文化庁移転 首都圏一極分散はまだまだ

 【文化庁、京都移転】全国的にもニュースになっていましたが、私の住む京都でもローカルニュースで地場の伝統文化に関わる人が朗報ととらえている報道も目立ちました。

 しかし、国会対応の人員や統一教会問題を抱える宗教課などは移転の目処が立たないそうです。

 東京に集まる省庁の一極集中を危機管理や地方創生をふまえ分散していくというのですが、まだまだそれ以前の問題です。
 国会のバックで大臣の答弁をフォローする仕事、もちろん答弁の原稿も含めてですが、それほど重要というのか、オンラインでできなくもないように思えるのですが。

 国会そのものが、例のガーシー元議員の除名で揉めましたが、在宅勤務、テレワーク当たり前の時代にリアル出席を求め、出席しないと除名とは何だか前時代的です。ガーシーの犯罪うんぬんは別の問題として、彼の処分が優先され、国会や閣議のオンライン化が遅れたのは残念です。京都に完全移転したとして、あるいは今後省ごと移転するところができても、国会があるたびに大臣も次官らも東京往復を強いられます。新幹線やリニアはそれで儲かりますが、最終的には税負担が国民にのしかかります。

 それと、知事や市長が駆け付け、京都の伝統文化や地場産業がこれを機会に注目されることが期待されるような報道も何だか我田引水のような感じです。自分の地方だけが良ければいいとうのでは省庁移転は意味がないはずです。省庁が移転して地元が優遇されるなら、財務省や経産省、国交省が来たらそこに財政や、経済、土木が優遇されます。そんなわけではありません。
 オフィスとしての機能が移転するため、職員の居住や宿泊、飲食などの経済効果はあるにせよ、地元の産業や文化が省庁が近いから優遇されるものではないのであって、そこは地元勘違いしてはいけない問題です。
 リニアが新大阪までできると、現在の首都圏、中京圏、関西圏がメガ都市圏となり、そこから新幹線や在来線で一時間程度の移動で行ける都市は格段と便利になります。移動での東京出張は最低限で、現在の中央省庁を地方都市に移せます。ここで我田引水のような、地方の我がまま、えこひいきをすると、本当の地方創生で効率のよい省庁移転ではなくなります。
 しっかりとその効果を検証して進めて欲しいところです。

戦争の終わらせ方、ロシア悪と戦争悪の混同

 戦争の始まりは、国家の死活にかかわる重要な対立克服のためであり、それぞれが正義の聖戦を掲げ、対抗しあうわけであり、生半可に停戦などできないのです。
 しかし、戦争が長引けば兵士にも市民にも犠牲者は出て、大規模なものは今回のウクライナ侵攻でもそうですが、世界のエネルギーや食糧、その他の生産、経済に大きな影響を与え被害は甚大です。
 大筋では一刻も早く停戦を決めないといけないので、水面下で当然その動きもあるはずですが、下手な条件で停戦することは敗北とされ、国家のトップを揺るがす問題になります。どちらかの完全敗北が見えない以上、それでも停戦を企図しないといけない難しい情勢です。

 岸田総理がウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領を後押しする姿勢を明確に打ち出しました。

 日本のトップが覚悟を決めていったのですから、熟慮あってのことと信じます。ロシア憎しの人も、双方痛み分け両成敗とする人もあり、賛否もありますが、いずれにせよ、外交は熟慮の後の結論は賭けの要素もあるでしょう。ロシアとも戦争をするわけではないので、漁業交渉や領土問題の最低限の外交筋は繋いでおきながらのピンポイントです。
 中国とロシアの会談も不気味であり、情勢は予断を許しません。

 ウクライナの市民の戦禍の映像を見たり、混迷するエネルギーや穀物の相場を見ると、やはり早い段階で日常が戻ることを祈りたいところです。

異次元の少子化対策は現役&年金世代の理解あってこそ

 やはり、今物価高の問題が一番大きいのか、光熱費や食費も上がると税金や健康保険介護保険料などの社会保険料への風当たりが強いと感じます。年金に対して不安と不信は強く、年金保険料を払う世代は高いと訴え、年金を貰う世代は「給付が少ない、下がった」と漏らします。
 年金からは後期高齢者保険料や介護保険料が天引きされる方が多いので、年金の目減り感は強いです。国民年金だけの人や、厚生年金の加入期間が短い人は元々年金だけで生活するには厳しいのですから、マクロ経済スライドで少し下がろうがあまり関係はないのですが、やはり減額されると不満は大きくなります。
 年金に関しては、私も何度かこのブログで書いています。大きなポイントは年金を受給している世代で、特に潤沢な年金を貰っている人から、少し若い世代に回せる資金を回したいのですが、全体のレンジを変えないといけません。それは徐々にやらないといけないと考えられますから、総額の小さい人も含め年金は実質少し目減りするぐらいの感じで減額して、現役世代に回しているのです。

 ただ、事情はどうあれ、100年安心と言われた自分の年金の振り込み明細が減ったうえ、物価は上がる一方で、今さらという不安が不満となり爆発しそうです。頑張って、日本経済を発展させたわし等の老後資金を減額するとは何事か!です。でも政府も財源はどこかを削るしか大枠では少子化対策などできません。これから、子育て、少子化対策にお金が回るなら、高齢者への優先順位は下がります。要は「子供のために我慢してくれおじいちゃん」というのが国中なのです。これはよく説明しないと、選挙で総スカンです。外交や安全保障、他の経済対策で加点しても、一気に減額されます。
 一にも二にも説明です。本来孫のためなら、自分のことは我慢できるのが高齢者世代です。理解をいただくしかないのです。

大手企業賃上げのニュースから

 コロナ関連のニュースが日によっては、全く取り上げられない日も出だし日常が戻りつつあるのかとも思います。
 3.11が近づくと毎年のように震災を忘れないという報道も増えます。災害も疫病もいつやってくるかはわかりませんが、怯えすぎ怖れすぎも景気を悪くするので難しい問題です。

 政府のぶち上げた賃上げに呼応し、サントリーや自動車会社など大手企業が春闘満額回答でベースアップするというニュースも話題になっています。大きなところはすでに物価手当てなどもフォローしていました。これからどこまでの業界、企業規模に及ぶのかは注目されます。いずれにせよ、厳しい業界や中小企業までは難しいですし、ますます大手や公務員と、中小や自営との格差、あるいは非正規雇用との格差が大きくなるのも否めません。

 元々、大手企業は住宅補助、健康保険など福利厚生面でも給与以上に恵まれた待遇を用意しています。働き甲斐と正比例するかはわかりませんが、一度その差を知ると、同じ職種とかだとやってられない差別感、格差を痛感するはずです。丸ごと大手グループに吸収され、スケールメリットを活かす方策の方がベターなのかとも思います、よく、大阪の中小企業町工場などが注目されますが、技術はどうのこうのというよりも、待遇面で変わらないと人材はいずれにせよ集まらず、未来は見えません。

 日本に中小企業がなくなるとどうなるかというか、いろいろ考えられますが、淘汰されるべきところと、雇用や技術の継承含め、大きな問題が胎動してくるわけです。賃上げは大手からという報道に、日本の新たな変革を予感します。

少子化対策の本質はお金か

 異次元の少子化対策と言われるが、従来から発想の次元が違うようなものはあられていません。
 従来からある児童手当の拡充、保育、教育の無償化、出産手当の増額などのレベルで『異次元』は誇大に聞こえます。

 結婚して子供を作るのが当たり前だった、産めよ増やせよの時代とは比較も難しいですが、やり方次第のところもあるでしょう。
 あれだけ不信があり人気のなかったマイナカードでもいついつまでに取得して、口座や健康保険紐付けで20,000ポイントというと行列ができるのですから、条件とあおりによって何とかなる時代かもしれません。

 結婚して1年以上離婚しないなら何ポイント、出産すれば何ポイント。高等教育までで何ポイント,最終的に成人まで育てた夫婦に生涯ポイントを年金に付加する仕組みなどを、時限的に試す意味はあるかもしれません。

 子供と添い寝し、だっこするだけで癒され、かけがえのない歓びを感じるという、著名人の発言もありました。それはお金に替えがたいという話でした。
 ペットの動画投稿なども、ものすごい再生数になり、そこそこ余裕がある方は子育てではなく、何でも値上がりの中でもペットにはお金を惜しんでいません。そういう面では人間の赤ん坊、子供の可愛さ、愛くるしさをもっと拡散し、訴求することも大きな効果を持つでしょう。いろんな制度ができても、やはり感情、情緒で人間は動きます。

 メディア、教育、あらゆる機会で子供を育てる良さを『見える化』することも大事です。冗談のような話ですが、何かしていかないと日本の未来は明るく開けません。防衛費か子育てかとか不毛の優先順位の議論をしても始まりません。何をおいても日本の未来への全体像を考えてもらわないといけないのです。

誰もが自由に職業を選び働く権利と義務 憲法

 連日、私の自宅最寄を走り、職場の通勤者も多い私鉄で朝から人身事故がありました。全部が仕事や人生に悩んでの自殺ではないでしょうが、その割合は低くないでしょう。

 生活する上で、お金も必要で否が応でも働かないといけない人は多いでしょう。だからこそ悩み、悲観があり苦しみます。仕事が苦行なのかストレス、スランプの苦しみは何度も書いたと思いますが、権利という意味では憲法上で保証された職業の選択というのが実際にはそうもいかないことがよくあります。

 憲法27条

  1. すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
  2. 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
  3. 児童は、これを酷使してはならない。

 障害者や高齢者、出産育児などで昔は働けなかった人や、休んでその後は元の職に就けなかった人が今は随分と法が改正され、働きやすくなっています。

 しかし、現実には就職氷河期があり、コロナでも失業が増えた上、物価高の中、リストラもあります。企業に給付があるとはいえ、優秀な人材すら揃わない中で、ダイバシティだとかいって障害者や高齢者の就労支援をやすやすと受け入れられない状況も想像できます。スキルを持ち即戦力ならまだしも、限られた定員の部署では分かっていても難しい問題があります。

 働き方の改革はまだまだ初期の段階で、その途中にテレワーク、在宅勤務などの流れがきました。仕事によっては既に次の段階への過程が見えてきています。しかし、多くの職場でまだまだ、ストレスは絶えず、生産性が上がらず自己実現に届かない焦りでパワハラまがいが横行します。

 次の段階へのステップはもっときめ細かい適性のマッチングや、メンタルのケアなのかと思うのです。大上段から号令をかけ、法律も変えないとおそらく難しいとは山積みです。しかし例えば、面と向かうとコミニュケーションが難しい人間が、意外と在宅のチャット、メールなどではいい面を出し、良い部分が認識されうまく回り出すなど、どこかに好事例があり、水平展開できるものがあるのではと思います。

 昭和のパワハラ、軍隊式を知る人間にはもう高度成長期でいっぱい兵隊を獲れて使い捨てできた時代とは、全てが違うのです。日本の未来は移民就労だけではなく、日本人の変化でかなり対応できます。そこらをまず変えて欲しいと願うしかないです。

五公五民 一揆や革命は起こるのか

 【五公五民】 江戸時代の年貢 率を表現したことばで、収穫米の5割を年貢(本途物成 (ほんとものなり))として上納し、残り5割を農民の作徳米 (さくとくまい)とすること。
 この言葉がニュースから少し話題になっています。
 財務省が2022年度の「国民負担率」が47.5%になる見込みだと発表したからです。国民や企業が所得の中からどれだけ税金や社会保険料を払っているかを示すという率で、さらに今後防衛増税や異次元の少子化対策も取りざたされる中、江戸時代に領民が領主に納める年貢割合を引き合いにして「令和の時代に”五公五民” 江戸時代とどっちがマシなのか」と評論家などが「江戸時代,五公五民以上になると一揆が始まった」と不満が爆発するのではないかと呟いています。

 白土三平のライフワークで江戸時代の階級闘争を描いた「カムイ伝」という長編劇画があります。この作品は紹介しだすと大変長いですので詳細はまたの機会にしますが、そこに出てくるのは支配する武士階級の暗愚な領主と、そこに連なる悪徳商人の姿です。
 現代の政治家と財界を連想してしまいます。いわゆる大きなイベントや公共事業を事実上独占し中抜きをする電通のようなイメージの悪徳商人も登場します。当初は既存の悪徳職人を颯爽と追いやって、善玉かに見えました。新興で商才ありながらも悪辣な野心家夢屋というキャラクターは現在の国家予算に深く巣食うシロアリのような業者の印象となりました。
 税や社会保険料が5割でも7割でも社会が成熟し高齢化すると仕方のない面もあります。しかし、その分配が本来配られるべき人に届かないで、私服を肥やす一部の人に回っていてはまさに「一揆」が起こってもしかたのない不平不満がたまるでしょう。

 税金の無駄遣いや、談合で一部癒着業者への回っていく構図を見ると、働いて真面目に税を納めるのが馬鹿馬鹿しくなる気持ちも分かります。来年度予算が今年度内の成立が与党多数で国会で決まっていくようですが、一部審議中にも監査などへ使い切れていないとか、別目的流用、全然使えない基金など、無駄の指摘も多くありました。
 官僚には『一揆手前』だとは自覚していただき、各部署が身を切る思い出来を引き締め、トップが今の庶民の苦しみを分かり、政治家がしっかり見張らないことには、反体制側でなくとも予算の承認、執行を看過できないのです。

追悼西山太吉記者 

 元毎日新聞記者で、沖縄返還をめぐる日米間の密約報道を追求して、一度は逮捕投獄された西山太吉さんが24日、心不全のため北九州市内の介護施設で死去した。91歳でした。

 彼をモデルにした山崎豊子の著書「運命の人」がベストセラーになり、ドラマにもなったためご存知の方も多いでしょう。司法を目指す人には判例でお馴染みの外務省機密文書漏洩事件ですが、一般にはスキャンダラスなところだけ印象に残り、あるいは時とともに風化して民主党政権以上に忘れさられているかもしれません。
 分厚い原作を読む人も減っている時代です。また山崎豊子さんの小説というのはセミノンフィクションと言われどこまで史実かフィクションかがとても厄介なところがあり、美化されたり象徴的にされたり、想像上の人物が出てきたりはします。

 それでもその旺盛で綿密な取材には舌を巻きます。概ね西山太吉さん=弓成亮太は間違いのないところです。

毎日新聞社記者の西山氏は71年、翌年の沖縄返還をめぐり米国側が負担すべき米軍用地の原状回復補償費400万ドルを、日本側が肩代わりするとの密約を示唆する機密文書を入手しました。文書の入手を外務省の女性事務官に頼んだことが、秘密漏洩のそそのかしにあたるとして、国家公務員法違反容疑で事務官とともに逮捕され、74年に毎日新聞社を退社。78年に最高裁で有罪が確定しました。世論の関心は密約よりもスキャンダルに移り、報道のあり方が問われた。

 政府は密約の存在を否定していましたが、2000年以降、米側の公文書や元外務省幹部の証言で、相次いで確認されました。

 山崎豊子の遺作にもあたるセミノンフィクションはアメリカと国家権力に対峙する孤高のジャーナリストを描いて、ぐいぐいと引き込ませます。実際には西山氏のやり方も現代では通用しない強引でコンプライアンス違反なところもあったでしょうが、根源にはジャーナリストとしての正義感があり、それを潰し泥まみれ悪役にして消し去ろうという、アメリカ追従の検察の思惑が見えます。
 検察は直接アメリカからのハンドリングはなくとも忖度をし、また官僚全体の自己防衛や民間へのヤッカミなどが入ってくると思われます。どうしても出る杭を打ち、縛めとしてしまう傾向はあります。検察もまた正義感を持ち仕事をしていて、それが突出したものとは相いれないことになるのです。

 「運命の人」に期せずして田淵角造という名前で金権政治家として後の今太閤総理田中角栄らしき人物も出てきます。角栄も当然そんな背景も酸いも甘いもウラを知っていたはずですが、この後の時代で政権を取ります。しかし田中角栄も日中友好などでアメリカににらまれたのか、早急な改革や地方へのシフトを警戒した官僚のせいか、スキャンダルで泥にまみれ急速に失速し逮捕されます。
「アメリカをないがしろにして中国などと外交」「官僚体制を揺るがす、過激な体制改革」は日本ではタブー的に、アメリカハンドリングの検察のターゲットになります。後にはマスコミもぐるになり袋叩きにされ潰されます。金丸信、中川一郎親子、鈴木宗男、小沢一郎、鳩山由紀夫、それぞれ脛に傷はあっても逮捕されたり死に追いやられるほどのモノではなく、一般の方も詳しい罪状など説明できないほど微細なものです。要はアメリカおよびそこに結びついた権力になびいたか逆らったかです。

 アメリカと密約を結んで、ノーベル平和賞まで貰った佐藤栄作(作中では佐橋慶作)とその一族の発展による支配と、あくまでもその背後を隠蔽しようという体質は、当然今の、岸家安倍家の一族に受け継がれています。

 朝日や毎日が、読売がとか言ってもしょせんは今は記者クラブのお仲間で、スクープ合戦も芸能レベルです。妾半ば公認だった時代とはスキャンダルのレベルも違います。日本の命運の根源をスクープするような攻防はないでしょう。日本の支配層を意識改革させるような、西山記者レベルの気概あるジャーナリストはもう生まれにくい背景ですが、次世代に期待はしたいです。

 

中学生の学徒勤労動員で作られていた風船爆弾

 戦中の古い記述をたまたま読んでいると、今中国と米国でもめている気球の原点ともいうべき、旧日本軍の風船爆弾を、勤労動員で作らされ記述がありました。

 実際に風船爆弾は放たれたのは、アメリカ側に近い、東日本の太平洋側に残る地点ですが、各地の紙や紡績、染色なのど工場で、こんにゃく糊を使い、中学生が男女一組で紙を貼り合わせて爆弾の制作に携わりました。60センチ×1メートルの和紙を幾重にも貼り合わせ今の厚手のビニールのような製品を作っていたと回顧されています。
 当時は何を作っているかは知らなったらしいですが、やがて、アメリカまで偏西風でたどり着き山火事などで死傷者も出し戦果をあげた風船爆弾だと知ったそうです。その年の8月にはすっかり制空権をなくした日本は、風船爆弾とは比べ物にならないとてつもない破壊力の新型爆弾を二つの都市に落されます。
 もう鬼籍の方の手記ですが、終戦の前年の2学期から京都の伏見でもこの学徒勤労動員はあったそうです。修学旅行も運動会もカーキ色一色で、英語の授業もない今生きていれば90歳以上の方の、青春を戦争が奪っていた時代が書き残されていました。

 昨日も戦争のことを書きましたが、国が疲弊しきり、子供命さえ危険にさせ、多くの生命を奪われる前もっとできることがあるはずです。
第二次世界大戦の書記、史料を読むとロシア(当時ソ連)の参戦、虐殺その後シベリア抑留など、今のロシアへの恨み骨髄と感じるものも多くあります。ロシア人は悪くないプーチンが悪いんだとはとても思えないような、残虐で非道な暴挙も綴られます。多少はアメリカの占領の影響があるにせよ、ロシアを殲滅したくなり、擁護する意見や助けたくなるなど論外に思えます。
 戦争の終結は難しいのです。相手国を憎む気持ちが強ければ強いほど戦争は終わりません。それでも戦争を始めてしまうと、このような悲劇を繰り返すということでしょうか。

戦争は、賛成反対以前にいつも『停戦』『やめ時が難しい』

 ウクライナの長引くロシア侵攻からの戦争、北朝鮮のミサイルや、中国の台湾や南沙諸島などへの動きが報道されるたび、それ見たことか軍備を拡充しないといけないと語る方向に人がいます。あんな暴挙をするロシアには制裁を強化し、ウクライナを支援しようということです。

 しかし戦争は長引くばかりで、停戦の動きはなかなかです。このまま、さらに戦争が拡大し、停戦がままならずロシアが戦術核を用いたりすれば最悪の道です。

 ウクライナをかつての戦中の日本に重なる人もおられます。
 物資が枯渇し、鉄も砂糖も脂もコメも手に入らないで、田舎に疎開させられ、家は道路の拡充に使われ供出されてしまう。焼け野原になりつつある都市部、それでも絶望的な召集で、武器も戦闘機も不十分で戦地に赴く人々。

 日本もそうでしたが、戦争は戦う双方の国が自分こそ正義だ思っている聖戦です。そう簡単に、停戦を受け容れると、愛国者やその支持者からは轟々たる非難を受けます。戦争をよくぞ止めてくれたとは言われず、何で途中で投げ出すとなります。最後はメンツかもしれませんが、それ以前に戦争のプロバガンダを信じ込まされ洗脳されてしまう人々が大きな問題です。

 影響力の強い人が洗脳されると、集団にも勢いがつき暴走が止まらなくなります。戦前の日本やドイツが何であんなことになったのか、怒り嘆き、今ならと思う人も多いでしょうが、残念ながら今でも大して大衆の愚かさというのは変わりません。

 ロシアを批判する国々は『力による現状変更を許してはいけない』と言い、特に日本ではそれに毅然と同調しないと東アジアにも及ぶと米国やEUと横並びを強制するような世論が強いです。しかし『力』をさらに『力』でねじ伏せようとし、軍備増強を図ればエスカレートするばかりです。『力』に『力』では戦争は終わりません。長くなるだけです。長引けば、兵士やその家族、一般国民は苦しむだけです。ロシア人は憎くない、プーチンら指導部が憎いのだと言う人もいますが、結局戦争で苦しんでいるもはロシア人です。
 国際世論や他国がまず戦争を止め、国会や国際裁判所、公平な国際世論に委ねるべきです。

 戦争体験の語り部の方々はどうしても、戦争絶対反対の左翼思想に利用される場合があります。国と国の主張がぶつかり合うことそのものは避けられません。戦争やむなしになる事態は、国際社会ではむしろありがちなことです。問題は武力衝突となった時の停戦,やめ時をいかに想定して、国民にも妥協を説明し、交渉していくかです。
 日露戦争は、完全決着で勝敗が決まった終局ではありませんでした。日本が勝ったとも喧伝されましたが、賠償金もなく世論は不満でした。殴り合いで体力もつき、わかったやめようよとなった感じでしょう。有利不利はあったにせよ相手が降伏したわけではなく、条約が結ばれました。
 日本人は潔しなのか洗脳なのか、白黒はっきりさせ無条件降伏まで戦った第二次世界大戦の敗北しか頭にない方が増えました。ロシアのプーチンが完全屈服する可能性はゼロではないですが低いです。むしろ長引き追いつめられると戦術核を使う可能性さえそう低くはなくあります。
 国際世論というなら、玉虫色で双方のプライドや世論に妥協しつつ、停戦を模索する動きが早くでないかと願います。