湖西今昔 50年以上前の鉄道を追う

 滋賀県の湖西地方は京阪神から近く、湖西線が走っていますが山と湖に挟まれそれほど広い土地がありません。
 湖西線の前身には江若鉄道という単線非電化のローカル鉄道が走っていました。1921年開業ですから大正時代から昭和の戦後まで長閑に走っていたのです。1969年に廃止され、多くの路盤が国鉄末期の湖西線に引き継がれていて顕著な廃線跡は少なく、浜大津近辺の遊歩道ぐらいです。
 当時の最新鋭技術を使った全線踏切の無い高架、複線電化でハイスペックな路線をサンダーバードなどの特急が走る湖西線は、短絡のためトンネルを設け一部は江若の廃線跡とは離れているところもあります。
 湖西北部で風光明媚な近江の厳島と言われる白髭神社あたりも、山が湖に迫り湖西線はトンネルで通過し、最寄り駅もなく、湖西線ではこの光景は見られません。
 クルマでの観光で短時間通過する人も多いようですが、琵琶湖の東側の近江八幡、彦根、長浜などの主要な観光地に比べると、規模も小さく鄙びた感じです。
 短絡新線の湖西線もかつては寝台特急日本海、トワイライトエクスプレス、雷鳥、白鳥といった名物特急が走り、今も高頻度でサンダーバードが駈けますが、特急以外は新快速が走るとはいえローカル線でとくに堅田以北は1時間に1本のダイヤで70年代開業の面影を残す古い駅施設です。
 湖西は湖東ほどは発展せず北陸新幹線が延伸すれば、並行在来線扱いで特急はなくなり、3セクのローカル鉄道へ戻るかもしれません。
 何だか、人生を見るような鉄道の発展、成長、栄枯盛衰があります。

守秘義務スレスレで話します 役所の個人情報管理

 ある程度良識ある方は、公務員の仕事は、一見安定はしているけども堅苦く、何か問題が起こると非難の矢面に立たされる辛い面もある忍耐だとご理解いただいているのではと思います。
 もちろん、官僚の上の方へ行くと、俸給も高く、かといって政治家の顔色を窺って結構楽しでいるとも思われがちです。
 少なくとも、一般の国民にとって、ネットで呟けても、身近に文句を言える相手は、近くの役所や公的機関の窓口や電話に直接出た人です。
 そんな人に岸田総理や、デジタル大臣、官僚や市長クラスへの文句を言っても始まらないのはわかるのですが、世の中ボヤキたくなるこのは多いのでしょう。だから忍耐のいる仕事です。これは正職員も有期雇用の非正規も変わらないのがまた辛いところです。
 民間企業を定年退職して、何の因果か公的機関のお仕事をしています。その中で守秘義務があって、退職しても軽々には言えないこともありますが、違反にならない程度に、今騒がれているマイナンバーカードに関連した部分で、個人情報の取り扱いってどうなっているのかを書きます。もちろん、全ての役所の現場を知る由もないので、自分の経験や伝聞から、誰でも想像、推理できる程度のものです。

 前置きが長くなりましたが、結論をひとつ、
「役所、公的機関はマイナンバーカードやそれから導かれる個人情報をとても大切にしています」
 それは窮屈で、面倒くさく、時には残業になったり、細かなミスを糾弾したり、煩雑な申請を書き、承認や管理のハード、ソフトの仕組みがあります。
 もちろん、マイナンバーカードの連携による電子申請なども急速にできたものもあり、現場の省庁、役所にもよりさまざまな温度差や格差はあります。
 もちろん、映画やドラマに出てくるような超絶スキルのハッカーが侵入しないとも限れませんが、パソコンそのものからUSBメモリでデータが簡単に抜かれるようなことはできません。未だにテレビでは、USBメモリに大事なデータを移すシーンが描かれていますが、私が最後にいた会社もそうでしたが、その後の公的機関もパソコンそのものが基本USBメモリは使えません。挿し込むだけでウイルス感染するかもしれませんから、そんな甘い体制のところはもうよほど田舎の役場でもあまりないでしょう。個人情報管理の研修はどこもやらされています。そういう点は、過剰なほど手間をかけているので安心と断言できます。

「マイナンバーカードで、家族構成や所得の情報だってとれるのに、何で未だに公的な手続きにはいろんな書類が必要なの?」
 相続や、年金受給の手続き、扶養の手続き、マイナンバーカードで、一本化されたのに、戸籍であるとか、いろいろ添付書類を求められるのはなぜなのでしょう。役所の人は調べたら何でもわかるなら、いちいち細かいことを求めないで欲しいとも言われます。
 一部は過渡期だからかもしれません。しかし、この必要書類がいまだにいるというのは、法律で決まっているものと、先に述べたマイナンバーカードのセキュリティの強さ、個人情報の管理の裏返しなのです。
 マイナンバーカードを記入して、申請しただけで、その書類を受け取った職員が役所のパソコンを叩けばその人のあらゆる個人情報を見れるわけではないのです。
 例えば悪質な所得隠しや、財産隠しがあって、国税とかで調べるとしたら、マイナンバーから、上司を通して関係部署、いろんな手続きを踏んで閲覧許可や記録もとり、限られた時間と用途で、一切別の目的を外して許可が下ります。こういうことは、少し考えれば想像がつきます。
 ですから、マイナンバーカードを渡しても、ストーカー的な変な職員がいても、記入情報以上のことは調べられないし、落したとしてもそこから何かを引き出すことは難しいのです。
 そして添付書類が必要なのは、それが入手できることで本人である信頼度が高まり、手続き業務が早くなるのです。これも過渡期のものもあるかもしれませんが、仮に添付書類なしから、所得や雇用や家族状況にたどり着こうとすれば、1枚の申請書から申請が回るまでに担当者は大変なセキュリティを外す時間を強いられます。
 あとは添付による申請が、条件と決められているものです。年金の免除であれば、添付必要と「失業の証明」「所得激減を申告する申立書」と書かれてれていたら、「俺が失業したのは、あんたら調べたらすぐわかるやろ」「ウチの店が売れていないのは調べれば分かるはず」といっても決められたことだから、それには書類が要るのです。書類さえ添付されていればルーティンで早く流れることです。
 マイナンバーを書けば、名前も住所も要らないじゃないかと言われても。申請の名前の欄には本人の名前がないと申請書にはなりません。保険診療を受けるのには、保険証の提出が必要で、それがマイナンバーカードでできるようになったわけであり、マイナンバーの数字と、顔写真の入った運転免許証を持ってきて、「本人だと分かって、番号もわかるから、どうせ機械に番号を入れて診察させろ」と言われても、それは従来通りで保険証がないのと同じで不可能なのは、わかると思います。
 多くの添付書類も今の段階では、決め事と、マイナンバーカードからのセキュリティのためと迅速な処理のため必要なのです。
 そのために、役所の人は結構苦労して、煩雑で間違いなく面倒な仕事をしています。

天使が舞い降りる25の法則

「天使が舞い降りる25の法則」
タカラヅカの楽屋に貼られている「ブスの条件25」の戒めを、自分なりに新解釈してみました。
逆説的に美男美女?で仕事をして、ひとが集まり楽しくできるかにはどういう条件が必要かです。
.笑顔がいい挨拶ができる
苦虫を噛んでるみたいで挨拶もできない人に誰も仕事を一緒にしたいとは思いませんね。
2.お礼を言える
3.美味しいと言える
4.精気がある
5.自信がある
6.愚痴をこぼさない
愚痴らず人の倍働く。時間が倍にならなければ倍工夫する、考える考え抜く誰かに聞いたり本を読んだり最低でも人の倍努力してみる
人と同じだけのことをしていても、つまらない仕事でしかない。人の倍やると、つまらない仕事がつまらなくなくなる。
非凡な人は普通の人の、最低でも3倍働いている。面白くないこと辛いことも経験であり、コヤシとなって人を大きくする。
経験していくことは決して無駄ではない。毎日がつまらないなら、それは君自身がいつまでもつまらないからだ。
つまらない毎日から脱却するのは、自分自身を面白くするしかない。
7.希望と信念がある
8.悪いときも周囲のせいにしない
「仕事が面白くないのは〇〇がバカだからだ。会議ばかりやってる。幹部はちっとも現場をわかっていない。こんな仕事やっていても意味ない」
今が楽しくないのは〇〇が悪いからだ(自分は悪くない)と思うことこそが、諸悪の根源である。自分の好きなことだけしないこと。
みんな「自分のすきなことで、自由にやれて、楽で、給料もよくて、楽しい仕事がしたい」と本当は思っている。でもそんな仕事は絶対にどこにもない。
なのでせめて自分の好きなことをしようとする。それもかまわないが、自分の好きなこと『だけ』をしていると、
結局はそれしかできないことになる。どこにもつながらないし、誰も相手にしないし、何も広がらない。
9.自分をよく知っている
10. 声が大きく元気
11.なんでもないことに傷つかない
12.他人に嫉妬しない
同期や同僚、同じ程度か自分以下の仕事しかできない人が評価されたり先に出世する不公平や不合理はどこにでもある。
自分の能力以上に評価され、昇進することほど、ある意味不幸なことはない。
高いレベルの学習・経験をつもうが、誰も褒めてもくれなくなり、自分を律して成長していくエンジンをうしないかねない。
嫉妬も不平も言わず、ひたすら自分に与えられた職務とそれ以外も、職階以上の仕事をしていく姿が、実は最高にカッコイイ。
13. 目が輝いている
14.いつも口角が上り気味
への字の口の両側を上げ、笑顔になるだけで、毎日すこしずつ面白くなる。
15.責任転嫁しない
16.共感したり感動したりする
17.楽観的に物事を考える
人間は何にでもなれる
必ずなると決意すれば、天使が舞い降り、不思議な力を発揮して、成りたいものに必ずなれる。
周囲を苦しめず 周囲を喜ばす 一歩一歩なりたいものになる努力をする。
天使の心に周囲の天使の心が集まり、なりたいものになるのを手伝ってくれ、幸運の出会いが始まり成りたいものに必ずなれる。
自分の中の天使の力を信じて、決意した理想は必ず叶えられる。
18. 問題意識を持っている
19. 他人に尽くす
自分の身の回り 机の周り クルマ 家 会社 せめてキレイに整理整頓。
他人とのネットワークはやがて自分が助かるときがある。
20.他人を信じる
21.人生においても仕事においても意欲がある
22.傲慢でなく謙虚である
23. 他人のアドバイスや忠告を受け入れる
24. 本当に正しいことは何か常に追い求める
いろんな情報があふれる時代。すぐに結論に飛びついて行動を起こしたくなる。
でも常にこれが正しいことなのかは、始める前に、最悪やり始めてからでもよく考える。
ときに集団も間違った意思決定をしてしまう。
昔は誰もが正義のヒーロー&ヒロインだった。いつからか悪の手下と手を結んでいるような自分がいないか!
25. 存在自体が周囲を明るくする
2017年秋イベントで一緒にお仕事したヘア&メイクアーティストの方
本当に明るく、積極的で仕事が好きで勉強が好きで、毎日が楽しくて輝いてるような人でした。
オフがほとんどないほど、仕事をかけもって、でも収入や保障は大会社のようにはいかない。
それでもあの人にまた会いた、話を聞きたい、指導を受けたい。
大会社で高給とってても、笑顔一つなく、ろくにゴミの片づけもできない人が残念ながら多かったです。
(美を売る会社、掃除道具売る会社だったんですが)
仕事って本来、苦しみ苦行であってはいけない。ましてそれが顔にでるようでは周りが迷惑な話です。
輝いていてまた会いたいなって魅力的な人に天使は舞い降りてきます。

二十四節気 大雪 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)

 12月7日からの大雪(たいせつ)とは本格的に冬が到来するころ。山々は雪に覆われ、平野にも雪が降り積もるという二十四節気です。
 今年も暖冬傾向とはいえ、時にみぞれや雪も舞い、朝晩は凍える寒気が来ます。
 この7日から10日ごろの時期は閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)と七十二候で言われ、天地の気が塞がれ、冬がおとずれる頃。空は重い雲に覆われ、生き物はじっと気をひそめています。塞ぐという言葉は、寒さから人々を守るという意味でとることもできるそうです。
 新しい年の準備をはじめる「正月事始め」もこの時期から行われます。おせちの予約、カレンダーや手帳などはとうに出回り、年賀状の準備も気忙しさを煽ります。

 今年も残り20日、仕事納めや休みを逆算すると、クリスマス商戦のピークがまもなく来て早くもカウントダウンが間近です。テレビなどでは、今年の〇〇とか、流行語や重大ニュースをとうに振り返りだしています。
 今年は世間的には、アフターコロナの本格的なスタートであり、インバウンドなど活気も戻り出した反面、ウクライナが停戦されない間からガザの戦争も起こり、世界も騒然となりつつあります。物価高も収まらず、ここへ来て岸田政権や自民党も大きな問題を抱えて来年に向かいそうです。
 岸田さんは別にして、仕事でもプライベート、勉強等でも、今年の宿題、課題をなるべく今年中に終わらせたいものです。それは理想と言われるかもしれませんが、なるべく引きずらず、責任の所在や問題を明らかにして、スケジュールだけでもはっきりさせ年内に目処をつけたいところです。せめて、何とかなるさと思いこめるか忘れる程度に、仕事納め、今年中までにしておきたいものです。
 大掃除、気持ちの中も掃き清めておきたいです。

簡単には語れない赤字ローカル線廃止

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 JR西日本が先月末、赤字ローカル線の最新の収支(2020年度~2022年度の平均)を公表しました。 東日本や三島のJRも苦しい線区を公表していますが、ここは西日本からですみません。
 公表されたのは、2019年度時点で1キロ当たりの1日の平均乗車数「輸送密度」が2000人未満だった17路線30区間です。  対象となった主な路線の2020~2022年度の「収支率(運輸収入÷営業費用)」と100円稼ぐのにかかる費用を示す「営業係数」、2022年度の1日あたりの「輸送人員」のワーストから並べると下記のとおりです。
 ・芸備線(東城~備後落合)0.6%/1万5516円/20人
 ・木次線(出雲横田~備後落合)1.8%/5695円/54人
・大糸線(南小谷~糸魚川)2.6%/3835円/108人
・芸備線(備後落合~備後庄原)2.6%/3777円/75人
・姫新線(中国勝山~新見)2.7%/3745円/132人
 ワースト区間の芸備線は1日利用わずか20人、100円稼ぐのに1万5516円です。
近畿圏でも、このほかに加古川線、山陰本戦、播但線、関西線、紀勢線、小浜線など多くの路線が赤字で、JR西日本は、これらの路線については「大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に発揮できていない」として、沿線自治体と課題を共有することで、鉄道の上下分離などを含めた協議を進めていきたい考えです。
 都市部を抱える、私の住む京都府やその他近畿の兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県なども中には過疎路線を抱えています。
 廃止や三セク化、バス転換もかなり現実味を帯びています。ワースト5は一部末端区間とはいえ、その近くも似たりよったりで、貨物輸送でもなければ、線ごとの廃止などの処置も十分考えられます。
 青春18族が、シーズンの休日に乗る時は、多少なりとも乗客はいますが、オフの平日などはからっきしで空気を運んでいるのが良く分かります。買い物や通学、通院に必要と議論してもそもそも利用されていないのです。
 観光といっても、鉄道だけでは観光地の目の前には行けません。通院や買い物も同じなのです。駅前に大型の商業施設や病院でもあれば違いますが、そちらはクルマのテリトリーというケースが大半です。
 高速での快適な移動でも、きめ細かな日常への用務でも、鉄道がクルマに勝てないのです。
 それでも、鉄路は遠くに繋がり、夢があります。カッコいい電車が走れば、子供やファンは目を輝かせます。三陸鉄道にしろ、只見線、仙石線など被災で復旧、再開した路線が復活した時の、地元の喜び、子供たちの歓声は心に響く、特別のものがあります。
 大人というのか、政府のトップが日本全体の交通体系、ネットッワーくの中で、鉄道の在り方を考えないといけません。ただ赤字だから、どんどん廃止でいいものなのかです。
 故田中角栄の日本列島改造論ではないですが、かつて地方各地の政治家は、北陸や東北、山陰、四国はじめいわゆる今のJRでの三島会社のエリア含めすべての地方に新幹線をめぐらせ、大都市圏に地元が劣らない利便を持つことが日本の発展と考えて、力を入れて綱引きもしたわけです。
 新潟を皮切りに新幹線が早めにできたところと今ようやくというところ、鉄道が空白に近いままの地域もしくは、ローカル線のままのところでは、地方間でも大きな差になりまあした。かつては、街道や海路の港や宿場で栄え、耕作地もある地域でも今は過疎で見捨てられそうなもったいない土地もあります。
 航空会社、鉄道会社、道路公団がバラバラでは物流も人の流れは上手くいきません。政治が道を開き、コロナ後でもリアルが必要で、住んでいける国土、地方を今創生しないといけないのです。

年金生活が苦しい 退職金ジリ貧の元凶は?

出典:厚生労働省「就労条件総合調査」野村證券編集

 大卒で定年退職した人の退職金(45歳以上、勤続20年以上の平均)推移のグラフです。
少し前に問題になったいわゆる「定年後2000万円問題」60歳定年後の誰もが、年金を受け取るまでに預貯金が2000万必要とか、退職金だけではとても暮らしていけないと嘆く時代です。年金も退職金も20年以上遡るひと昔前の退職者の親ぐらいの世代ですと、今より1000万ぐらい多いのが如実に分かります。
 そうです、この20年で厚生年金の受け取り額も下がり、退職金もジリ貧の体たらくです。
IDECOが導入され、企業の負担も減ったはずなのに、退職引当金は他の内部留保に回されていたり、それ以前にバブル以降そこまでの利益がない企業も多いのでしょう。
 私の知識不足、リサーチ不足なので、不明を恥じる想像の部分が多いのですが、いったいなぜこんなに退職金が改定され、下がり続けることが許されてきたのかが良く分かりません。
 というのは労働者に不利益を伴う退職金の改定は、労使の合意が必要で、労働組合が断固拒否すれば、おいそれとできない取り決めのはずです。
 毎年毎年、春闘では賃上げを要求し、それなりのポイントで妥結しているのに、こんなに平均の退職金が下がっている。多くの大企業から中小企業までほとんどの企業の労働組合が甘んじてその改定を呑んでいるということです。
 共産党や野党が選挙やらで増税論争のたびに、「企業の内部留保をやめさせ賃上げや待遇改善に回せ、増税なら法人税を」と言いながら、退職金がどんどん下げられるのはスルーされていたのです。
 退職金の改定、春闘などの闘争ポイントでは直近の対象者が少ないので、全員が目先で全て対象になる賃上げや賞与ほど注目されない点があります。私も若い頃、労働組合員で職場委員や支部長などはやったことがありますが、自分にすぐ降りかかる課題ではなかったのか、記憶に薄いほどです。
 しかし、今老後資金が多くの中高年の労働者に問題になる中、こんなに不利益に改定されたのは目くらましか「陰謀」でもあったのかと思えるグラフです。
 多くの企業が昭和から平成にかけ、バブル崩壊からコロナ禍まで失われた30年ほどの間に、不祥事やら経営危機、合従、M&A、持ち株会社化などで平準化されたり、大規模なリストラもあり激動の中ではありました。
 企業独自の、社内福利厚生などいい面があっても、平準化の中では停止されるものもありました。
 AとBという会社が合併する場合、たすき掛け人事や支店の統合なども大変ですが、労働組合も、給与などの人事制度も最終的には統合されていきます。そんな中で、優遇されていたものは同水準に統一されていきます。
 リストラなどは、組合交渉もまず雇用が優先されて、早期退職などの退職金割り増しの提示がされ、総じてその際の枠組みの中で、賃金、賞与、雇用が守られて、退職金の積み立ては早期退職者に回すために残る社員の分を漸次減額されていったとは推定できます。
 それにしても、組合の力の無さなのか、経営陣に丸め込まれたのか、このグラフは納得できない数字です。春闘で、妥協点が最初から出来レースで分かっていても、徹夜交渉とかで、微増を勝ち取るとか悦ばせておいて、退職金はしれっと(早期退職増額を目立たせながら)改定していったのでしょう。
 死んだ子の年を数えても仕方ないですが。バブル以後の労働組合などはもう頼りにも何もなりません。コンプライアンスが社会にも浸透しだしたので、あからさまなパワハラ、セクハラ、労働協約違反は減りつつあります。それは労組が守ったのでも何でもなく、監視の法律が強化され社会全体が変わったのです。
 老後の退職金が時代とともに減ったことは、あからさまで分かっています。もう少ないことが分かって就職した人は自分で準備しないといけないことです。
 数字で改めて見ると減っていった時代を経験した我々の世代は残念なことです。
 労働組合は選挙の集票などやめ、もっと、本当の福利厚生、労働者の幸せ、退職金がこれ以上下がらないよう、努力しないといけません。
 

キックバック お金のかかる政治

 

 あんまり心地よいニュースではないです。自民党派閥の政治資金パーティー問題が相当に党の議員にとっては深刻になっているようです。決着というのか落としどころというのはまだまだ分かりませんし、自民党一強時代でなぜこんな問題が発覚したのか、単なる浄化作用とも思えずそのあたりも今後の展開を待つしかありません。
 また野党やマスコミが活気づき、経済や外交などの重要課題そっちのけで、不毛の追及と防御が始まろそうです。横領があれば犯罪ですから、追及は検察に任せ、国会は普通にして欲しいものです。
 政治とカネの問題は、何度か浄化のための法案が取り決められても、もうずっと浮かんでは沈みの懸案課題です。せっかく小選挙区比例代表制にしても、相変わらず選挙にお金がかかるのか、集票とお金をめぐって違反のような話題は消えないです。自民党がこんなに安定多数を持っていてどうし、どっしり構えた政治ができないのか残念ですし、政権交代可能な二大政党制のためと言われた小選挙区制が、結局お金もかかり、ほぼ機能していないのも悲しいところです。
 ほぼ若者には見捨てられた政治、国会は信頼と支持のためどうするのでしょうか、見守りは必要です。

年金生活者支援給付金というクソつまらない制度

 2025年の年金改革の前にもう少し検討してやることがあると思うのですが、小手先の物が多すぎます。
 私が社会保険の仕事を始めた令和元年のその10月から始まった制度です。タイトルの言葉が乱暴ですみません。
 あまりにもつまらない、アリバイ作りみたいな手間だけのかかる給付を毎年続けているので、つい怒りがはじけました。
 この制度の細かい部分についてハガキの問合せ、「詐欺ではないのとか」「隣の〇〇さんと、年齢が同じなのになぜ金額が違う?」など問合せも多かったです。

年金生活者支援給付金】は、消費税率引き上げ分を活用し、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の方に、生活の支援を図ることを目的として、年金に上乗せして支給するものです。
 これだけを見ると良い政策に見えますが、その内容は対象者も限られ金額もショボいものです。それもそのはず、厚生年金を受け取っていて、現役時代とはシュリンクした生活を強いられていて消費税増税の影響を受けた多くの年金生活者には全く関係はないのです。
 以下の支給要件をすべて満たしている方が対象となります。
(1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
(2)同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
(3)前年の公的年金等の収入金額※とその他の所得との合計額が878,900円以下※である778,900円を超え878,900円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。(これは境界線以下と上で所得の逆転をさせないためです)
 【給付額】肝心な部分、ちょっと複雑です。
 細かく斜め読みでも、飛ばしても結構です。

 月額5,140円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出され、次の(1)と(2)の合計額となります。 
(1)保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5,140円 × 保険料納付済期間/ 被保険者月数480月
(2)保険料免除期間に基づく額(月額) = 11,041円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月保険料免除期間に乗ずる金額は、生年月日で変わり、毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変動します。
昭和31年4月2日以後生まれの方は、保険料全額免除、3/4免除、半額免除期間については11,041円(老齢基礎年金満額(月額)の1/6)、保険料1/4免除期間については5,520円(老齢基礎年金満額(月額)の1/12)となります。
昭和31年4月1日以前生まれの方は、保険料全額免除、3/4免除、半額免除期間については11,008円(老齢基礎年金満額(月額)の 1/6)、保険料1/4免除期間については5,504円(老齢基礎年金満額(月額)の1/12)となります。
 で、実際には家族に養ってもっらっていないで国民年金だけの方が480カ月全て納付もしくは免除というケースですが、実際にはそう多くないですし、これだけでゃ月12万~15万ぐらいはないと生活できないので生活保護を受けていることも多いはずです。

 要するに月6万5千円貰っている人に、5千円強を増やす。
 免除期間があると増えますが、未納の期間があると5千円をどんどん下回った額になります。生活保護が必要な月2万程度の年金だと、千円程度増えるだけの通知が行きます。
 多くの実際の年金生活者には関係なく、国民年金のみの方を対象に、煩雑な計算で老齢基礎年金に別建ての行で振り込み、多くの方は生活保護も受けている。ならベーシックインカム論と同じく年金か生活保護に一本化して、消費税や物価にスライドさせればどれだけ手間が減り、事務が楽になり人件費が下げられる。たかが5000円程度に年金と別建ての送付や、振り込みに毎年どれだけ経費や手間を使い、そんなものは抜本的な生活基盤にはならないのです。
 何かが間違っています。頭のいい人の、やっている感、アリバイだけのようです。
 こんなものはすぐやめて浮いた経費を一律給付か、年金給付、年金財源に充てるべきです。こういう俯瞰して見れない、セクト型の頭の良い馬鹿が霞が関には多すぎる典型例です。今後、財務省とそこに洗脳された与野党の政府、国会では更なる消費増税が来る可能性もあります。増税の影響を蒙る多数の層は誰かを感じ、政策を考えないとだめです。

ハラスメント

 流行語大賞も「A・R・E」に決まり、日本シリーズの関西対決、WBCと盛り上がった野球、サッカーでも神戸が初優勝。バスケやラグビーも盛り上がった1年でした。
 そんな中、プロや大学スポーツも含めアスリートの残念な不祥事のニュースもありました。
旧ジャニーズ事務所、歌舞伎役者、宝塚歌劇団とまだまだ旧来の因習のような忌まわしい事件も多く報道された1年でもありました。
 私の推し球団の楽天イーグルスでも中堅選手のパワハラ問題が持ち上がりました。
 WBCの爽やかな大谷翔平のインタビューを聞いていたら、そんなことありえない時代のはずなのにと、体質を責め加害者を糾弾したくなるファンも多いようです。
 実際にはイジメの事実があったアスリートや性加害者や不倫騒動の選手が現役で高年俸で活躍しています。
 一度の過ちを許さないというのではなく、寛容にその才能を認めて活躍させていく社会とも言えます。
 体育会系といえば身体能力が高い先輩が後輩に厳しい指導をして、礼儀を教えるのが伝統だという組織もあり、それがいい選手の輩出に繋がっているところもあります。昭和から平成のかつての名将、名監督は鉄拳制裁も当たり前でした。八百長でもない限り、選手の処分はありませんでした。
 ある監督は多少パワハラや金銭疑惑の噂もありながらも、結果を出して平成でもいまだ伝説的にもてはやされています。
 プロのアスリート、あるいはアーティストは才能を開花させて、魅せてお客様を悦ばせる存在であり、労働基準法を適用させて残業を貰い、厳格なコンプライアンスを守る公務員やのようなものではないと思います。
 才能はあるけれど、発達障害的な部分も多く、周りがうまく扱わないとやっていけない。所属チームの構成によって、実力を発揮できるかうまくやっていけるかは運しだいのようなところがあります。たとえば、好きなスポーツ(芸術)があって、その学校の部活を選ぶとき、先輩や顧問がどうしようもない人物だと、他のスポーツの部活に入るとか、地域クラブなど外部の組織に入るあるいは学校を変わるなどの選択をする考えが必要になるのと同じです。
 日本のスポーツが相対的に強くなっているのは、体格が良くなってきたりいろいろ要素はありますが、旧来のパワハラ体質がずいぶん改善はされつつあると思います。それだけに、ある程度の伝統は守りつつ、のびのびと多くの人の才能が発揮できるようにと思います。
 

高齢者のつまらない仕事?

 ある経済アナリストが、「高齢者にはクソどうでもいい仕事で低賃金」で働く社会を非難して、年金と吝嗇、家庭菜園で生きられるのにと、暴言めいた話をしていました。社会保険などの批判もあったのでしょうが、60歳以上で良い仕事が選べない人が多い中、やや配慮に欠ける発言です。
 勝ち組負け組という言葉は、半沢直樹ではないですが、私も嫌いです。テレビの仕事や著作で儲けてるその人や、役員で高齢まで働き、資産運用や退職金と年金で悠々自適な人は勝ち組と言わるかもしれませんが。英語でブルジットジョブという、やっている人も何の意味があるのか分からない仕事、どうでもいい仕事は日本にはそうありません。
 働きたくともよい仕事がない、国民年金を70歳まで義務にするなど、お役所的発想に洗脳された議員さんがいるのにも辟易としますが、高齢者の多くはプライドを捨てるようなキツイ汚れ仕事、危険な仕事など、それでも社会に絶対必要で誰かがやらないといけない仕事を担っています。
 実際にお金がないし、年金も少ないとか働く動機はそれぞれでしょうが、仕事に厳密には貴賤はありません。むしろ低賃金で厳しい労働をしている人は称えるべきです。災害や外国の脅威から国土を守るとか、原子力発電所で被曝におびえながら作業をするミッションも誰かがやらないと成り立ちません。
アナリストやインフルエンサー、経営顧問などがいくら稼いで勝ち組だと言っても、社会を支えれ基盤にはなりません。それこそ、高額報酬のクソどうでもいい仕事です。
 60歳で経営層や幹部、役員で何倍もの報酬を得て、あるいは貯めたもので働かずに楽に老後を過ごせるのが、本当にエライ勝ち組ではないのです。
 自分のためでも誰かのためでも、社会のために仕事をして、低賃金でも貢献して、皆の役立ち感謝をされる人間こそ勝ち組と呼ばれないといけないのです。

田中角栄は歴史上の人物になってしまった

 田中角栄と言う人は、物まねされやすく、最近でもタモリさんがテレビ番組で、麻生太郎氏も国会でユーモアを交えてウケてはいましたが、リアタイで知らない世代がどんどん増えていることには愕然とします。
 後世のタレント物まねで知っていた程度、それもそのはずか1918年生まれなので大正時代の生まれであり、総理になったのは1972年(昭和47年)7月からで1974年12月には退陣しています。その後も派閥を束ねるボスではあり続け、78歳で亡くなっています。
 首相退陣後、ロッキード事件で収監され、闇将軍として暗躍するも田中派は分裂して、影響力は落ちた晩年でした。しかし、高度成長期を懐かしみ、強いリーダーシップを望む人々から田中角栄の評価は上がり、復権しています。
 日中国交回復や日本列島改造論など、ぶち上げてやり遂げたことのスケールは大きく、今の日本を大きく近代の優等国に導いた功績は大きいでしょう。
 亡くなられたのは1993年平成のはじめ、活躍時期を考えると、今の若い人が歴史上の人物とするのも分かります。大正から平成のはじめまででは。世代がいくつも前ととられます。経済成長のためには、まだまだ日本人は働きづめで、人権やコンプライアンス、ハラスメントましてやLGBTなどという言葉すら誰も知らなかった時代で、今と違うと言えばそれまでです。ただ政治家が自分の信念、意志を強く持ち、突き進む責任をとるところは、今の時代の誰にもない人物でした。
 尋常小学校しか出ていないで、当時はお金の力も人たらしの力もあって、大正生まれとしては初めて若くしての総理で今太閤ともてはやされました。そのため官僚や米国、同僚にもやっかまハメられたのでしょう。
 日本列島の隅々まで、新幹線や高速道路などのインフラをはりめぐらせることは、彼の強い意志と推進力が無ければできませんでした。日本海側は発展することもなく今以上に過疎で寂れたままで人口減を迎えたと思われます。
 公共投資は企業を通しての所得の地方への再分配でもあり、経済政策なのです。そして未来の日本をデザインするもので、年寄り世代がそんなもの必要ないとか自分は老い先短いから利用する機会がないと反対するものではないのです。
 夢と未来を与えることをしっかり語れる国のリーダーが今こそ求められます。

一番苦しかった時に助けてくれた古都の女性 

 転勤での仙台時代に、妻と子が同時に入院するという最悪事態を経験しましたが、いろいろ思い返すと自分にとっては一番厳しいのが東北から関西に戻ってきた数年でした。
 決して栄転ではなく。地元の方が家族の面倒を見てくれる人もいるだろうぐらいの配慮で、東北でのドル箱の企業担当も昇進も手放し、名ばかり管理職のような扱いでした。実際には権限がなくノルマがきついだけの状況で、家族事情などの考慮もなされる訳はありませんでした。
 四面楚歌。近畿地方のある県に赴任した時期、妻の乳がんが再発。当時の見立てでは再発での余命は5年程度。小学生の子供二人がこれから経験していくライフイベントを見ることが難しいという宣告でした。
 頭が真っ白になりそうな中で、割り切って仕事に集中するほど出来た大人ではありませんでした。
 肝心なところでは、無理して顔を出してこその営業職らしさも、先を読んでの根回しなども何もかも面倒になりました。
 優秀な部下や上司でそこらを分かれば何でもなく乗り切れる体制はありません。昔から古い甘えの構造で生きて来た体質の部下は、おだてて、おぜん立てをして、支えて後押ししないと文句ばかり、上げ足取りに終始するような者が多かったです。
 そんな中で、最大の取引先の大手ドラッグストアチェーンMの県内唯一の店を担当する、平石春子さんと言う女性は、ポイントの毎月の打ち合わせをすれば、あとは独力でやり遂げ、仕入れの数字も無理をして作れる優等生でした。
 細い腕で華奢な体ながら、従順で、的確な質問しかしません。何より、私を立て支える優しさに満ちていました。
 それに比べ。Mの吸収されそうながら地元の薬店で、昔ながらの取引先との人間関係やら、手のかかるこだわりの販促を要求してくるKという店には苦労しました。イベントの打ち合わせも長く遅くなり、どうでもいい内容につき合わされ辟易しました。そのイヤ感がお互いに伝わり、担当の町田裕子ともども最悪の関係でした。まあ、まだ当時のベテラン社員のビューティ担当部員は高卒で、理屈では動かないタイプが多かったのです。
 社内でも、取引先でも徹底的に攻撃してくる町田さんには正直呆れますし、ギブアップでしたが上司とも反りは悪く、手が付けられない感じでした。町田の担当のKには頼むこともなく、最低限しか足を運ばず、知らず知らずに平石さんの方に頼り勝ちになります。
 そんな期待に彼女は良く応えてもくれましたし、町田さんとも最低限のパイプはつないでくれました。心優しく見えて芯はしっかりしている、小さい子を育て保育園に迎えに行く、シングルマザーでした。上司からは「平石はああ見えて、強いし、譲らないところは譲らない。離婚の時はスゴイ権幕だった」と意外な面も聞きました。
 私は、家庭のことで小手先の仕事しかしていなかったのか、平石春子さんのそんな面は想像もつかずに一緒にやっていました。
 どうしても、電車の時間に遅れ、お迎えに間に合わない打ち合わせが延びた夜、そんな春子さんを送って営業車を走らせました。
 2歳保育の小さな女の子ナナちゃんを迎えに行くと、子供にも保育士にも私は変な目で見られました。
 それにしても、キャリアウーマンから優しい母親に一瞬で変身する春子さんにも感動しました。
「今夜は本当にありがとうございました。助かりました」
 暴力なのか浮気なのか、ギャンブルやお金なのか、こんなに健気で美しい妻と離婚する男の気がしれませんでした。
 卒乳がまだできない、少したどたどしいおしゃべりであどけない女の子と母乳を与える母親。何度かお迎えをするうちにすっかり私にもなつき、笑顔を見せるようになりました。
「イノウエしゃん。ナナのパパになって」
 ナナちゃんの笑顔と、それを支える春子さんの仕事ぶりが、最悪の時期の私を何とか持ちこたえさせた清涼剤、いや奇跡的に鬱に陥らなかった力の源だったかもしれません。
「もしかしたら、このままここに」
 と不謹慎なことまで考えたことさえありました。
 古都の静かな街の小さなマンションで、子供の喧騒の中にも癒される時間がありました。子供は周りにポジティブな影響を与えてくれる何か力を持っているとも思いました。

 あの最悪の時から、10年以上を過ぎました。あの時の仕事もその会社、組織もすっかり変わり私は定年を迎えました。子供もある程度巣立ち、妻も子供もあのシンドイ時期を振り返ることもなく、平凡でどこにでもなる家庭に収まっています。

「あずさ」と「やくも」

 鉄道バナシで興味のない方も、♬8時ちょうどのあずさ2号で~というサビの昭和歌謡「あずさ2号」という曲を聞いたことのある方はいるかもしれません。いずれにしろ随分古い歌で1977年だそうで、私が高校生の時、学園祭で友人が唄っていた記憶がかすかにあります。
 昔は、JPOPなどと言わず、歌謡曲が全盛でした。ロックやフォーク。JPOPでもバラードはあるので、こういう歌謡曲とどう違うのかとも思います。今聴いてもせつない歌詞で、サビが力強く盛り上がり良い曲です。
 翌1978年に特急のナンバリングが下が奇数、上りが偶数に統一され、あずさ2号は甲府発になり、8時ちょうど新宿発は今でも存続しますが、わずか1年半で2号ではなく「あずさ3号」になっています。
 ベージュっぽいクリーム色にオレンジのツートンの国鉄特急色でデビューした車両はJRになって、改造グレードアップされた車両を経て、JR化後の新型車両、タキシードボディと称えられてE351系が振り子式構造を持つ速達型のスーパーあずさに投入されました。その後、全国鉄型車両を置き換えるため2001年にはE257系が投入されて、中央東線から国鉄型あずさは臨時を除き2002年に引退します。
 そのJR化以降のE351系、E257系も2017年にさらに新型の5代目E357系(写真)車体傾斜機構搭載の車両が投入されると2019年までに速達タイプ含め一気に置き換わり、全「あずさ」「かいじ」が最新鋭の車両に統一されました。
 これがJR東日本のお話、東日本も東北上越北陸の新幹線と、首都圏の通勤輸送を担うとはいえ、東北や関越のローカル路線も多く抱え、東海道新幹線ほどのドル箱はない中、常磐線「ひたち」「ときわ」と並び、中央線の在来線特急によく注力しています。
 ところが、同じく新幹線と大都市通勤、赤字ローカル線を抱えたJRでも西日本は、振り子特急でなんと国鉄型がまだ健在です。


 来年以降順次置き換えと言われますが、岡山と島根県出雲を結ぶ新幹線から陰陽連絡と特急「やくも」は塗色こそ替えていますがあずさ2号が唄われた1972年頃の同期が走っていて、ラストランを惜しみ訪れているファンもいますが、愛用者地元には失礼な東西格差です。
 首都の中央駅と、新幹線が止まるとはいえ地方の岡山発では比べると人員数は大差です。それでも中国地方の中心の県庁所在地岡山からの特急です。
 さすがに東日本はJR化後の新造車両も淘汰して2代も3代も代替わりする中で満を持した新型車両なので、JR西日本の意気込みは感じられるビジュアルでスペックでしたが、JR化30年くらいの差がついた状況での投入です。
 旧車両は安全面、乗り心地などさすがに限界ではないかと思います。いくら懐かしい走りとかノスタルジーを求めるマニアがおろうが、早くとっかえて欲しいものです。
 たしかに国鉄の時代の懐かしさというのはあります。
 日本がまだ発展し続けて、地方でも駅や電車に人が溢れ、迎えに来る人、送る人に温かみがあった時代のなごりが、来年の春にはいよいよ消えます。
 そんな時代を、もう日本人は昭和歌謡とともに旅立ち忘れてしまったのです。