
この間も、鉄道のファンが集まっているところで、ジャーナリストや一般の郷土研究家から、『なぜ、鉄道好きになったのですか』という質問を受けました。
「男の子はみんな鉄道好きじゃなかいですか、そこから車や他の乗り物、スポーツや音楽などの趣味に変わっていく人がいて、そのまんまが鉄道ファン』と何か、わらながら。自虐的な間の抜けた応えをしていました。
専門的な鉄道好きになったのは、先ごろ廃刊になった雑誌「鉄道ジャーナル」が始まりで、独身の頃のヒマつぶしに、写真のキレイな雑誌を手に取り、地元中心の鉄道記事から読み始め、だんだんと日本中の鉄道のエポックを知りました。
そして、やや専門的でのめりこみ始めたのが、鉄道アナリスト、川嶋令三さんの本です。旅情あふれる、宮脇さんや種村さんではなく、シニカルで工学のことも書きながらマニアからも書きミスが多く暴走気味との酷評もありますが、それゆえ面白い筆致です。’今も書棚にある「これでいいのか特急列車」などからはハマリ、この全国の全路線を歴史、車窓、ダイヤ、車両、未来まで評論する一大シリーズでした。始まりが30年以上前で完結まで15年以上かけて、改訂するわけでもなく、当たらなかった未来も含めて、廃線となった路線も含め、今でも貴重な資料となっています。
東北にいた頃、早く東北版が出ないかと待っていましたが、最後になりました。最初こそ、親しみのある地域以外は、とっつきにくかったのですが、やがて旅行でも良いガイドになるのが分かり、重宝していました。四国や信州、北陸や九州なども、当初は頭の中だけで情報として詰め込んでいたものを、そこまで旅をして、乗り鉄や廃線ウォークで歩くと、以前書かれたのもがとても参考になりました。
実現できた路線や、頭打ちのまま廃線になったところもあり、30年の歳月は残酷でもあります。
国鉄型のディーゼル特急列車が、三セクの新型車の代走で頑張って最高スペックを出している路線に対し、「多くの同期仲間の列車たちが三途の川への鉄橋を渡ろうとしているときに、、』と書かれているのには爆笑しました。
相互乗り入れや、高頻度(フリークエンス)の提案、カーブ路線を改良して、振り子機能を使うなどして何とか、在来線高速化という、今の整備新幹線が無理なエリアの中速鉄道を先見しているところもあります。
的中した未來と、実現は程遠い夢だったものを、30年後に検証する旅も面白いです。当時は弱小出版社のレアな本で、amazonもなく入手に奔走しました。それにしても、昭和と言わず、平成の初頭も遠くなりました。