読書レビュー:城山真一「看守の流儀」ドラマとは全然違う秀作

 このミス上位で手をつけてなかったのてすが、素晴らしい小説でした。

 昨年のドラマは幸か不幸すぐ離脱して見てませんでした。これはもうどう考えても小説から先のが面白いのです。

ドラマや映画、演劇というのは脚本や監督、キャストやスポンサー、尺の問題で原作と違うと、騒がれる場合もあります。

 基本的にどこまでを原作、原案とかに区別するかは微妙な問題です。時代を変えたり、外国を日本になど場所を変えても、基本的な話の根幹が同じなら原作とされる場合が多いです。著作権も絡みますから、イメージだけでこれは原作と違うと読者が不満を言っても難しい所です。

 最近は作家が映像に寄せて、これこれの俳優をイメージしてキャラクターを作っている場合さえあります。

 しかし、小説というものは、活字の文章から読者が想像するもので、そもそも最初から完成した情報が入ってくる映像作戦とは違うのです。

 全てを実写、実際の役者さんが演じると、ミステリの場合は使えないジャンルのトリックがあります。

 この小説をドラマを先に見るべきではないのはキャスティングを見ただけで重要な結末が予想されてしまうからです。

 もちろんその意外な結末を知っていても、十分本は楽しめるのですが、肝心の意外性、やられた感は奪われてしまいます。

 まして、ドラマで見ちゃうとわかったようになって原作を読まない人もいるので残念です。

 映像化の原作なら、本が売れるのも分かりますが、これはちょっとドラマ化しちゃうのは私なら反対です。

 それでもドラマ化したテレビ局はある意味エラいですがね。

 ずいぶん、ネタバレ的なところまで引っばって書きましたが、刑務所の中がほとんどの連作短編で、刑務官と受刑者、関係者が登場人物で納得ゆく結末もあるものの確かに重いストーリーです。

 この時代、恵まれた当たり前の暮らしをしている人に刑務所の中、犯罪者の暗い背景、そして地味な公務員としての刑務官の描かれ方は普段なかなか想像できないものです。

 これをよく完成されてミステリにしています。

 しかし、ドラマっていうと、やはり美形の俳優が演じてしまって、そこで想像が止まるからやはり難しいですね。刑務官なんて地味な公務員の中で最たるものだから、イケメン俳優や美人女優が充てられた段階で、いくら演技をがんばっても違うものになります。

 それはそれで人気俳優に出てもらいみんなに見てもらってテーマを分かってもらえばという意見もあろうかと思います。しかし、それもやはり内容によるのです。

 だもんで、二重の理由で、このドラマと原作は全く別物、なおかつ先に小説を読むべしです。

 刑務所の中でもいろんなハラスメントがあり、刑務官も公務員、上位職や年功、経験でいろいろイヤなことがある。いろんな組織が、一面社会の縮図なのでしょう。

 

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