国を守るのに保守もリベラルもない

 戦後80年の年も年末が近づいています。空襲や原爆、戦中戦後の飢餓等を語る人が減る中、いろいろ特集もされました。

 保守派と言われる高市総理の誕生で、いわゆる台湾有事の答弁から日中の関係が少しギクシャクしています。

 非核三原則の見直しも議論が出ており、アメリカとの軍事同盟強化をめぐっても、政権と反戦リベラルの溝がむしろ深まった年とも言えます。

 しかし、どうもかみ合わない論争が気になります。

 保守層や愛国者だって好き好んで戦争をやりたくて、アメリカとの同盟を強め、核の原則を緩和せよと言ってるわけではないのです。

 かつては文化人や学生らに非武装中立という、軍隊を持たないと相手国は攻めて来ないという考えが流行りました。

 さすがに丸腰では近隣諸国は舐めてかかって、国境付近の領土から占拠し始めるのは明らかです。

「中国や北朝鮮、ロシアが攻めてきたら、アメリカの協力なしにどうするのか。アメリカが軍隊を出す前に日本周辺が攻撃されたらどうするのか」

 日本の自衛隊も強化して、アメリカとの同盟は大金を貢いでも強め、日本も核の持ち込みは認め場合によっては保有した方が、相手はそう簡単に攻撃できまいというのが、保守層のまっとうな考えです。

 一方、反対の人はアメリカは世界中で戦争をしており、同盟を強めれば、テロを含め攻撃され巻き添えを食うし、核を持てば核戦争の危機さえあり得るのではないかと懸念します。

 実はこの議論、両者は、本来戦争を避けて国を守りたいということでは一致しているのです。

 保守なのかリベラルなのかとか親米、親中は置いて、「アメリカとの同盟を深める」「中国との貿易関係を断つ」「核武装をする」といった策の良い悪い、影響のどちらが大きいかとか、可能性が高いかの分析であって、ゼロや1かの判断ではないのです。

 賛成する人、反対する人それぞれの心の中にさえ、逆の目が出た時の懸念はあるはずです。

 ムキになって相手を潰そうというほどの、ハッキリした予測データはないはずです。

 どちらかというと、親米、親中とも軍事産業や貿易利権など経済的な思惑で偏った意見を述べてる人が多いのです。

 これは原発とかインフラ開発事業でも、安全対策や環境問題などでも良くある対立です。

 戦争とか原発は絶対悪と考える人もおり、全てに反対という

人がいます。

 一方でもし、戦争が起こったとしたら、日本にも軍事力は必要、アメリカとの同盟も必要と考える人がいます。エネルギー資源の乏しい日本では事故や廃棄物の問題をクリアしながら、次世代の核融合開発も含め原発を稼働させて行くという人もいます。

 前者は戦争が起こらない、核兵器も原発も必要ないと考え、後者は戦争が起こった時を考え、原発を必要最低限使っていく社会を考えています。

 この議論の傍証に、太平洋戦争や、ウクライナやガザをいくら取り上げても、議論にはなっていないのです。

 戦争の悲惨さ、原発事故の悲惨さも分かりますが、後者はそれも分かった段階でのお話です。

 世界中の戦争も、日本の原発はいくら反対しても、いきなり全部消えては無くなりません。

 二つの対立軸に所属するかではなく、それぞれの立場をもっと勉強して、最適解を導く議論が欠けている気がします。

 戦後80年というのも別にただの経年です。愚にもつかない議論で、片方の集団が暴走することこそ、国家の悲劇です。

 政治がやろうと取り組みかけていることの足を引っ張るだけの生産性のない議論もムダです。

 悲劇もムダも、繰り返してはいけません。

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