鈴木宗男という頑なな政治家

 鈴木宗男さんのことをいつか書きたいと思っていました。今般、参議院議員を昨日辞して、自民党に24年ぶりに復党して7月の参議院選挙に臨むと報じられました。
 実は以前から野中広務さんつながりで興味のある政治家で、発信されることも正論が多く、密にフォローしていました。

 世間一般には、あまりイメージは良くなく、逮捕されたことがあり、ロシア寄り、強面で収賄、疑惑という印象が強いのでしょう。2002年、小泉政権時代に、当時の田中真紀子外相と対立して、野党にリークされて、追及された印象が強いのでしょう。有名なエピソードで社民党の辻元清美議員から「あなたはねぇ、疑惑のデパート言われてますけど疑惑の総合商社なんですよ!」と批判を受けたのを記憶されているか、のちの映像で見た方もおられるでしょう。辻元は7年後の2009年に外務委員会で「(自分が追及した案件については)裁判でもその事実は出ておらず、確証がなかった。そのような言葉遣いをしたことを反省している」と陳謝しています。
 こういう訂正はあまりマスコミは報道せず、悪い印象だけで政治家の力をそぎます。
 外務省や財務省官僚など、正論で追及されて困る場合に、何か弱みはないかとなると、スキャンダルマスコミに流し、野党に依頼して、こういう抹殺を図るわけです。

 世の中の人は、一度逮捕され、収監された人間、政治家や実業家を認めない人もいます。しかし、政治家などをよく見て見れば、逮捕されてもおかしくない人の方が多いぐらいです。決してその人だけが極めて悪質ではなく、何か官僚か権力者の虎の尾を踏んだだけというのは分かると思います。結局、田中角栄しかり、明確には何で逮捕されたかは記憶にはないけど、悪いことをしたんだろうというイメージだけが残るのです。

 鈴木宗男は頑なで一本気です。今回の辞職からの復党も別にこだわらなくてもいいわけですが、維新を除名された際の鬱憤もあるのでしょうか、筋は通しています。
 ロシアとの交渉も、悪い角度で切り取られがちですが、森喜朗さんでもそうですが、いざロシアと交渉する段階になって、誰もいないでは外交にならないのです。国会議員であれ、外務省であれ、ロシアでもアフリカでもイヤな地域とも担当し交渉する使命はあるのです。そのためには相手を良く調べ、懐に飛び込まないと話もできません。
 外交に行くと、接待を受けたり、記念写真の一つも撮りますから、そんなものでいちいち切り取ってああだこうだ報道するマスコミは、もう少しマトモになって欲しいものです。

 一番に書こうと思っていたのは、袴田さんの逮捕から58年で再審無罪判決が出たおり、国会で「法務大臣に対し、袴田さんに直接詫びろ」という要求を繰り返しました。なかなか大臣の立場ではできないという態度に激高して、「人道として法を司る最高責任者が、一人の人間の人生を50年以上拘束したことに対して、拒否する理由はない」と趣旨で何度目かで説き伏せました。
 コメや税金の壁などで、ごちゃごちゃとやり取りする国会で、法務大臣は、検察や裁判所が独立して「法に則って適切に処置します」「個別の案件に対しては、発言を控えます」と逃げればいいだけの、お飾りのような役職です。こんな時こそ、誰も文句は言わないはずですから、法務大臣は土下座してでも言い訳です。宗男氏が強く言わなければ、法務大臣の直接訪問の謝罪は無かったはずです。世間が注目しているわけでもないワンイッシュですが、こんな筋を通せる政治家はいないと思います。

 小泉首相ももはや、息子に代を譲り、田中真紀子も引退、辻本清美も自らも秘書費用の不正で一度議員辞職してとうに賞味期限切れで、あの頃の政治家が表舞台から消える中で、77歳の鈴木宗男が、自民党をどう変えるのか楽しみです。かつて離党後、地域新党を立ち上げ、民主党政権や日本維新の会とも関わりつつ、政権に対しても自分の所属に関わらず、常に是々非々の正論で煙たがられても、自分のスタイルを貫いてこられました。
 日本を変えられるとしたら、小泉ジュニアの上っ面の人気ではなく、強面の爺の正論がどれだけ多くに理解されるかにかかってきます。

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