平均寿命,平均余命,健康寿命

ファイナンシャルプラン、社会保険、年金などでは平均寿命とかの言葉がよく聞かれます。残りの人生の期間を算出し、どのくらいの支出に備えるのかです。
 平均寿命も、毎年伸びています。男性でも81歳ぐらいになってきています。若くして事故などで亡くなった人もいますから、今の中高年の方の余命はそこからさらに少し先となります。
「長いなあ」と感じる人もいれば「まだまだ生きられる」と思う人もいます。人生100年時代というのは、生物学的にも実証されているようで、目だとか内蔵などのパーツは120年以上もつようになっているそうです。脳科学の話で聞くと、100歳まで脳は成長するそうで、還暦というのは成熟してから期間としてはまだ半分なのだそうです。

 それでも、著名人の訃報などを目にすると、60代後半から増えだし、70代に入るとイッキに増えます。持病や事故、不規則な生活など、自分にはあてはまらないと楽観する人もいますが。100歳まで生きる人が平均を上げていることを考えると、60歳ぐらいから亡くなっている人はかなりいるわけです。平均の数値を植え付けられると、多くの人がそのポイントで一斉に亡くなるように思われますが、そんなことはないのは少し考えればわかります。
 繰り下げの年金制度で、年の年金額を増やそうと貰うのを遅らせても結局貰えないとか使うこともなく死ぬ可能性はここにあります。優雅な老後と思いながらも、結局はこの年齢になると命はあっても、病気で療養という可能性もあります。健康寿命は平均寿命マイナス10と言われます。そうなると、まだまだしっかり歩き、活動できる期間は案外残り少ないのが中高年の現実です。
 だからこそ、いろいろ健康に気を使いながら、お金は大切にしつつ使い、やっておきたいことをやり、会いたい人に会う、悔いのない毎日を過ごすのがベターと思います。

読書レビュー:坂本貴志「ほんとうの定年後」       高齢者の生き方、働き方

 帯の煽りが良いのか結構売れた本のようです。内容は、良く細かいところも調べてはいます。

 60歳の還暦、定年にジンと来ていたのもつかの間、あっという間に後輩たちも還暦を迎える報を受け、次は雇用延長も終了?の企業が増える65歳を迎えようというのが私たちのの世代です。
 学校を卒業してから勤めだし、定年延長まで働いた人は確かに大きなターニングポイントになる65歳ですし、体力的にも自営業などの方もそろそろ事業を継承や引退を考える時期です。そういう世代、あるいはその手前の方、もう過ぎている方にも大いに参考になる、働き方、生き方の本です。
 この本は1985年生まれのエコノミスト、アナリストによるもので、こまめに分析されています。他の方のレビューでも見かけましたが、やや男性目線の話が多いと指摘されています。しかし現在の高齢者がかつて「男は仕事、女は家庭」が主流だった時代を生きてきている関係もあるである程度仕方のないところでしょう。
 あと10年もすると、専業主婦の割合は増えだし、今の若い人が高齢になった時は世帯の年金や働き方としては男女がかなり似かよってきます。

 ルポ、体験談などは自分も経験してるし、見聞きしているのでそう目新しいものばかりではないですが、統計値を見ての論説にはうなるものがいくつかありました。
 形はどうあれ70代でも働いている人の割合が半分近いのには驚きました。裏を返せば半分ぐらいは働いていないのです。年金や家族の扶養、貯金の食いつぶしで生活しているということです。ごく当たり前のことですが、なるほどそういう割合なのかと思います。
 
 70歳をすぎて、ゆとりのためならいざ知らず、生活費のために働かざるを得ないのも厳しいなあとも感じていましたが、働かないでも食べていけるから絶対幸せで居場所があるかはわかりません。
 高齢、この年齢になって、さらに70代、80代で、居場所というのか、終の生き方を見つけるのが大事なところです。
 私自身は大企業を60歳で延長せずに定年退職し、その後公務員のような仕事にありついています。化粧品のメーカーからは随分変わった転換をしているように思われますが、60代手間から、随分と「働く」ことへのプレッシャーは減り、自分を見つめ直す機会に恵まれたのは、この本に書かれている通りで決して非凡ではないとも感じました。
 とくに若い頃は、目の前の仕事を必死に頑張る藻は大事ですし、そうしないと食っていけません。それでも将来を見据えて何か自分で学び、身に着けていくことは大事だと思います。学生時代から社会人になっても勉強して、身に着けたことは必ず何か後で役に立つ、損をすることはないと思っています。

2025年金制度改革速報!?

 

 参考となるのは「令和6(2024)年財政検証結果の概要」(2024年7月3日、第16回社会保障審議会年金部会)ですが、かなり長文で難解で、要約しても何かわかりにくいかもです。
 正式に決まるのは与党、国会を経てですが、マスコミの速報でも「65歳までの国民年金の拠出期間延長」は見送られたもようです、さんざんネットでも100万円の負担増とか言われていました財政上は有効なのに、批判を恐れるのか無理だと判断したようです。
 あとデマ混じりに、「付加給付」「遺族年金」「3号制度」が無くなると言われていましたが、それもありません。抜本的な改革が今後持ち上ればですが、今具体的に出ていないとまずないでしょう。
 遺族年金や寡婦加算などの男女格差についても触れられていません。マイナーなので効果も測定されてなにのか触れられていません。幹を変える議論中心なので、枝葉の部分ですから、逆に小さく改定される可能性は残ります。
 報道では「在職老齢年金の撤廃」「厚生年金要件拡大、扶養106万の壁の撤廃の検討」に言及されていますが、世論の観測気球的な場合もあり、支持率下ルならやめようかみたいな可能性も残ります。
 そんなことでは大きな改革などとてもできなのですが。2025年で大きく変わる可能性は小さいかもしれません。

 【ニュースの要約】
 7月3日発表、厚生労働省が年金制度の財政検証結果を公表し、所得代替率が50%を維持する見通しとなった。財政検証は5年に1度行われ、今回の結果を踏まえて与党との年金改革議論が進む予定です。
 所得代替率は2024年度に61.2%見積もられ、基礎年金の拠出期間延長案が注目されました。具体的な案として、拠出期間を45年に延長することで所得代替率が6.9%改善するが、負担増加も懸念されています。(負担増のブーイングがあり、今回は見送られそう。ある意味残念)
 厚労省は他の改革案でも所得代替率向上の可能性を示唆しました。
 年金制度改革は財政の安定性や信頼性向上だけでなく、人手不足対応も重視されている。在職老齢年金制度の撤廃案や第3号被保険者制度の見直しも提案され、労働力不足問題への対応が求められています。
 特に在職老齢年金撤廃案では、給付が増加する一方で将来の受給世代に影響があり、年金財政に悪影響(2029年に0,9%)が及ぶ可能性も指摘されてはいますが(それでも撤廃案に踏み込むようなニュアンスです)(ここは観測気球なのでしょうか)
  第3号被保険者制度の改革も労働力不足を考慮し、年収106万円超えると問題が生じる「106万円の壁」が存在しています。
 女性の社会進出を促進するためにも制度改革が必要であり、高齢化が進む中での課題に対処するために政府は抜本的な年金制度改革を急ぐ必要があることは明らかです。来年の年金改革に向けて政府の積極的な対応が求められています。

 たった0.9%の財政悪化など、景気や少子化の予測の誤差の範囲で、積立金の配当でカバーできそうなものを、在職老齢年金撤廃が、「働き手確保OR給付財源優先か」世論の様子見でまだ微妙です、この報道だと、反発が少なければ撤廃の方向ではあるようです。
 所得代替率が6.9%も改善できるのに既得権の反発怖れて、国民年金拠出5年延長45年案は据え置きというのも情けない話です、
 ベーシックインカムなどの抜本的改革など考えてひねり出す政治家や官僚が現われないのはとても残念。
 結局、受給者、勤労する高齢者、受給期間の近い中高年、遠い若者、それぞれの顔色を窺いすぎてたら何も変わらず。制度がつぎはぎだらけで老朽化し、誰もが不満のままジワジワ沈んでいくのではと思います。
 早く決めないと5年の拠出延長も経過期間を考えると実効はとても遅くなります。
 女性を中心に働き方は昭和61年頃とは大きく変っているのに、3号制度もですが、遺族年金の規定、中高年寡婦加算などは手付かずだと、実際に世の中との乖離が長く続きます。イッキに変えないと一貫性もない部分もありますが、寡婦加算や遺族年金の男女不平等など早く止めたらと思います。マイナーチェンジから始めればいいと思います。

 個人的には、あまりにも経過措置が煩雑になりそうで事務方も大変だと同情しますが、そんなことは偉い人にはわからないです。

使い捨てられる傘

 雨の季節なので傘の話題ですが、日本は雨が多い国ということもありますが、世界一傘を生産して販売している国です。これは人口比では圧倒的に多く、消耗品ではないのですが、成人一人より多い1億3千万本の傘を販売しているそうです。
 その6割以上はビニール傘で、年間8000万本消費され、もはや使い捨て感覚で購入している層も多いようです。
 コンビニに勤めていた人に聞くと、コンビニで忘れ去られるというか、気にしないで置いたままになるビニール傘といいうものは物凄い数になるようです。大型のゴミのステーション用コンテナが満杯になるほどですから、ある意味すぐ燃えるゴミになる弁当などの食料品系の残飯ゴミよりも廃棄に困り性質(たち)が悪いのです。
 私の勤めていた会社や役所でも,ルールを決めて処分しているところ以外では、とにかくどうでもいい誰のカわからない不潔な傘が溜まります。いざとなると傘立てが満杯で使えないというぐらいになります。
 梅雨時や真夏は出かける時晴れていても、急な雨にあうことがよくあります。しかし、大金持ちならいざ知らず、税金や物価が高いと言いながら、コンビニで傘を買う贅沢というか浪費をする人の多いことには驚きます。そもそもお金持ちやファッションに敏感な人は、しっかりした機能、デザインにすぐれた傘を持ち、安っぽいビニール傘は持たないでしょう。
 コンビニの少ない田舎や、30年~40年ぐらい前の日本ではまだ、傘は使い捨てのようにポイポイとされていませんでした。靴下と同じように、破れれば繕い、骨を修繕したり交換したりして使い続けていましたし、どこかに忘れたとなれば必死で探したものです。
 急な雨で傘が無いとか、忘れると、駅前まで家の人に傘を持って迎えに来てもらう光景もありました。本当に家の人も来ないと誰かと相合傘でということもありました。
 今は相合傘も死語に近く、お迎えの微笑ましい光景も、見かけることもありません。
 こと傘に関しては、直したり、失くさないように大事に使う精神がなくなったのは残念なことです。
 「またコンビニで買った」などとお金をどぶに捨てる自慢をしてないで、夏などは置き傘や折り畳みを晴雨兼用で持つなど少し考えればできそうなことをやらない人が多いのは何なのでかと思います。
 賞味期限の過ぎた食品、靴下や下着なども丈夫でも一度破れれば終わりで捨てられます。
 スマホはじめ家電なども値段の割に保証期間を過ぎると壊れやすいのもが増えて、新しいタイプが推奨される時代です。
 社会の多くの人が使い捨ての割高にシフトした結果、結局実質の可処分所得は少なくなり、多くの人の生活は貧しい時代になっているのではと思います。

時代に置いて行かれる、昭和生まれのエイジハラ?

 アクリルにこじゃれたプレートの表札、セキュリティの番号を知らないとノックもできない住居が増えたました。火事や老朽化による建て替えで減りましたが、それでも未だに木造の長屋や安っぽいモルタルやコンクリートの〇〇荘というのも近所にあります。
 タイムスリップ?もののバブル期や昭和末期でもなく、もう50~60年の築年数でしょうか、本当に吸い込まれてタイムスリップすうような雰囲気のところもあります。

 職場でも、同窓とかでもやはり昭和生まれは、なかなか今のハラスメントや、コンプライス違反が肚にははいっていません。
 完全なダメオヤジというか、突き抜けて昭和のまんまと言う人もいますし、意外と厄介なのは、表面的には理解しているけど、結局はもう今はそれでもアウトがわからない人です。
 若い世代に理解のある先輩、上司であろうとしつつ、「私の時代はこうだったけど」を、ついついいってしまいます。時代の史実だけなのが良そうそうですが、結局は「昔のようにサービス残業なないから、ラッキーな世代だよね」「ネットで検索したり、コピペするのが当たり前なんだろう」のような言い方はエイジハラです。もちろん、若い世代にオヤジ狩りのように、無能扱いされる逆のパターンもエイジハラですが。露骨な高齢者いじめがないとしても、それはそれで高齢に気をつかうことで、職場の効率も下がります。
「あの人、前部長やったけど、今再雇用で何にも仕事できないで、たまに「どうや」とかお菓子もってくるだけで、影では「忙しいときにファイルの開き方とか初歩的なことで何回も時間止めるし」「退職金もらってアレで、パートの何倍も給料もらってるんよ、正社員は優雅な会社よ」昭和の激動を乗り切り、雇用延長後はヒラに落され、給料は半分以下でもそんな言われ方をされています。
 デジタルに追いついている人はまだマシで、WINDOWSの発売から、ワープロソフトや、パソコン通信の歴史を語れるような人はまだ重宝されます。スマホ世代で、ワードを卒論でやっただけで、Excelも全く知らない大卒世代が増えていますから、ビルゲイツ世代の私たちが「年齢だから」と若者に劣るわけはなく、そこは私は強く反論させてもらいます。
 デジタル化についていっていないでも、逆にやはり、若い世代が経験していないいろいろな苦労をしてきている世代ですし、企業や社会を支えてきたのが高齢者です。
 65歳なのか70なのか75歳なのかは別として、この世代もいい人も悪い人もいますので、世代で括って高齢者とするのは不適切としたいです。

『金欠』も『燃え尽き』も避けたい老後

 若い頃でも長いこと働いていると、ときどき。あるいは人によってはブラック企業とかで毎日「働きたくない、お金さえあれば辞めてのんびりしたい」と思う時があるでしょう。
 
 でも退職金3,000万円、貯蓄4,000万円。ファイナンシャルプランニングや年金相談などでは理想ともされる大手企業の元役員や部長さんとかでも、幸せな老後ではないという衝撃です。
60歳ですっぱり定年で悠々自適の方。
 60では役職も退くか上がり目は少なともなくなりますので、遅くとも65歳では規定で延長もおしまいで円満退社。
 いずれも場合もそれだけお金があれば幸せじゃないかと思われても意外とそうではありません。
 その理想的ともいえるキャッシュフローの家計でもいざ辞めるとあれほど楽しみにしていた「毎日が日曜日」
 旅行も孫の世話もし放題のはずが、結局『ぽっかり穴があいた』『やることがない…』と自宅に引きこもり『あぁ、あの頃に戻りたい』『これからどうしよう』と言う人は案外多いものです。

 定年退職した後の生活、定年前からイメージし、具体化できてないからなのでしょうか。仕事一筋で頑張ってきた人のなかには、時間があったとしても、何をしたらいいのか分からない……というケースも珍しくないようです。
 エリートだった人がかえって「定年退職」を機に激変、鬱、引きこもりはよくあるのです。
子供には、「老後は、何も心配ない。だから自分のためにしっかりと働きなさい」と言われてたとか。
 定年退職金は4,000万円ほど、貯蓄も3,000万円程度、さらに株式や投資信託などもあり、定年までに老後に向けた資産形成は完璧だとか。「頑張って働き続けたおかげ」ご褒美とばかりに退職後に夫婦で1ヵ月ほど海外旅行をし、よほど楽しかったのか、帰国後、写真や動画をイヤというほど見せられ、自慢話を子供や周辺に語っています。
 しかしその方はその後……燃え尽き症候群で鬱、ひきこもりになられたそうです。
 このようなケースは、決して珍しい話ではありません。
 お金の心配だけでなく、メンタルというか老後やることへの計画は必要です。

 暗い話ではありますが、お金が全てではないこともこれは証明しています。もちろん収入や貯金が少なければ良いわけではないですし、それはそれでもっと苦しい時代です。
 確かに貯金も退職金も少なく、年金の10万か20万チョイでは夫婦二人、現役時代なみには暮らせずに老骨に鞭打ち、無理して働くのです。それがイヤならますます苦しい時はあります。
 酒やギャンブル、買い物などに回すお金はこのご時世限られています。病気や事故、大きな出費があれば経済的な歯車はイッキに狂います。
 
 内職やボランティアでも少しは働いていると新しい刺激を受けます。
 そのことは人生の目的、居場所の証明になるのかもしれません。
 お金を少し持っている人でも、先々不安で出歩くのを抑え気味だとストレスが溜まります。
 そこは良く計算をして、近場を狙うなどうまく使って出歩かないと引きこもってしまいます。限られた予算で賢く遊ぶのはこれからすごく良いミッションだと思います。
 

寡婦って何? 年金の男女差別は早くなくせ

 今の年金制度は、最新の大きな改革が昭和60年に決まった昭和61年4月1日施行です。この時の社会の経済情勢、雇用形態、家族の役割、働き方など家計をとりまく状況を基本にして、まさに昭和の時代に決められたままです。専業主婦の国民年金3号制度や働き手が亡くなった時の遺族年金の現在の形もできなした。
 その後、平成を跨ぐ40年の間、大きく世の中は変わり、男女平等が謳われた現在、労働が同一条件とされながら、実は年金の給付に関しては旧態以前に夫が働き、妻を扶養しているため、女性が状況に寄り、給付面では優遇されて、男性は差別されていると言えます。
 もちろん今年金を貰いだす昭和の世代は男性が働き家庭を支えるのが主だった時代から入っていますから、そこでは問題が無いように見えますが、夫婦で女性が先に亡くなる場合多くのケースで、男性が先に死ぬよりは給付が少ないのです。
 これは男女平等と、人権団体や野党からもっと騒がれ改革を迫られてもいいはずなのに、女性が優遇されているだけになかなか変わりません。
 ずるずると年金財政がひっ迫しているはずなのに、何ら改革の手をいれないまま、社会がだいぶ変わった令和でも続いています。
 その一つが中高齢寡婦加算「ちゅうこうれい かふ かさん」と読みます。「寡婦」とは、夫と死別した女性のことです。何だか、難読な上に差別的な印象すら感じますね。
厚生年金の被保険者が亡くなった際に、その妻が40歳以上65歳未満の間、遺族厚生年金に加算される形で支給されます。だいたい基礎年金の4分の3、60万円ぐらいが年額もらえます。同じぐらいの所得で夫婦とも働いていて、妻が死んだ場合は「寡婦」ではないため当然もらえません。なぜ上乗せで貰えないかというと、女性で40歳過ぎて、新しく就職して働くことはほぼない時代だったからです。男女がほぼ年齢に関わらず再就職できる時代で、給付されると働かない人も出てしまいそうですし、何より「どうせ女は働かないから給付してあげる」というのは差別であり。今すぐ辞めて失業給付や生活保護一本でいいのではとさえ思えます、女性人権団体がこういう経緯でできた制度こそ早く廃止を訴えるべきです。
 根っこの遺族厚生年金がまたとんでもない差別で、男性はあまり受け取っていません。
男性は妻の死亡時に55歳以上でなければ受け取れず、支給は原則60歳からとなるからです。 女性は夫の死亡時に30歳以上であれば、子どもの有無にかかわらず受給できます。したがって遺族年金の受給は98%が女性です。

 夫が会社員、妻は専業主婦またはパート収入のみのような場合は、上記の制度でよかったのです。死語ですが「後家」「出戻り」という感じで、女性が中高年になり、自立して働くなど考えられない時代からの制度が残っているのです。
 しかし、最近では妻が夫と収入が同じぐらいで共働きでやっと生計を立てているとか、または妻の収入が高いような場合には上記制度では男性は不公平感を感じようになりました。
 ようやく、その是正が2025年の年金制度改定で検討されている一つです。

 昨年行われた厚生労働省の「第6回社会保障審議会年金部会」資料によると、遺族年金の指摘事項として挙げられていたのは以下の項目です。

1.制度上の男女差の解消

2.養育する子がいない家庭における有期化または廃止

3.その際には、現に配偶者の年金で生計を立てている者への配慮が必要

4.離婚後に子を引き取った一方が亡くなり、その後生存している一方が子を引き取ったときにおける遺族基礎年金の支給停止といった各論の検討がおこなわれているようです。実際には、政府や関係機関各所から廃止される旨の公式な発表はありません。


 遺族年金は廃止ともうわさされますが、受給中の方のハシゴ外しを避ける激減緩和措置はされそうですが、徐々にでもなくす方向で進むこと、その他男性、女性それぞれのためにも制度は平等を願うものです。国会で決まるまでは右往左往、与野党世論を気にしたかけひきでとんでもない骨抜きやとんちんかんなものが出てくるのだけは止めて欲しいです。

さすがに不満も出る!税と社会保障に半分消える収入 

 給湯器が半導体の不足とかで今のうちに買い替えておくと、いざ壊れてからだと時間もかかり値上げもされるだろうということで、気候の良いうちに済ませました。50万の出費です。
しかし、生活系の家電や装置も高くなり、工事や出張にさらに人件費が高騰しているのが過去とは比べられないほど家計を圧迫します。

 実質賃金下降、介護保険料上がりの報道で、物価の上昇に賃金や年金がまったく追い付かない。
 定額減税と言いながら、介護保険料が過去最高に上がり、復興特別税も防衛財源として14年延長据え置きと報道がありました。
 円安での輸入の食材などの品目も多く、その他の公共料金も上がります。もちろん減税があったとは言え、税と社会保険料はこの先どこまで上がるのかとなると複雑で即答できる人は少ないでしょう。
 減税などで印象操作してばらまいても、また税や保険料を上げるのでは何をしているのか分かりません。
 6月からの減税反映だけでも、企業の給与担当者は結構大変な作業だそうです。税率を下げるわけではなく、あくまで一時定額を返すのです。
 復興特別税などは、期間が終わっても、防衛費に切り替わるようで、これはいかにも詐欺っぽいごまかしや目くらましの感じです。どうせ今まで引かれていたから、そのままでもいいだろう気付かないだろうです。
 健康保険、介護保険、後期高齢者医療保険などは予定を明かしながら上げています。
 それをよく知る人は、健康保険などは上がるだろうけど、そのうち復興特別税は終わるからその分回せるだろうと思っていたかもしれません。
 それらをみんな足せば、求人条件で給料27万となっていたのに、振り込みを見たら20万しかない上、その後まだ払うNHKの受信料、固定資産税か家賃、自動車税などがあります、個人的に教育ローンや住宅ローン、自分や家族が病気でもしていたら毎月は赤字などということになるのです。支払いの中には8~10%の消費税が入っているから、いったい元締めの国はどれだけの取り分なのでしょう。政治資金で無税という国会議員に風当りが強いのも当たり前です。
 ボーナスがあればちょっと息をつけるけどですが、非正規や業績不振で少ないと地獄です。そもそも毎月赤字に近い上、個人のローンなどは別にして、強制的な税金や公共料金があまりにも比率が高いのです。
 税として一本にして、政府が行政ごとに振り分けれな徴収コストが下がり負担割合が明確になり良いのですがすぐに財源論などになります。元々税や保険料を目的別にして省庁の縦割りで固定するから国側からも全体が俯瞰して見えず負担が限度以上に膨らんだのです。上に立つ者が、状況を悟り、英断して割り振らないと止まりません。自分が部門の長なら誰だって、予算や人員を削られるのは反対します。それをまとめて憎まれても決断するのがトップです。
 トップが英断して大リストラでV字回復した企業は沢山あります。日本の官僚や役人が無能ではないのです。上に立つ人がここを振り分ければ良いだけです。それをやらずにもう少し取りやすいところから取る、ごまかしで分かりにくくしても払う負担は増え、みんな気付くわけです。「あれ、いくら何でもお金が少ないな」が今の世論です。
 子育てにも要る、復興にも要る、道路や橋、水道管も直す、防衛費も要る、一つずつは間違いないのです。でも全部を国民の所得を半分以上切り崩すのは禁じ手です。人が疲弊し国が衰えますから無理なのです。
 そこを首相や総理官邸がAIでも何でも使っていいですから、頭使って根本から変えること、できる範囲での最高の分配を考える、それだけなのです。
 パーティ券のキックバックや、政治献金、政党助成金なんぞ、どうでもいいので真面目にやればできるのです。

書評:水生大海「社労士のヒナコ」シリーズ

 資格を取ったから高給で楽な仕事というのは無いのではと思います。
 〇〇士というのも典型で、「弁護士」「公認会計士」「税理士」なども試験が難関な割にはなってからも勉強、努力は欠かせないのです。楽な部分がAIやネットでできるため、人間がやるのはややこしいとか危険、泥臭い案件の割合が増えます。
 そんな難易度の高い資格の一つ「社労士」のお話。
 【お仕事+日常ミステリ】という感じで、社会保険労務士の女性が主人公の短編シリーズで3作上梓されてます。謎解きはそれほどメインではないですが、いくつか【犯人は誰か】【本当の動機は何か】【悪意があったかなかった】など、ミステリ作家らしいパズル要素はあります。
 労働や雇用、年金などの仕事をする「社労士」という職業についてわかりやすく書かれたシリーズです。著者がどこまで、社労士の現場に詳しいのか実際にはわかりませんが、1作目は説明向けの事件も多かったです。また3作目はコロナ時期に入り、あの時代の休業、解雇、給付申請や、テレワークの問題もでます。非正規雇用やら育児休業、パートの社会保険の壁など、今問題になっている内容が盛りだくさんです。
 様々なエピソードを通じて、雇用主からの依頼に応じているだけでなく、時には従業員を守る立場にもなり、悩みながら成長する主人公の社労士を描いています。
 まあ、居酒屋チエーンとか、書店など、中小の取引相手が多いので、大企業人とか経営者で安穏な人に身近とはいかないのが難しいところです。
 3作目ではもう社会人7年目ぐらいになっています。
 コロナの時代をリアルタイムで描くと漫然と年齢を重ねず同じ時代を繰り返す「サザエさん」や「名探偵コナン」の方式は使えません。主人公が確実に年齢を重ねるので、シリーズキャラの探偵設定と時代をリアルに描くのは意外と難しいものです。
 個人的には「年金事務」や労働局にもいましたので、分かる内容が多く面白いですが、一般の方は楽しめるのかどうでしょうか。社会保険の仕組みなど、知らないことになるほどとなるか、「わかりにく、興味がないのでつまらない」になるのかは微妙です、軽いタッチなので読みやすいとは思います。
 コロナの時代をミステリとしては描くかどうか確かに微妙なところです。年を取らない探偵なら描かない時代かもしれません。

雇用保険にみる日本の課題

 雇用保険、いわゆる失業保険というのはどうも役所的なところがあります。職業安定署からハローワークに随分前に名前を変えたのですが、堅物なところはそのままです。それでいて、結局は「要領よくもらえ」とか、「ホンネとタテマエ」「ウラ技」的な話がSNSでもささやかれます。
 労働局は、労働条件、労災などの保険とともに、クビになった時の「失業保険」と言われる雇用保険の分野に分かれます、
 その雇用保険ですが、確かに失業して給料がなくなり仕事を探している人にはありがたいのですが、どうも支給する条件ややり方がしっかり来ない感じがします。
 原則は掛け捨ての保険で、給付を貰えないケースも多く、払い損にで終わる人も多い、国の保険です。年金や民間の掛け捨て保険でさえ、還付がある場合もあります。雇用保険はずっと同じ会社に勤めて、一度も失業をしないで定年まで勤め、あとは働かずに年金と貯金で暮らすよと言った場合、今までの掛金は全く帰ってきません。
 離職しても皆さんが必ず受給できるというものではありません。すぐにでも就職ができる状況にあり、現在仕事を探しているということが受給の前提条件ですので、たとえ何十年掛けてあっても、自営で仕事を始めたり、次の就職が決まっていれば受給はできません。

 また、このあたりは役所も高飛車で、認定日という失業の届け出をする日に、正当な理由なく来られない場合も受給はできません。実際の受給にはこの他さまざまな条件があります。
 不正受給を厳しく戒めていますが、失業して実際、生活に苦しんでいる人に対しては、疑うようでこれが何か失礼な態度ですし、仕事を失い苦しんでる人のメンタルを傷める時もあるのではと思います。別に恵んでもらっている訳ではなく、自分たちが払った保険料が元です。民間の保険なら考えられない上から目線の不遜とも言える態度、良く表現しても慇懃無礼という程度です。
 それでいて、求職の情報に関しては、民間の大手転職会社のサイトに比べて、まともな紹介は少ない貧弱な情報量で、ハローワークで職は探さず、ただ受給の手続きにダラダラと数回来るパターンの人が多いのです。基本手当は、原則として、4週間に1回の認定日に、それまでの求職活動で就職できなかったことを認定してもらう(失業の認定)ことでその4週間分を受給することになり、その繰り返しで、給付日数分まで受給することができます。職業相談や、職業訓練などもいかにも役所がやっている予算内の陳腐なものです。
 保険なんだから90日とか150日とか期間をチマチマ決めず、この1年はキャリアアップのため、この訓練をしますとか勉強をしますとしても3か月とかしかもらえないのでは、計算もたちません。失業手当を貰いながら働いて未申告だと罰せられます。
 求職しながら、難易度の高い資格を取るなど至難の技で、しかもその後はアルバイトでも見杖けないといけないのでますます勉強は難しくなります。求職や資格取得の研修に、難しい「ジョブカード」というプランの提出を求めるのですが、これがもう何ともタテマエだけの厄介な書類です、個人のプロフィールや能力や就きたい仕事、必要なスキルを細かく書くのですが、何だかあまりにもタテマエで書いて、現実と離れていく書類です。退職後すぐに創業する場合は受給することができませんが、「求職活動中に創業の準備・検討をする場合」は対象になります。
一方、以下の状況では失業保険を受給できません。
・求職活動をせずに創業の準備・検討をしている
・創業の準備・検討期間が終了したとみなされる場合
ここらも難しいところで、求職をしている態をして、結果見つからず、事業を始めましたとなれば全額貰えるわけです。
 最初から仕事に就く気はありませんと言わず、求職をいくつかして不採用となって、そのまま年金暮らしにしても全額支給されます。成り行きで、虚偽ではないのでこれは追及しきれません。
 ファイナンシャルプランナー的には、貰えるものは少し我慢して待っても貰ってというだけの話です。
 しかし、就職を探すのは今や民間の転職の専門会社の方が、アプローチからサービス全てに優れています。探すのはハロワしか来ないところもありますので、両方の登録が必要ですが、主体は転職サイトのがいいかもしれません。

 個人的にはハローワークの求職も何度かお世話になりましたし、窓口の方、労働局の方も良くして知っています。しかし、先に書いた通りこの組織とくに求職を提唱する機能は民間と競合します。郵便や水道でさえ民営なのに、国がリストラして民間委託しないのがおかしいぐらいです。将来的には間違いなく切り離してしかるべきです。
 そして給付の在り方も、働き方の変化や、リスキリングの意思に合わせ、柔軟にかつ分厚く変えるべきです。社会に出るまでの教育体系とも連動して変えていくべきです。現状毎月サラリーマンが天引きされている原資はもっと有効活用できるはずです。
 多くの若者が4年制の大学まで、あまり社会人としてのスキルを身に着けずに就職し、失業してもスキルを身に着ける時間もお金もないこういう制度はおかしいのです。

 もう少し、このやり方変わらないと、ダメだこりゃという国です。