『宇宙指令M774』(ウルトラQ)ウルトラマンの原点にして移民のテーマも

ウルトラマンに教えられた大事なこと2

ウルトラマンシリーズにつながる第一弾の円谷特撮シリーズ『ウルトラQ』巨大なヒーローは登場せず、アンバランスゾーンを描いた、空想やファンタジー、ホラー的な連続ドラマだったが怪獣登場の話が好評で怪獣路線となっていきます。
その中でも宇宙人が登場する話がいくつかあり、ウルトラマンの原点ともいえる正義の宇宙人が登場するのが、ウルトラQ第21話『宇宙指令M772』です。ストーリーはややご都合主義というか、粗削りで現在の科学やSF知識等のある者などにはつっこみどころ満載ですが、まだまだ宇宙や異星人のイメージすら周知されていない時代ですから、甘受しないといけない点はあります。
後のシリーズのように防衛組織もなければ隊員が主人公でもなく、新聞社カメラマンとセスナパイロットの民間人が常に事件に巻き込まれ怪獣と対峙するところにそもそも無理があります。この回も正義の宇宙人ルパーツ星人ゼミは、キール星人の怪獣ボスタンングの地球侵入をなぜか主人公に人形で伝えたり、セスナで拉致してレコードで伝えたり、結局図書館員になって話します。
ゼミはとくに超常能力がありそうでもなく、主人公らと海上自衛隊?の護衛艦クラスに乗り込み、客船のピンチを予言するだけ、怪獣もエイの大きなモノであっさり航空隊の爆撃で霧散します。
その後ゼミは、このまま地球に残ることになり、変なサンダルだけが強調されてどうやらゼミのような異星人の移民はあちこちにいるという足元だけが映り唐突にエンド。キール星人は出てこないし根絶はされないが、ガラモンのように次回の襲撃もなし、そもそもボスタングクラスでは地球の攻撃など、ルパーツ星人いなくても無理のような感じでした。
ただこの正義の宇宙人がのちのウルトラマンの設定につながります。これは日本人にとって、かつては大陸からの帰化人にさまざまな文化を伝えらられ、近世以降も西洋人等にいろいろ侵略を受けながらも、文明を享受された経験を受けての話のように思います。
宇宙人の侵略は小国の植民地化、元寇や黒船、敗戦トラウマにも通じ、正義の宇宙人は国連等の世界平和への願望にも繋がるものがあります。
日本は島国ではありますが、決して単一民族ではなく、アイヌをはじめ先住民、帰化人や移民も含め様々な民族がいたのです。
宇宙人の帰化にはそんな思いが表現されています。

ウルトラマンに教えられた大事なこと(1)

【初代ウルトラマン】『悪魔はふたたび』

ウルトラマンシリーズ(昭和)から、人生の教訓や生きるヒントを見出したエピソートを語ります。
荒削りだったが、時代を先取りした特撮、ユニークなストーリー、愛されるキャラクターたち。異色作、問題作も沢山ありました。
第19話『悪魔はふたたび』青色発泡怪獣アボラス、赤色火炎怪獣バニラ。
国立競技場(旧)のミニチュアも良くできており、3億年前の人類が巨大な2つのカプセルに封印したはずの悪魔が、落雷などのアクシデントで現代によみがえります。
二大怪獣登場編なのですが、初代ウルトラマンは基本的に複数の敵と同時に戦うことはありませんでした。二大怪獣が先に激突し、科学特捜隊に眼をやられたバニラがアボラスの泡で倒され、ウルトラマンとの決戦になります。
アボラスも結構強く、スペシウム光線3連発でやっと倒れます。
しかし、まあ古代人が悪魔と呼んだほど決定的な攻撃力のある怪獣とまでは呼べないような微妙なランクの怪獣2頭です。
個人的には、少し単色カラーのこの2頭には決定的に『強い』感がなくやや不満でした。
バニラの火は大きな街を焼きつくし、アボラスの泡はすべての文明を溶かすほどの迫力と終末観が欲しかったです。
悪魔の封印は、私にはフィンランドの核最終廃棄施設『オンカロ』を連想させます。
あれこそ何百年何千年と封印しきれるのか。開けてしまえば文明がすべておじゃんではないのだろうか。
アボラス、バニラ程度ではすまない終末を人類はすでに作っています。
ウルトラマンにはいくつか大規模な破壊や侵略で終末を予見させ、それを阻止しようとにうストーリーがありますが、『悪魔はふたたびは』その中でも愁眉のものでした。
先人類の知恵という面ではアントラーの話『バラージの青い石』もどこかファンタジー色もあり、怪獣も強い初期の秀作です。
40年以上前に想像した終末、現代人にはどう響くのでしょうか。