
私がフォローしている政財界に詳しいジャーナリストと元経営者の企業内面を描いたホンネ本です。メディア「政経言論」の佐藤尊徳、大王製紙元会長井川意高の共著です。
パナソニック、ソニー、東芝、最近も西武や電通、フジテレビなど著名企業の不祥事の背景をぶった切りされてますが、この本は国策に関わるJR.日本郵政、JALの3企業を章別にしています。もちろん、比喩や関連で関わる役所や企業、政党や政治家も一刀両断されてます。
JALの章では、経営を委ねらた時期もあるカネボウ会長伊藤淳二、京セラ稲盛和夫も当然語られています。
あまり政治や経営に関心のない方には難しい面もありますが、知ると怒りたくなるような内容も多いです。
自民党の権力ゲームに経済や国民が翻弄されていると批判もされていますが、ご両人は安倍晋三元首相とも昵懇で、本来は保守の立場です。ただ、政治も企業も20年も30年も権力者が居座り、既得権益にあぐらをかけば、新規参入や若い人が入る余地もやる気も無くなり、国全体が元気を失うということを強く警鐘されています。
フジテレビの日枝会長や読売新聞の故渡邉会長、最近だとニデックの永守会長に代表されるように、一般ならとうに隠居する高齢と、その権力トップに就く期間の長さに呆れた人も多いと思います。
長ければ長いほど、組織は淀み、忖度し、イエスマンだけが残る構図は、どこの組織でもあります。
半官半民の組織は、ある意味もっと強くしたたかでずるいかもしれません。そういった経営者や政治家がこの書で名指しされています。
国鉄を受け継いだJR、特定郵便局、特定の選挙区に空港を作り赤字路線でも飛行機を飛ばす政策航空会社、それは全て政治の都合です。
そして、最初は公(おおやけ)、地元や業界のためだったものが、やがて自分の組織の肥大や延命、権力維持という自己目的化してしまうのです。
国鉄のところでも航空会社のところでも出ている動労などの労働組合も、基本は同じです。
労働者のため、条件闘争や権利のためだったのが、やがて多額の組合費を貪る労働貴族と言われる専従員や幹部のためのになります。そして、権力拡大のため特定の政党支持の活動など、本来の組合員のための活動と、どんどん乖離していきます。
かつての動労のストも、権利のための戦いと思われていますが、実は自民党内の権力ゲームなのだと知る人と驚かれると思います。
政治や経済に興味があってもその裏側まで、著者たちほど知らない保守の方は、自民党がまだマシで、野党や労働組合は左翼的で悪いと思っておられます。
しかし、自民党内での権力ゲームで、保守本流と言われるグループと野党や労働組合も結局は繋がっているのです。野党はマルクス主義革命も天皇制反対、政権奪取も、まともには考えていません。ただ政治の世界で与党とつるんで節操なく組織を維持しているだけです。
自民党の権力ゲームの背後で、直接は言えないことをお金を貰って訴えるのが野党の仕事です。野党がだらしないのは、自分たちの党是とか思想信条ではなく、ただ延命して与党を助けているだけです。
元安倍晋三さんの友人の井川意高氏でさえ、自民党は一度ぶっ壊れないとと、書かれます。不幸なのは、自民党とさっと入れ替わってまともな政治を行い、横暴な経営者を断ち切り健全な競争で経済を立ち直せるビジョンが見える党や政治家がいないことでしょう。
