爆買いで消されかけたブランド

昨日も転売のことを書きました。その時書き足りなかったことです。

転売、ネットオークション、金券ショップはしょせんダフ屋代替 – 天使の星座
インバウンドという言葉が出だした頃、カネボウが花王傘下に入り、多少はマトモになりつつあるときでも、あとで聞くと相当のパワハラや、情けない行動をとる管理職や営業職も多かったようでした。
昔からの考え、目の前に捕らわれ、先が見えない人が、指示には従っているから、組織は硬直し、企業は停滞するのです。
とは言え、人は目の前のことしか見えません、昨日書いた金券ショップにしても、反社の闇につながっているかもしれないけれど、庶民の味方ではないかという意見もありました。
くず鉄と言われる、マナー違反や不正乗車をする連中でさえ、バレなければいいという理屈でいます。
しかし、大企業が自社のブランド、顧客を中長期的に維持し拡大していくのに、目先だけでとらえてはいけないのです。
ハッピーセットで捨てられるバーガー、ライダーチップスで捨てられるポテトチップになってはいけないのです。
ディズニーだとかキャラクターデザインで、タイアップした限定の化粧品なども出しましたが、本体の化粧品のお試しを促進し、リピートにつながるまだかろうじて許せる範囲です。それでも、そんなパッケージに頼っても商品が良くないと、少ないリピーターがそっちに回れば、通常品はさらに売れなくなりました。
タイアップ先にお金を払い、企画品をコストをかけて作ってブランドを劣化させていたのです。
そして、インバウンド対応はもっと深刻です。グローバルに世界市場を目指すのと、悪質なブローカーに転売されるのは、ブランドの価値を高める意味では全然違います。世界市場への進出は、拠点やターゲットなど綿密なマーケティングがあってのことです。
たまたま、爆買いが多いと、一般の店には並ばなくなり、国内のファンに不便をかけることになります。
私がこの時期、会社ではカネボウのSUISAIというブランドの酵素洗顔が爆売れしました。当時はまだ競合もない独自の技術で、昔から根強い人気のあったアイテムでしたが、その感触などが外国人にも大ウケして、爆買いの現象が、大阪ならミナミなどで始まり、やがて品薄状態が起りました。
当時、道頓堀や御堂筋のドン・キホーテがカネボウのカウンセリング化粧品を扱う契約ともなり、深夜にも営業しているこれらの店舗は、ホテルに一度帰ってからの旅行客が押し寄せました。
売上だけで見れば、教育を受けた美容部員が時間をかけってやっと作れる金額を、バックヤードから前に商品を出すだけで超えていくのです。
ここで、短期的にはこの深夜に人を応援して、倉庫などのロジスティックに投入した方が売り上げが上がるのです。それを考えた営業がいましたし、それを是とする上司もいました。
やはり、先の見えないバカだと思います。
本体の花王でさえ、ベビーおむつの棚から、メリーズが爆買いされ、一時的に売り上げは上がっても、棚ががら空きのままで、他のブランドを置かれ、日本の市場からメリーズが忘れ去られる危機と、必死に戦っていたのです。
長い尺でモノを見るのは、買い物などが上手にできる地アタマの良い人にはできることです。
今の目の前の売上や、利益のために、喪失することを天秤にかけないといけないのです。

サステナビリティという言葉はその後、広まってはきましたが、まだまだその勧化が分かり、しっかり長い目で見ることのできる人は少ないです、政治家だって、目の前に現金で2万円で選挙に勝てると思い込むぐらいです。人間の尊厳も捨てられるバーガーになってはいけないのです。

 

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