自由契約、引退、秋のニュース

 プロ野球でも、サッカーやオリンピック後のスポーツでもアスリートの引退の話が出てきます。

 秋口は特に野球やサッカーは優勝を争う終盤と同時に、来シーズンの体制も模索されて、「引退試合」「自由契約」「解雇」などの報道も流れます。引退試合と聞くと寂しいですが、それができるのは一握りの名選手です。

 そして、プロスポーツで解雇されるレベルでも、かつては地元の高校などでアマ時代は憧れの存在だったのですから、せつないようなニュースです。

 それでも市井の我々の目の前にが、定年での退職、契約の解除とか、まあ優雅に年金生活を送れるのかは別のしても、それなりに寂しいようなものが待っています。
 若い頃は、定年までは少々無能でも、懲罰に値しない限りクビにはならなかったものが、定年は必ず契約が終わるわけです。再雇用もやがて契約が切れます。

 自分の、それまでの働きぶりを見つめ直す機会かもしれません。学卒後に働き続けた時、感じなかったフリーな立場、秋風とともに共感するものです。

書評:早見和真「笑うマトリョーシカ」

 桜井翔と水本あさみ主演のドラマが終わったばかりですが、その原作です。
 しかも、ちょうど総裁選で総理大臣は決まるというタイミングなので、政治がらみのエンタメなのかサスペンスなのか? ミステリであり不条理なとこもあります。

【amazonなどの紹介から】 
四国・松山の名門高校にろ通う二人の青年の「友情と裏切り」の物語。
27歳の若さで代議士となった男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。秘書となったもう一人の男は、彼を若き官房長官へと押し上げた。総理への階段を駆け上がるカリスマ政治家。
「この男が、もしも誰かの操り人形だったら?」
最初のインタビューでそう感じた女性記者は、隠された過去に迫る。

 書店舞台のライトミステリ『店長がバカすぎて』とも全然違うテイストです。

 ドラマも良かったです。櫻井翔くんの、操り人形のような頼りなさ、少し不気味な影のあるほほえみが、誰に操られているのか考察を呼びました。原作者もイメージ通りという、はまり役のようです。視点を女性の新聞記者にして家族などキャストを増やしているのも許容範囲です。
 少し信用ならない若手世襲政治家が総理を狙う時代なので、なおさらリアルに怖いです。ただまあ、現実の政治が一人の若いカリスマの人気で変得られるかというのは、良い悪い別に難しいというか、無理はあります。国会も行政も、アメーバのように旧態以前の組織を守る輩が出てきます。
 中山七里さんの社会派作品同様に、現実はもう少しつまらない、変わらないものです。

マイナンバーカード便利だけど

 マイナンバーカード、私はマイナポータルとかの機能をそこそこ便利に利用しています。保険証はどうがありますので、マイナカード一本なら財布の中に保険証も要らず便利です。ただ、健康保険を切り替えた時の紐付けには時間がかかるのは仕方ないところでしょうか。
 あとはe-TAX、年金の扶養手続き、ふるさと納税のワンストップ特別申請などもカンタンにできます。オンラインバンクで公共料金も支払える時代ですから、平日に役所に行くとか、コンビニに走るとかしなくても、家にいながらにしてかなりの手続きができます。

 年金事務所に勤め、その後も年金の委員として、「ねんきんネット」というアプリを使ってもらうのに、「アクセスキー」という数字からのアプローチを推奨、紹介していましたが、そのやり方よりもマイナポータルに連動したやり方の方がはるかに簡単、楽にできます。

 実は先日、マイナンバーカードの6ケタ~の方の暗証番号を忘れてロックをかけてしまったのですが、休日にもやっているセンターに行き、少し待って解除してもらいました。セキュリテイもまあ安心で、来年は5年目で電子証明書の有効期限が切れますから、更新が必要と聞きました。これもめんどくさいでことですが、まあしょうがないでしょう。

 健康保険証が12月に切り替わり、妥協策として全員に資格証を送るそうですが、これも何だか結局ムダなお金だと思いますがね。保険証のマイナカード一本化反対する人は、こういうところに税金が使われるのはいいのでしょうか。何でも「国が」と言いますが、国がやるということはいつも「何でも反対する人が良く騒ぐ」誰かの「血税」が使われるのです。「血税」でマイナ保険証だけに絞れず、わざわざ二重に発行した資格証明書が来ますから大切にしてください。
 今はETCで高速料金支払い、乗るのも当たり前でその方が楽なのはみんな認識しています。最初はあれも、カードリーダーめんどくさいとか、「何でそっちだけ割引する」とか反対してました。ああいうのと同じで慣れない、めんどくさい、機械音痴だからと嫌がる人を巻き込んで、何でも反対する人が騒ぎを大きくしているだけでしょう。病院がカード読み取りを設置できないというのは、また別の問題です。各医療機関がここはカードリーダーがある、ここにはないということもはっきりすれば良いことです。カードから暗証番号の打ち込みや、顔の認証は高齢者に難しいとも言いますが、反対したり、笑っていないで自治体などでもっと学習機会を増やすべきです。動画などで繰り返せばわかる人はいます。

 ただ、パスワードロックや5年の更新ではやはり窓口の人に頼っています。そうすると、Sこへ行ける人、説明を聞く能力は必要です。パスワードの設定も本人でできるかです。
 ここまでの過程で、やはり他人に頼る人、人に聞かずにおられないという依存の多い人も思い当たります、一人で何もできない人で、ある程度大人になっても、会話が必要でお母さんのようなAIがいるのかなと言う人はいます。まあ人間ですから。
 

推しもユーチューバーもラクではない

 「推し」という言葉が定着し、スポーツや音楽などでも、どこまでも追っかけて応援し、その様子をSNSに投稿する人が増えました。

 自宅のあるエリアの開催だけでなく、ビジターや全国のツアーのようなものまで出かける人もいます。

 よほど、お金があり暮らしにゆとりがあるのかと思うと、そうでもない本音も聞かれます須し、自己破産につながるケースもあるようです。

 昔は野球場でだみ声張り上げ、毎試合飲んだくれて応援しているような輩は人生の落後者のような感じでした。今はユニフォームやグッズでこじゃれた感じて、ダンスやジャンプに楽しそうに応援されています。ライブでもペンライトやうちわなど、ツールも充実しています。

 しかし、それはそれで、お金がかかります。チケット代も高騰し、交通費や宿泊費、グッズの購入も高額です。昔はユニフォーム着ている人などスタンドで稀でしたが、今は着ていない人がいないぐらいです。食費を切り詰め、働いてもらった給料から家賃や生活費を引いたほとんどをつぎ込んでいる人います。

 結構視聴のあるユーチューバーさんでも、普段は食費も抑え、節約して、仕事を頑張り、お金を貯めて「推し」に遣うようです。人生、時間も含め、何のために稼いで使うのか、自由でではありますが、身体を壊すとか、破産するとかになると哀れです。
 鉄道ファンでもそうですが、「推し」をレビューして動画をアップするぐらいでは、十分に稼げませんし、将来も心配でしょう。
 これからの参入ともなればますます厳しいところです。
 趣味にお金を投じるのもそこそこまでにというのが一般的なところです。アーティストなど、業者

 お金はかかりますし、SNSでもそう儲かるものではありません。鉄道でもそうですが、業者側はどんどん企画など出して、利益を取ろうとします。付き合えばキリがないのです。

 趣味も楽しいですが、そこそこまでにしておくのが良いでしょう。

書評:有栖川有栖「日本扇の謎」

 同い年ですから、もう社会に出た人が全て、大ベテランなのは当たりまえなのですが、改めて時の流れを感じます。
 同窓の上原くんこと有栖川有栖氏もすっかり大御所中の大御所となりました。1959年4月生まれ大阪出身の同志社大学法学部卒、当時の推理小説研究会メンバーです。
 少しじっくり目に読んだ最新作です。相変わらず、ロジックに拘ったトリックと魅力的な謎の提供、京都府舞台ということです。舞鶴から、京都の洛北というのと、「作家アリス、火村准教授シリーズ」もご当地、キャラミス的に読まれる方もいそうですが、バリバリ論理の新本格(もはや「新)が死語的)です。
 【amazonなどの紹介文】
舞鶴の海辺の町で発見された、記憶喪失の青年。名前も、出身地も何もかも思い出せない彼の身元を辿る手がかりは、唯一持っていた一本の「扇」だった……。そして舞台は京都市内へうつり、謎の青年の周囲で不可解な密室殺人が発生する。事件とともに忽然と姿を消した彼に疑念が向けられるが……。動機も犯行方法も不明の難事件に、火村英生と有栖川有栖が捜査に乗り出す!


以下ネタバレの無い程度に、

 人物をある程度描きながらも、徹底的に可能性だけを理詰めでいきますから、話としては突飛すぎもしませんし、前半はやや退屈です。結末も少し昏いのが、読後感で、個人的には「なるほど」ぐらいで、「やられた」という爽やかな感じはしません。


 著者は大学時代には知らないのですが、私の勤めた企業のM&A親会社に、研修で出会ったトレーナーが彼の先輩で、探偵役の「火村」「江神」のモデルの一人とされ、初期作品のいくつかのトリックに関わっているという話を偶然聞きました。グローバルに活躍された企業人で、同窓のミステリ好きということで、たまたま話していると「有栖川有栖とタメ」「オレ、あいつの親友で、アドバイザーやった」ということで盛り上がりました。
 ミステリ界では、大物、大御所ですが、初期クイーンへの拘りが強くて、一般の方にはやはり好みが別れるところかもしれません。作中のアリス、火村の時間の経過はやや緩やかで還暦のような感じはないですが。コロナの話が出たりで正確な時代やらは検証していません。

 国名シリーズというタイトルの話が冒頭に出てきますが、松本清張さんのタイトルが抽象的というのは、なるほどと思いました。

収まって欲しい令和のコメ騒動

 少し前から大阪や名古屋の都市部のスーパーからお米が消え、全国に広がり大騒ぎになっていました。新米は出てきましたが、値段は高めのようです。南海トラフの警戒情報で、水やコメを備蓄する人が増えたのがきっかけのようです。我が家も家計的にも大変ですし、まず非常用以前に毎日炊く分が枯渇しかかり、少しパニック感もありました。私も旅先で家族から電話で依頼され、田舎ならまだあるから買って帰れて、ローカル線でコメを抱えて帰りました。戦後のヤミ米買い出しのような感じでした。

 戻るとちょうど、シャディのカタログを貰ったのがあり、早速配達可能なコメギフトを注文、あとふるさと納税でも新米を早めに送ってもらえそうな自治体から18キロほどを抑えておき、当面不安はなくなりました。しかし、そこそこのコメを買っているので、激安で買えた時期よりは大きな出費です。
 政府が備蓄米を放出せずに、価格は安くならなかったというのは、賛否言われています。農家やJAのため、良かったのか、既得権の擁護のため消費者にしわ寄せ、ワリを食ったのかはわかりません。
 コメは長い間、日本の主食で保存性もあり、貨幣の価値があった時代もあり、価格が統制されていた時代もあります。農家の作り手がなくなることを想えば、もっと儲かるように価格は高めでもいいという説もあります。ただ今回の騒動を見るに本当に農家が儲かるのかなとも疑いはあります。元締めのJAはじめ、流通や販売が儲けて、余れば値崩れしてしまうのでは、それも問題です。こうい危機を煽って、あくどく儲けるものこそ取り締まるべきです。
 農業保護の政策とは別問題ですし、結局コメ離れにつながればもっと深刻です。

書評:小林泰三「未来からの脱出」

 リーダビリティに優れたSF(ミステリ)でした。
 高齢者施設で生活する老人の痴呆か集団記憶喪失か壮大な陰謀?はたまた妄想?にとりつかれた老人達の大脱出劇なのか。
 SFファンにはうれし懐かしロボット三原則や、今の着目されるGPT,AIによる超管理社会…といったSFモノではよく見かける材料を上手く調理して謎解きに使っている印象でした。

 それにしても今のAIって3原則真面目に守るのか、そうでないとアンドロイドが叛旗を翻して人類を襲うキャシャーンみたいな世界になるか。
 AIがもう20世紀末から、チェスの王者を脅かし、今やクイズだろうが以後、将棋だろうがAIの方が上の時代です。
 藤井聡太だ、大谷翔平だといってても、やがてそれをはるかにしのぐ頭脳と体力を持った改造人間やアンドロイドが、席巻する時代が来ないとも限りません。オリンピックなども、今は人種や国籍、性別がとかいっているけれど、やがて倫理を上手く超えて、改造能力を持った人間でなければメダルを取れない時代になるでしょう。
 というか今、国威掲揚のためには、身体能力の高い外国人を帰化させて、オリンピックやワールドカップに出場させています。国内スポーツでも越境や養子縁組国籍獲得もザラ、もちろん法律は守られていても、問題と思えるケースも多いように思います。

 そんな中で、AI側、開発側の倫理が守られないと、近未来は人口も減って、この話のように恐ろしいことになりそうです。

エスカレーター、エレベーターも建物デザインに

 エスカレータやエレベーターの技術やデザインというのは、技術系の人やメーカーやメンテナンス会社の人の話を聞くとなかなか面白い。
 多くの大人の事情で経済も動いているし、それに合わせて技術も進歩するが、家電などと同じくメンテナンスフリーにすると、メーカーもメンテの会社も儲からない。陳腐化して買い替えたり、定期メンテで成り立つ会社もあるわけです。


 1970年の大阪万博に、当時としては画期的な1階から4階まで直行するスカイエスカレータ(写真左)と、この館内には260人乗りの世界最大級のエレベーターが日立グループのパビリオンにありました。
 今でも日本で実用のの最大人数のものは80人程度などで、なかなか54年前でスゴイ技術です。
 エレベーター、エスカレータはこのUFOのようなユニークな建物同様、建物や施設とともにデザインされていたのです。
 高層建築はピラミッドや五重塔など、随分昔から建設可能な技術を持っていました。しかし、ある程度高層になって居住や仕事をするには、別の技術の開発を待たないと言えKなかったのです。

 エンパイアステートビルというのは1931年から1970年まで世界一高い建物で、子供にとっても有名な高層建築でエベレスト(現チョモランマ)とともにの高いものの代名詞でした。そのエンパイアステートビルがオフィスビルとして機能するには、当然空調とエレベーターは必須の機能だったのです。高いだけの、展望台なら作れても、空調とそれだけの高さのエレベーターは、技術的にもなかなか建築士を悩ませたのです。
 昔は大きな建物は、総合的なデザインを建築士がライフワーク的なロマンにして、デザインを描いていました。
 エレベーターやエスカレータという機能も当然作り付け、既存品ではなく特注的なオリジナルが全てでした。

 しかし、現代の多くの建物、エスカレータやエレベータは画一した企画のものをそこにハメるだけです。
 安全性やバリアフリー機能などの面での注文が増え、自然で美しいデザインも、回遊しやすさとか機能や使い勝手はあまり考慮されていません。
 駅などは「急ぐなら階段で」とエスカレータの2列のどちらかを空けるのはどうだ、非効率とか、言われていますが、階段に回るにもひどく遠回りや混雑になったりしていまいます。これは駅を作る時点でデザインされいないからです。
 駅、病院などはバリアフリー化は義務化されていますが、遅いエスカレータにイライラして歩き出す人、駈けだす人も多く、これはこれで危険ともされます。
 手すりをもって、立ったままにしてもらうなら、何かその仕掛けを無理なくできないものかと思います。
 技術系、理工系の人に聞けば、速度を上げるとかそれが無理なら、1段を高くして登れないようにするとかは出ます。
 せめてソフト面で、そんなにイライラせず、映画や漫画のような30秒ぐらいで見れる宣伝物でも流せば落ち着くのか、WIFIフリーにしてそこだけはスマホ見てればとかにしてもと思うのですが。
 1970年から50年以上経って、あまり進歩もせず、垢抜けない21世紀の街と建築だと、建築士が嘆く通りです。そのにはやはり、法律とか、世論、経済というか大人の事情があるのでしょう。

年金のルーツ 日本最初の企業年金は意外にも、私が勤めた会社

 国内で最も古い企業年金の給付記録が近江商人発祥の地の一つ、滋賀県蒲生郡日野町の商家から見つかっていたそうです。私の母方のルーツは近江で、そこから都に流れ明治期以降に小間物や薬の商いをしていたので、近江商人には興味がありました。
 見つかったのは、関東に十五店舗以上の造り酒屋を営んだ近江日野商人の鈴木忠右衛門が、明治三十三年(1900)に退職した勤続四十五年の従業員に渡したとみられる「慰労状」(写真)です。
 これによると、謹厚をねぎらった上で、亡くなるまで毎年百円(現在の十万円相当)を支給し続けるほか、本人亡き後も遺族に半額以内を終身支給することを約束したもので、「終身年金」の記載が見られるほか、「遺族年金」に当たる内容が記されています。
 さらに、別の商家からも「退職年金」に相当する幕末の史料が見つかり、「退職年金」の最古とされた昭和二十四年から百七年も逆上る制度に注目されました。
 現代の多くの商社やメーカーなどの企業に息づく近江商人の質実さと先進性がうかがえます。もちろん、庶民と言えば、土地に縛られた農民がほとんどの時代、縁の薄い遠方で商売をするには、従業員に大変な苦労をされる面もあったでしょうし、その苦労に見合う待遇を定め、人材を確保する面もあったでしょう。
 公的年金という意味合いでは、諸説があり、江戸幕府や各藩も『養老扶持」として支給をしたりしていますが、家族の扶養手当、介護手当的意味合いも強い感じです。現代の厚生年金制度につながるのは、近江商人から5年後の明治三十八年(1905)です。
 なんと、私が勤めていた会社の名前が出てきました。
 企業年金を国内で初めて導入したのは、明治三十八年(一九〇五)の「鐘淵紡績(後のカネボウ、クラシエブランドやカネボウ化粧品などの源流となる、後年カネボウとして知られた紡績会社)」とされています。日本初の企業年金は鐘淵紡績の経営者、武藤山治がドイツ鉄鋼メーカの従業員向け福利厚生の小冊子を1904年に入手し、研究後、翌年1905年に始めました。
 私は、この話を定年退職後、契約で勤めた年金事務所の研修で初めて知りました。40年前にも新入社員の長い導入研修で聞いているのかもしれませんが、当時はそんな歴史があってしかも【年金・共済・退職金】【社会保険・福利厚生】など、若い世代の自分に今関係ないし、まして企業の歴史などどうでも良かったのです。当時ですら、大企業の後塵に近く、戦前日本最大の民間会社で待遇も退職金も日本一素晴らしかったことには同期と愕然として悔しがったことだけ記憶しています。

 
【鐘淵紡績の共済組合制度】
 明治期という早い時期に,一種の企業年金制度を創設した事例です.
それは1905(明治38)年に鐘淵紡績で創設された鐘紡共済組合で,ドイツの鉄鋼会社クルッ
プ社の社内福祉制度を参考に,一般の従業員を対象とした企業年金制度が実施されていたとい
うものです.この制度を創設したのは,三井銀行から鐘紡に転じたのち議員にもなる、武藤山治であり,明治時代にこういう先進的な制度が存在したという事例は,日本では他に類例が全くなく,極めて先
進的でユニークなものであったそうです.
 具体的には以下のような規定を定め,傷病手当や退職年金の給付を行ないました。
「本組合は組合の人々が病気にかかり亦は負傷をなし若しくは死亡し又は老衰のために働くこ
とが出来ずして退社し又は既定の勤続年限に達したる時は夫々定まれる救済をなし又は年金を
給与します.」
 保険料は従業員が給料の3%,会社は拠出総額の二分の一以上の金額を補助するとされてお
り,退職年金の給付要件の部分を見ると,「男子は15年,女子は10年勤続して退社した場合に15年間年金を支給する」などと書かれていました.
 近代の民間企業でこのような相互共済制度が取り入れられるの初めてで、三井や三菱の財閥系企業などにも注目され、その実績が関係官庁や他の企業に出回り他の社も採用するようになりました。厚生省の健康保険法は鐘紡の共済組合制度を骨子に作られたのです。
 その評価は、当時の過酷な労働事情や国策で発展する企業事情でもあり、上意下達であり現代で評価されるほど民主的とは言えないとの評価する向きもあります。
 年金制度に関して,後の厚生官僚は以下のとおり述べている.
「いわゆる本格的な老齢を事故とする年金制度にはほど遠く,いわば一種の勤続年数に応じる
手当金的性格が強かったが,当時の民間企業における制度としては,十分評価にあたいするも
のであったといえる」
(参考)『鐘紡百年史』の121~126P第二編第十一章の二「鐘紡共済組合の創設」等

 三方よしで日本初の年金の原型を作った近江商人を母方のルーツに持つ私が、年金制度を最初に制度化した会社に就職し、定年まで勤めると、その制度を引き継いだ厚労省の所管の年金機構に就職したのも奇しき縁かなと思います。今は少し年金とは別の勉強をする仕事に入っていますが、年金の仕組み、手続きの啓蒙、制度改革には地域の年金委員として興味を持って啓蒙に当たります。
 共済や保険の言葉も知れ渡らない時代から労働時間や環境、生涯の過ごし方も120年の間にどんどん変わり、直近の20年ぐらいでも大きく変わりました。
 社会保障、年金制度へ労働者や国民が受ける恩恵、期待もまた様変わりしています。複雑になりすぎて、人間の欲望とともに混迷の時代かもしれませんが、いつの時代もいろいろ保障や老後、障害などを考えてくれた人がいるのです。
 いろいろ言われますが、日本の社会保障制度はそれほど悪くないのも歴史を見ると良く学び直せます。
 

南海トラフ 地震予知は難しい リアリティチエック

 記録的な暑さから、立秋を過ぎ朝晩はほんの少し、風があれば涼しい時もありますが、日中は炎天下容赦のない猛暑が続いています。
 東北地方を台風と大雨が襲う予想図も出ています。先日、宮崎県で大きな地震があり南海トラフの警戒情報が初めて発令され、その後神奈川県でも地震があり、気象庁も大わらわというところでしょうか。
 そもそも地震の予報など、根拠がなく、阪神大震災はじめ最近の大きな地震のほとんどが予測された地域でおきていないのです。地震学者が予算を確保して勝手に研究しているだけというのは、以前からも言われており、今もX(旧Twitter)などで上位で見られています。マップでも示され、日本では地震の予測はいかに難しいかがわかります。
 そもそも明日の天気も外れる気象庁が、地震を当てられるわけがないとのつぶやきも多いです。

 「気象」と地震や火山活動の「地象」は繋がっているようで違います。地震後の大雨や、洪水での土砂災害までは気象の範囲ですし、気象予報士は地震の勉強までは試験に出ないそうですが、災害全般に対する対策ニーズは増えています。

 大きな地震がここで絶対起こるというような情報は、ほぼフェイクです。今の南海トラフの情報もよく確認すれば、警戒を促しているだけで、経済や社会の活動を止める指示ではありません。かといって、安全とも危険とも言えないのです。
 リアリティチエックということで、政府やマスコミの情報あるいは、ネットや知り合いからの情報から真実を読み取る力、想像力が必要です。
 これは、コロナ以降の健康情報、ファイアンスなどの経済情報でも同じです。
 政府もマスコミ、専門家も人の子で、悪気ばかりではないにしろ、多少の煽りが入ったり、わかりにくい表現を誤魔化す場合もあります。戦中の大本営発表でミスリードすることもあれば、立場上「まだ全然わからない」とは言い辛く、難しい言葉で双方の可能性を挙げたりして、愚民を翻弄します。
 大した知識はなくとも、よく考えたらそんなはずないということは多いでしょう。