
封切りから時間が経ちましたが、二人の当代を代表する人気俳優のまさに競演ということもあり、興行的に大成功、封切り1カ月以上なのに、多くのスクリーンと上映回数で人気シリーズのアニメ以外の邦画では久々の大ヒットではないでしょうか。
土曜日の昼とは言え、ほぼ満席に近い客席で、隣のおっさんの酒臭いのが不快でしたが、替わる席もないほどでした。中年以上の女性が多く2時間55分のロングには耐えきれず、しばしトイレに向かう人も見られ、休憩要りそうな長さです。
それでも中身は序盤の東映らしい任侠場面、少年時代役の二人の好演の引きから、長さを感じさせず、ともすれば眠りを誘いそうな古典芸能を、うまく時間の快調な経過で進みました。
原作の方も、上下2巻の堂々たる長さですが、古典芸能と重い内容の割にリーダビリティに富むさすがの快テンポでサクサク読めます。
とは言え、ネタバレするほど中身を紹介するほどカンタンな長さではありません。
【以下ストーリー】
任侠の家に生まれ、抗争で親を失った喜久雄、運命に導かれるように才能と努力で、芸の道を進む彼と、同世代で血筋で跡目の決まっている御曹司、俊介。
古典芸能や社会でつきまとう、世襲なのか実力かの、究極ともいえる選択に翻弄される二人。
歌舞伎の華やかな舞台の裏にある厳しい修行や人間関係、嫉妬や執着といった感情が丁寧に描かれ、物語に深みを与えています。
また、芸にすべてを賭ける覚悟と、友情とライバル心。それに伴う孤独や苦悩も胸に迫ります。
昭和という時代背景とともに、芸に生きる人間の美しさと脆さが詰まった重い2巻です。

もちろん、映画と小説は比べられないもので、全2巻の活字を読み切ることができない人や、最低減の昭和史や芸能が分からないとイメージできないので、映画はその点、一瞬にして全てが眼に入ります。
映画版には尺もあり、登場しない人物や、唐突に時間が経過して。その陰の努力や支えた人が見えないところもあります。しかし、概ね映画のビジュアルの華やかさは想像以上で、なるほどと興行的な成功も分かります。
吉沢亮はスキャンダルが少しありましたが、正直その程度はこの映画の演技やその人像を見れば、そんなものがいかにどうでもいいか分かります。
そういう意味では、つまらないスキャンダルでイメージを壊し、ドラマや映画、CMから俳優を干すマスコミは罪なものです。
それぞれ、現在の蔦屋重三郎と以前の渋沢栄一でNHK大河ドラマの主演を勤めた今を時めく横浜流星と吉沢亮ですが、特撮ファンはもちろん二人の初共演を知っていて、話題にしていました。2011年仮面ライダーフォーゼの2号ライダー朔田流星、仮面ライダーメテオ役で出世した吉沢亮と、その3年後烈車戦隊トッキュウジャーのトッキュウ4号でブレイクした横浜流星です。仮面ライダーフォーゼにメテオ朔田流星の親友井石二郎役で横浜流星が共演していました。
その設定も今回の映画に少し似ているのが、特撮ファンにはニヤリという感じのところです。

さらに特撮ウンチク話になりますが、仮面ライダーフォーゼの主人公を演じたのは福士蒼汰、トッキュウジャーの1号センターのアカを演じたのは志尊淳です。この頃のニチアサは現在ブレイク俳優を量産していて、トッキュージャーの前年の戦隊シリーズ、獣電戦隊キョウリュウジャーの主演は竜星涼です。役名も含めて、リュウセイの3人が繋がるとも言われました。
大きく脱線しましたが、映画に戻ると、長崎、南座などの京都も多く映り、ロケ地も美しく、昭和の彩をうまく撮っています。
雪が舞う風景はいつまでも記憶に残ります。少々ざわついてエンドロールでそそくさと出口に向かう人も多かったですが、劇場は良いです。
