映画レビュー:豪華三人ヒロインの「片思い世界」

【紹介文】より
「花束みたいな恋をした」の脚本・坂元裕二と監督・土井裕泰が再タッグを組み、映画やドラマの主演も多い実力派国民的俳優の広瀬すず、杉咲花、清原果耶の3人がトリプル主演、強い絆で結ばれた3人の女性が織りなす日常と究極の“片思い”を、オリジナル脚本で描きだす。相楽美咲、片石優花、阿澄さくらの3人は、東京の片隅に建つ古い一軒家で一緒に暮らしている。それぞれ仕事、学校、アルバイトへ毎日出かけていき、帰ってきたら3人で一緒に晩ごはんを食べる。リビングでおしゃべりをして、同じ寝室で眠り、朝になったら一緒に歯磨きをする。家族でも同級生でもない彼女たちだったが、お互いのことを思いあいながら、楽しく気ままな3人だけの日々を過ごしている。もう12年、ある理由によって強い絆で結ばれてきた3人には、それぞれが抱える“片思い”があった……。

 美咲が何かを告げようと焦燥する相手、3人と同じ記憶を胸に秘める青年・高杉典真を今ときめくイケメン俳優横浜流星が演じます。

 この映画、これ以上書くとすぐネタバレになって難しいです。女友達三人を人気俳優が演じ、横浜流星君との恋愛で絡むと思いきや、何だかこの三人違和感があるのです。その謎こそネタバレです。
 ロマンスというよりは、全くのホラ-みたいなファンタジーなのでした。
【ネタバレ】要は3人とも、〇ーストなのです。3人がホラービデオを見て、キャーキャー怖がる場面も笑えます。

 朝ドラヒロイン出身3人と大河主演俳優も出演ですが顔見世以上に内容ではあります。ちなみにこの3人の共演情報が随分前にあったのですが、公開が遅れたのは監督スタッフが巻き込まれた交通事故があって。これはちょっと被害者側で何も監督らは悪くはないのですが、映画の性質上洒落にはならない事件でした。
 10代から活躍するライバルであり友人でもある若い3人が、よく頑張っておられます。中でもやはり杉咲花さん、スイッチが入った時の集中する演技はスゴイなと改めて思います。
 当初、他のヒロイン2人に比べ自分はオーラがないからと、恐縮してましたが、宣伝のトークなどでは仲の良いところも見せていました。その上でのライバル心と競争心、普段の努力と芝居に賭ける熱意のようなものは一番でしょう。

 流星君はもう何やってもかっこいいし、多忙なスケジュールの中ピアノにも取り組んでいたようです。

 俳優さんの魅力を伝えるという意味ではアリかなと言う映画です。

和歌山の怪 私の怪異体験シリーズ1

 私はそんなに霊能力があるとか、怪異が「見える」方だという自覚はないのですが、ときおり奇妙な経験をするし、他人から見ればやはり「見える」というか、そういう人なのだとも言われます。実際には私の知る人間の中に、もっと「見える」能力も霊感も強い人がいますから、そんなレベルではありません。しかし、何十年も生きていると何年かに一度、人知を超えた体験をするものでしょう。
 そんな体験を何回かにわけて、書き残していきます。

 今日は、和歌山のホテルであった体験です。あんまり怖い話でも、面白い話でも、コイバナでもありません。

 結構ハードなスケジュールで出張になって、和歌山の企業の店舗改装に立ち会って、その翌日は東京でプレゼンの大会に行かねばならず。その資料もまだ8割方の状態で、結論やブラッシュアップに時間はまだかかりそうな感じで、まずはパソコンを持って和歌山へ。
 10年ちょっといや20年近くかそのくらい前で、まだ各ホテルにフリーWIFI環境が整っておらず、モデムを使って社内LANに入るやり方で、セキュリティもやや怪しい頃でした。
 商談を終えて、ホテルに夕方チエックインしようとすると、和歌山城に近いホテルとはいえ、ビジネス使用なので当然シングルと思いきや、シングルが満室、オーバーブッキングで「広い部屋になります。差額は頂きません、フリードリンクを3本サービスしますと言われ、ひとりで、部屋に行くと、ダブルでもなくさらに広いツインのベッドの部屋で、トイレとバスもユニットではなく分かれた立派なアメニティでした。ビジネス用にも十分広いデスクがあり、急いでプレゼン資料の仕事に入ろうと思いました。
 しかし、どうも広い部屋で、重い冷たい空気が流れる、
ーーうん?何か、誰かいるな、これは。

 とは思ったものの、ただの観光なら怖がっていたかもしれないのですが、ヒマではなく、こちらも急いでいるのでパソコンを起動して、カタカタと作業を始める。
ーー悪いけど、相手をしているヒマはない、どうやら、そんなに恐ろしい怪異でもなさそうか。手伝ってくれるならありがたいが、邪魔はしないで欲しい。

 湿気を帯びた冷たい空気が流れ、トイレのドアがバタンとしまったりし、どうやら片方のベッドの上に白い何かが座っているようにも見えました。和歌山城からの灯りの反射にしては、カーテンを閉めてもぼんやり何かいます。とりあえず寝るのはもう一方のベッドと決めるのに選択の余地はなくなりました。いずれにせよ、徹夜とまではいかないが寝ても2~3時間の事だと自分に言い聞かせるのでした。
 その後は、気にもせず集中した。蛾か蚊のような虫のようにまとわりつく感じもしたが、意識して無視するわけでもなく、集中しました。集中すると、見えなかった課題の解決や、つまらぬミスも発見できて、新たなアイデアもどんどん沸いてきたのです。パソコンの背後に見守る視線を感じ息遣いや、ため息のようなものも感じたが、思いのほかアイデアもいろいろ出てくるので結局最初からまとめ直さないといけないのですが充実した時間です。
 ブラッシュアップの時間もなく、睡魔が襲ってきます。
 --今度は眠たいのだ、おとなしく寝かせて欲しい。隣でお休みなさい。
 翌朝は、いくつかのメモを付箋ではったパソコン持ってチエックアウト、和歌山発特急くろしおに乗る時、まだ背中や肩に気配を感じたが、和歌山の駅を出るとすうーっといなくなり、肩が軽くなりました。新大阪から新幹線の窓際で、アイデアのメモを入れ込み、ブラッシュアップ、品川に着く10分くらい前には余裕でパソコンを閉じ、珈琲を飲んでさあ出陣です。
 関西を代表して恥をかかないぐらいのレベルには仕上がったはずと、何となく徹夜明けに近いけれど、ワクワクして臨めました。
 昨年、一昨年とボロクソに言われたプレゼンでしたが、何とこの年は、屈辱の経験を活かし全国1位、あとで経営幹部も絶賛の内容と言われました。社内で表彰を受けた稀有な経験の2度のうちの1度、トロフィーを貰い企業グループで全国1位というのも最初で最後の誉れです。翌年から、まあそれなりにキャリアは積んだものの、大した評価は受けなかったのです。

 うーん、あの和歌山のホテルのアレは何だったのか。今もそのトロフィーと表彰状を見ると、和歌山城の灯りとともに、あのぼんやりした光が思い出されます。とりあえず、悪い怪異ではなかったのだろうが、何かは全く不明のまま、証明とか説明も何もできない。だから、霊感が強いとか、それが何かが分かるような霊能力がないのです。ただ、たまに見える、遭遇するというだけです。

 怪異は、その土地を離れることができない、場所や時間に制約があるのではと考察されます。

 和歌山城が窓ごしに見えるDホテルは、個人的にはお勧めです。