倍晋三首相らとも軋轢があったり、全中解体を叫ばれる一部マスコミの声もありましたが、大票田のJAの暗然たる力と、農家のためとか、日本の食のためと、大義名分をカモフラージュにして、本来いらない政治のための自己防衛、自己増殖のためだけの組織になっています。
今回のコメ問題も全中と、農水族の利権が関与していない訳はないと、考えても自然でしょう。農協に務める事務の方が悪いわけではないですが、全中は要らない組織です。