「未来の交通」ネタ切れと閉塞

 大阪・関西万博にも2度行きましたが、2度とも朝からでもなく半日程度です。2~3回で全体像を語れるスケールでもありません。
暑いのと混雑もあり、55年前と違い体力も落ちて歩き回るのと並ぶのは限界が早いので、パビリオンコンプリートなどはさすがに断念です。
 気になるところをピックアップして見学の方針でそれぞれ短時間で訪れました。
 さすがに今さら、ガンダムやみゃくみゃくではないので、鉄道のファンとして、交通遺産ウォッチャー、交通系インフルエンサー(自称)としては、最低減交通系の提案にあるパビリオンを見て、ご紹介します。
 西口のさらに海沿いにあるので、「未来の都市」まで、東口からはかなり歩きました。

 

 正確にいうと、未来社会ショーケース事業「フューチャーライフ万博・未来の都市」 でその中心の一つ、日立やクボタ、KDDIなど名だたる企業の共同パビリオンの中で、KAWASAKIが移動交通手段の提案をしています。
 一つ目はKAWASAKIらしいバイクの未来系、CORLEOです。
 ロボット事業とモーターサイクル事業を持つ川崎重工グループだからこそ提案できる4脚による走破性、安定性、操る楽しさを持つ新感覚オフロードパーソナルモビリティです。モーターサイクルのスイングアーム機構により、前脚部と独立して後脚部が上下に動きます。これにより、移動時の衝撃を吸収することに加え、ライダーは常に進行方向の地形状況を確認しやすい姿勢を保つことができます。操作は乗馬のようにライダーの重心移動によって行います。CORLEOが複数のポーズを取る様子が見れました。


 さらに、サムネ写真、こちらはグリーン車の個室のような未来の客車です。
 個室内は見学できます。映像ではこのキャビンを鉄道やトラック、船舶、飛行機などにそのままつないで、乗り換えなしで移動できるものです。発想そのものは、昔座りながら未来の公共交通システム「ALICE SYSTEM」の中心となるALICE Cabinが接続する瞬間を切り取ったALICE Railも展示しています。

 確かに、CG映像でのイメージは美しく、未来感がありますが、1970年から見た50年後の未来と比べると、アイデアが斬新かというと、正直さほど驚きはありません。乗り換えなしは便利ですけども、基本的な発想は、連絡線に客車ごと搬送されたり、在来線を併合・分割したミニ新幹線が走るとかと同じものです。

 片方では、空飛ぶタクシー的な、ドローンのようなヘリが注目されているところです。果たして乗り換えなしのラウンジのような客車型の汎用ユニットに、50年後とはいえ現実味はあるのかツッコミたくなるところです。

 北陸新幹線や北海道新幹線の延伸が15年から30年、リニアの新大阪開業も30年前後先と見られる中、全国各地にもっと楽に移動できる時代が来るのでしょうか。そんなに環境を破壊してまで、急いで移動する手段など要らない、新しいモノを作っても人口は減るばかりと反対の向きも多いご時世です。

 大阪・関西万博は、高齢者には懐古趣味もあり、若い人にももちろん楽しめるイベントではあります。
 しかし、SFという言葉さえ真新しかった1970年当時と違うのは、、若い人にとって、すでにネットやゲームであらゆる未来の情報が既知、既読のものです。それが美しくリアルなヴィジュアルで表現されているとか、デティルが上手く仕上がっているのが面白いというのが感想のようです。あっと驚く新しいモノに出会えた面白味は何人かのレポートからも伝わってきません。

 移動手段など「未来都市」の提案も、現代がむしろ袋小路という閉塞感というか、未来のネタ切れのような印象というのは、ある意味残念です。

 新しい乗り物、その完成、開通というのは子供心、街やそこに住む人を必ず輝かせるものです。「未来の都市」で展示された、移動手段が早く実現できるよう、期待します。

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