記録達成と引退試合、プロ野球の秋

 プロ野球は優勝もCS進出もすべて決まった9月の最終日のいわゆる消化試合でしたが少し注目がありました。

 東北にいた時に産声を上げたので気になる楽天イーグルスの元選手2名。一人は昨年まで在籍の田中将大が、ようやく中日相手に今期3勝目を上げ、日米通算200勝を達成しました。

 先発完投の時代には300とか400とかの記録もありますが、現代野球では、かなり難しい記録になっており、しばらく現れないのではとも言われてもいます。

 東北のファンにとっては、震災の翌々年に無敗の24勝でイーグルスの初優勝、日本一にも貢献したマー君は、やはり忘れられない英雄です。

 優勝決定の最後の場面が印象に残りますが、そのイーグルス日本一のシリーズMVPは、2019年にはFAでロッテに移籍した美馬学投手で、奇しくも昨日のロッテ対楽天戦が引退試合でした。

 美馬投手は、輝かしいとまではいかない成績で二桁勝利が3回だけ、現役14年通算で80勝88敗、渋いけれどここ一番に頼れる印象的な投手でした。

 引退試合も、そのマー君はじめ両チームの元同僚、関係者からビデオメッセージがオーロラビジョンに映され、感動的なものでした。

 レギュラーシーズンなので試合は1回の表に打者一人を相手にするだけのお約束、その先頭バッターに楽天は戦友のベテラン今期2000本安打で名球会入りした浅村栄斗を起用し、完全なボール球をフルスイングで空振り三振でした。

 プロ野球って、やはりこういう演出ができるのです。消化試合といえども、同じチケット代金の公式戦です。美馬投手もオオタニさん好きな方には無名かもしれませんが、ファンには感謝、感動の試合でした。

 実はアマチュアとプロの境目、真剣勝負とショーの境目は極めて曖昧です。ファンにとってワクワクするような対戦を見せ、素晴らしいプレーを見せるのがプロスポーツです。

 衰えたといえども、ベテランのスター選手が登場して、勝つためだけなら、実力派で伸び盛りの若手がいる選択もあります。

 勝つためには、ホームランよりも、バントで手堅くという試合でも、ファンが◯◯選手のホームランとその後のパフォーマンスが見たいのなら、そうすべきなのがプロ野球です。

 勝敗とともに、魅せることも両立させるのが、プロのアスリートなのです。

 しかし、かつてヤンチャな無双を誇ったマー君も、もう36歳で現役崖っぷちという居場所で、その最盛期を知る人の割合も減っているとは、時代の流れです。

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