平均寿命,平均余命,健康寿命

ファイナンシャルプラン、社会保険、年金などでは平均寿命とかの言葉がよく聞かれます。残りの人生の期間を算出し、どのくらいの支出に備えるのかです。
 平均寿命も、毎年伸びています。男性でも81歳ぐらいになってきています。若くして事故などで亡くなった人もいますから、今の中高年の方の余命はそこからさらに少し先となります。
「長いなあ」と感じる人もいれば「まだまだ生きられる」と思う人もいます。人生100年時代というのは、生物学的にも実証されているようで、目だとか内蔵などのパーツは120年以上もつようになっているそうです。脳科学の話で聞くと、100歳まで脳は成長するそうで、還暦というのは成熟してから期間としてはまだ半分なのだそうです。

 それでも、著名人の訃報などを目にすると、60代後半から増えだし、70代に入るとイッキに増えます。持病や事故など、不規則な生活など、自分にはあてはまらないと楽観する人もいますが。100歳まで生きる人が平均を上げていることを考えると、60歳ぐらいから亡くなっている人はかなりいるわけです。平均の数値を植え付けられると、多くに人がそのポイントで一斉に亡くなるように思われますが、そんなことはないのは少し考えればわかります。
 繰り下げの年金制度で、年の年金額を増やそうと貰うのを遅らせても結局貰えないとか使うこともなく死ぬ可能性はここにあります。優雅な老後と思いながらも、結局はこの年齢になると命はあっても、病気で療養という可能性もあります。健康寿命は平均寿命マイナス10と言われます。そうなると、まだまだしっかり歩き、活動できる期間は案外残り少ないのが中高年の現実です。
 だからこそ、いろいろ健康に気を使いながら、お金は大切にしつつ使い、やっておきたいことをやり、会いたい人に会う、悔いのない毎日を過ごすのがベターと思います。

ナツイチどくしょ

 紙文化をビジネスや公務では淘汰されるところに関わりながらも。読書に関しては、未だに紙主体です。
 しかも、昔ながらの文庫などで小説を読むのが好きです。さすがに単価高騰で一時よりは時代の流れで電子書籍も読みますし、図書館も利用します。amazonで取り寄せ、ヤフオクで古本も買いますがやはり本屋をブラッとするのが好きです。
 文庫本も随分高くなり、昔の新刊のハードカバーと変わらないくらいの1000円超えもザラです。
 そんなもの好き以外誰が買い、読むのかという、文庫を紹介する小冊子が毎年シーズンごとに並びます。新旧の出版社推しがまとめられ、これもなかなか面白くフリーなので手にして持ちかえります。
 カドカワ、新潮。集英社、まあ老舗とも言える大手が揃い、今は文庫の出版社の数だけが増えて、大型書店では棚も増えました。あとは岩波、講談社、中公ぐらいで、マニア向けにハヤカワ、創元がありました。宝島、祥伝社とかは昔なかった新参です。ホラーとか時代とか専門も文庫もあります。

 海外ミステリ、SFの廉価版、文庫本といえばハヤカワもしくは東京創元社でした。
 国内の作家もSFなどはハヤカワのマガジンから掲載スタートで出版という流れがありました。創元もミステリの若手登竜門で本格はじめジャンルを広げていました。
 それでも、出版不況で、書籍離れの時代です。直木賞だとか、このミス、SF大賞とかでも売れる部数はしれていますし。それ以外の作家の部数は厳しいものです。
 個人経営の商店街などの本屋さんは激減する中、出版社も結構潰れています。それでも、かつて大都市の繁華街の書店でも、十分展開もできず、ロジスティックも弱かったハヤカワや創元が未だに続いているのには驚きまます。
 比べるのも変ですが、赤字ローカル線や、赤字のスナックならとっくに破産、撤退、解散してそうです。

 いびつな出版文化ですが、電子書籍が広がりつつも、元から小説を読もうなんて人が古臭い保守の人間が多いので、しばらくは延命しそうなので、今のうちに楽しみましょう。

ナツイチどくしょ

 紙文化をビジネスや公務では淘汰されるところに関わりながらも。読書に関しては、未だに紙主体です。
 しかも、昔ながらの文庫などで小説を読むのが好きです。さすがに単価高騰で一時よりは時代の流れで電子書籍も読みますし、図書館も利用します。amazonで取り寄せ、ヤフオクで古本も買いますがやはり本屋をブラッとするのが好きです。
 文庫本も随分高くなり、昔の新刊のハードカバーと変わらないくらいの1000円超えもザラです。
 そんなもの好き以外誰が買い、読むのかという、文庫を紹介する小冊子が毎年シーズンごとに並びます。新旧の出版社推しがまとめられ、これもなかなか面白くフリーなので手にして持ちかえります。
 カドカワ、新潮。集英社、まあ老舗とも言える大手が揃い、今は文庫の出版社の数だけが増えて、大型書店では棚も増えました。あとは岩波、講談社、中公ぐらいで、マニア向けにハヤカワ、創元がありました。宝島、祥伝社とかは昔なかった新参です。ホラーとか時代とか専門も文庫もあります。

 海外ミステリ、SFの廉価版、文庫本といえばハヤカワもしくは東京創元社でした。
 国内の作家もSFなどはハヤカワのマガジンから掲載スタートで出版という流れがありました。創元もミステリの若手登竜門で本格はじめジャンルを広げていました。
 それでも、出版不況で、書籍離れの時代です。直木賞だとか、このミス、SF大賞とかでも売れる部数はしれていますし。それ以外の作家の部数は厳しいものです。
 個人経営の商店街などの本屋さんは激減する中、出版社も結構潰れています。それでも、かつて大都市の繁華街の書店でも、十分展開もできず、ロジスティックも弱かったハヤカワや創元が未だに続いているのには驚きまます。
 比べるのも変ですが、赤字ローカル線や、赤字のスナックならとっくに破産、撤退、解散してそうです。

 いびつな出版文化ですが、電子書籍が広がりつつも、元から小説を読もうなんて人が古臭い保守の人間が多いので、しばらくは延命しそうなので、今のうちに楽しみましょう。

読書レビュー:小川哲「地図と拳」

 18章、640ページにもわたり200近い参考文献の力作。それでいて時系列が鮮やかに進み読みやすい。日露戦争後から第二次世界大戦までの満州を中心とした何人もの人物が交錯する群像劇という感じの歴史小説ですね。重厚に見えて、イッキに読めるところはあります。
 「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」
 招集、憲兵、銃撃戦など戦争の色がどんどん濃くなる時代、読む側も夢のような大義名分の後に悲劇の結末はある程度予想できるだけにせつなさもあるものの、そこに生きる群像をリアルに描く、才能には感嘆します。
 「地図と拳」の題名も少し、暗号か判じ物みたいですが。建築家と戦争地勢学者の登場刃部を軸に、歴史の必然のような物語を見事に紡いでいます。

【あらすじ】amazon
 日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。ひとつの都市が現われ、そして消えた。
日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。

 著者は他にもアジアの歴史を題材にした作品もあり、クイズやゲームの裏側も描くなど、そのジャンルはSFとミステリ、歴史いずれにもまたがる鬼才です。同一作品がこのミス、SF大賞候補に上げられ、直木賞、山田風太郎賞まで受賞しちゃうという、読み手によってジャンルが分かれるような作品です。

あこがれたヒーローたちの老い

 現代はストイックな管理とたゆまぬ努力、そしてビジュアルもそなえたアスリート、イチローや大谷はメジャーリーグで記録を乗り換える時代です。
 40年ほどまえのヒーローたちは、ハングリーから、やんちゃな成り上がり、はみ出した叩き上げの人間が多かったです。
 そんな昭和の子供時代に憧れた、ヒーローたち。アスリートやアーティストなんてこじゃれた呼び名も無かったです。
 歌謡曲、フォークソングなどの歌手、ドラマや映画の俳優、野球や相撲、プロレスの名手、強者、、、昭和の子供が憧れたヒーローは時代を経て確実に老い、鬼籍に入る人も増えました。
 野球だと指導者や解説者になり、やがて活舌が悪くなったのかテレビの出番が減ったと思えば、長嶋さん、張本も江夏もクロマティまで車いすの姿で、現役を時代を知る者に少し衝撃を与えました。
 元気ならば、訃報よりも良いのですが、若き現役時代の颯爽とした姿を想うと痛々しく寂しくなるものです。
 
 関西ではアンチ巨人の阪神ファンも多く、双方とも江夏のふてぶてしさは強烈な印象でした。私はパリーグの近鉄ファンで、広島時代に日本シリーズで痛い目に遇いました。

【燃えよ左腕 江夏豊 この本の梗概】中学では「やんちゃな少年同士の決闘が日常茶飯事」で、高校からは「弱い球団で巨人など強い者を倒すことを生きがい」にし、「三振か四球か」ノーコンでカーブもほうれぬままドラフト1位で阪神入団。契約金は「800万円の札束を見てみたかった」と一括現金でもらい、プロに入ると「勝っては繁華街に繰り出し、毎晩お祭り騒ぎ」「もらったらもらった分使って、人よりいいものを食べ、いい服を着て、いい女性と付き合う。これぞプロ野球選手ではないか」。奪三振記録は「取るなら王(貞治)さんしかない」と実行し、甲子園伝統の一戦、巨人・阪神戦では逃げずに真っ向勝負。縦ジマのエースは“最強の敵役”として巨人ファンをも魅了した。南海移籍後は、野村克也監督に「野球界にいっぺん、革命を起こしてみろよ」と言われ、意気に感じてストッパーに転向、これが広島移籍後にあの「江夏の21球」につながったのか。日本ハム移籍後は、複雑な家庭環境で育ったがゆえに大沢啓二監督に「父」を見て奮闘。最後は大リーグに挑戦し引退しました。野球のロマンを追い求め、独得の美学をつらぬき通す男の履歴書。


 今はレールも決まっている感じでこういう人は詣でてこないかな。

 そういう意味では相撲やプロレスは短命なのかと思います。俳優さんは、個人さはあるけどまだ、少し長生きな人もおられます。

 別のジャンルで子供の憧れ(特に男の子)だったのが特撮ヒーローです。昨年3月「帰ってきたウルトラマン」の俳優団次郎さんは亡くなりましたが、初代マン黒部進やセブン森次晃司、仮面ライダー1号藤岡弘、から2号佐々木剛V3宮内洋までのレジェンド俳優は健在です。かなりくたびれた姿でも精いっぱい、変身ポーズをとったりされています。


 今よりは時代を彩るスターやヒーローの数は少なく、多様化しないため誰も知って憧れていた時代。もう少し我々もみんなも頑張ろうと思います。

読書レビュー:坂本貴志「ほんとうの定年後」       高齢者の生き方、働き方

 帯の煽りが良いのか結構売れた本のようです。内容は、良く細かいところも調べてはいます。

 60歳の還暦、定年にジンと来ていたのもつかの間、あっという間に後輩たちも還暦を迎える報を受け、次は雇用延長も終了?の企業が増える65歳を迎えようというのが私たちのの世代です。
 学校を卒業してから勤めだし、定年延長まで働いた人は確かに大きなターニングポイントになる65歳ですし、体力的にも自営業などの方もそろそろ事業を継承や引退を考える時期です。そういう世代、あるいはその手前の方、もう過ぎている方にも大いに参考になる、働き方、生き方の本です。
 この本は1985年生まれのエコノミスト、アナリストによるもので、こまめに分析されています。他の方のレビューでも見かけましたが、やや男性目線の話が多いと指摘されています。しかし現在の高齢者がかつて「男は仕事、女は家庭」が主流だった時代を生きてきている関係もあるである程度仕方のないところでしょう。
 あと10年もすると、専業主婦の割合は増えだし、今の若い人が高齢になった時は世帯の年金や働き方としては男女がかなり似かよってきます。

 ルポ、体験談などは自分も経験してるし、見聞きしているのでそう目新しいものばかりではないですが、統計値を見ての論説にはうなるものがいくつかありました。
 形はどうあれ70代でも働いている人の割合が半分近いのには驚きました。裏を返せば半分ぐらいは働いていないのです。年金や家族の扶養、貯金の食いつぶしで生活しているということです。ごく当たり前のことですが、なるほどそういう割合なのかと思います。
 
 70歳をすぎて、ゆとりのためならいざ知らず、生活費のために働かざるを得ないのも厳しいなあとも感じていましたが、働かないでも食べていけるから絶対幸せで居場所があるかはわかりません。
 高齢、この年齢になって、さらに70代、80代で、居場所というのか、終の生き方を見つけるのが大事なところです。
 私自身は大企業を60歳で延長せずに定年退職し、その後公務員のような仕事にありついています。化粧品のメーカーからは随分変わった転換をしているように思われますが、60代手間から、随分と「働く」ことへのプレッシャーは減り、自分を見つめ直す機会に恵まれたのは、この本に書かれている通りで決して非凡ではないとも感じました。
 とくに若い頃は、目の前の仕事を必死に頑張る藻は大事ですし、そうしないと食っていけません。それでも将来を見据えて何か自分で学び、身に着けていくことは大事だと思います。学生時代から社会人になっても勉強して、身に着けたことは必ず何か後で役に立つ、損をすることはないと思っています。

定額減税、おおざっぱ杜撰(ずさん)すぎる!?

 自治体から、定額減税による「令和6年度〇〇市くらし応援給付金」の大切なお知らせという封筒が来ました。時節柄詐欺かなと思う怪しげな「至急開封してください」というメッセージが大きく書かれたものです。
 中には所得税と住民税に相当する額を1万円単位に繰り上げた1人3万円が口座に今月中に振り込まれるという内容でした。
 すでに6月の給与と賞与から減税が始まっており、住民税だけは7月で引ききれないのかとは思いましたが、所得税は二重になるのではと思いと合わせると、そのままでいいと言われました。前年の所得で機械的に割り振って、とりあえず振り込むのが政策のようです。
 辞退ではなく、年末で調整するのか?それも難しそうな感じなので、何だか大雑把というのか、拙速、いいかげんで、切り上げの計算も、そんなに財政に余裕があるなら不公平を生むから円単位で減税したらと思うのですが、もう「ザル」としかいいようがないですね。貰えるものは返せないようです。

2025年金制度改革速報!?

 

 参考となるのは「令和6(2024)年財政検証結果の概要」(2024年7月3日、第16回社会保障審議会年金部会)ですが、かなり長文で難解で、要約しても何かわかりにくいかもです。
 正式に決まるのは与党、国会を経てですが、マスコミの速報でも「65歳までの国民年金の拠出期間延長」は見送られたもようです、さんざんネットでも100万円の負担増とか言われていました財政上は有効なのに、批判を恐れるのか無理だと判断したようです。
 あとデマ混じりに、「付加給付」「遺族年金」「3号制度」が無くなると言われていましたが、それもありません。抜本的な改革が今後持ち上ればですが、今具体的に出ていないとまずないでしょう。
 遺族年金や寡婦加算などの男女格差についても触れられていません。マイナーなので効果も測定されてなにのか触れられていません。幹を変える議論中心なので、枝葉の部分ですから、逆に小さく改定される可能性は残ります。
 報道では「在職老齢年金の撤廃」「厚生年金要件拡大、扶養106万の壁の撤廃の検討」に言及されていますが、世論の観測気球的な場合もあり、支持率下ルならやめようかみたいな可能性も残ります。
 そんなことでは大きな改革などとてもできなのですが。2025年で大きく変わる可能性は小さいかもしれません。

 【ニュースの要約】
 7月3日発表、厚生労働省が年金制度の財政検証結果を公表し、所得代替率が50%を維持する見通しとなった。財政検証は5年に1度行われ、今回の結果を踏まえて与党との年金改革議論が進む予定です。
 所得代替率は2024年度に61.2%見積もられ、基礎年金の拠出期間延長案が注目されました。具体的な案として、拠出期間を45年に延長することで所得代替率が6.9%改善するが、負担増加も懸念されています。(負担増のブーイングがあり、今回は見送られそう。ある意味残念)
 厚労省は他の改革案でも所得代替率向上の可能性を示唆しました。
 年金制度改革は財政の安定性や信頼性向上だけでなく、人手不足対応も重視されている。在職老齢年金制度の撤廃案や第3号被保険者制度の見直しも提案され、労働力不足問題への対応が求められています。
 特に在職老齢年金撤廃案では、給付が増加する一方で将来の受給世代に影響があり、年金財政に悪影響(2029年に0,9%)が及ぶ可能性も指摘されてはいますが(それでも撤廃案に踏み込むようなニュアンスです)(ここは観測気球なのでしょうか)
  第3号被保険者制度の改革も労働力不足を考慮し、年収106万円超えると問題が生じる「106万円の壁」が存在しています。
 女性の社会進出を促進するためにも制度改革が必要であり、高齢化が進む中での課題に対処するために政府は抜本的な年金制度改革を急ぐ必要があることは明らかです。来年の年金改革に向けて政府の積極的な対応が求められています。

 たった0.9%の財政悪化など、景気や少子化の予測の誤差の範囲で、積立金の配当でカバーできそうなものを、在職老齢年金撤廃が、「働き手確保OR給付財源優先か」世論の様子見でまだ微妙です、この報道だと、反発が少なければ撤廃の方向ではあるようです。
 所得代替率が6.9%も改善できるのに既得権の反発怖れて、国民年金拠出5年延長45年案は据え置きというのも情けない話です、
 ベーシックインカムなどの抜本的改革など考えてひねり出す政治家や官僚が現われないのはとても残念。
 結局、受給者、勤労する高齢者、受給期間の近い中高年、遠い若者、それぞれの顔色を窺いすぎてたら何も変わらず。制度がつぎはぎだらけで老朽化し、誰もが不満のままジワジワ沈んでいくのではと思います。
 早く決めないと5年の拠出延長も経過期間を考えると実効はとても遅くなります。
 女性を中心に働き方は昭和61年頃とは大きく変っているのに、3号制度もですが、遺族年金の規定、中高年寡婦加算などは手付かずだと、実際に世の中との乖離が長く続きます。イッキに変えないと一貫性もない部分もありますが、寡婦加算や遺族年金の男女不平等など早く止めたらと思います。マイナーチェンジから始めればいいと思います。

 個人的には、あまりにも経過措置が煩雑になりそうで事務方も大変だと同情しますが、そんなことは偉い人にはわからないです。

書評:阿部曉子「金環日蝕」

 梅雨の時期だから、リーダビリティのある面白い本の紹介です。
 題名はやや難しい気象用語で山崎豊子の政治経済のインサイドストーリーのような印象ですが、女子大生と男子高校生が主人公というティーン向きのような語りと展開です。
 (帯にある程度のストーリー紹介)
 知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がすします。 犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、ひとりで犯人探しをしようとするが、錬に押し切られてバティを組むようになります。
 (以下ネタバレあり)ひったくりの背後には社会の闇が見えてきて、日常の謎かと思われた話は交錯する物語となり別の不幸な少女を中心にストーリーは重い展開になります。老女は
いわゆる特殊詐欺のターゲットのリストに載っていたのです。そのリストをめぐり、暗い過去を持った男女の思いが入り乱れます。
 決してイヤミスでも、社会派でもない、謎解きやサスペンスを含んだミステリです。
 イヤミスではないということで、安心してください。サクッと展開もはやく、天気も気にせず読めます。
 犯罪と底辺にある社会問題を描きながら、家族や青春という要素も含んで爽快な読後感があります、

一歩間違うと人生破産

 大手化粧品メーカーに勤めていた当時は思っていなかったのですが、やはり華やかな業界にいたことを改めて思います。
 化粧品の業界でももちろん、お客さんや取引先はけっこうお上品ではない厳しい人もおられましたし、上司も怖い人もいました。部下はとんでもなく理解力がなく、出来の悪いもの、育ちの悪いのもいろいろいました。社内でもいろいろ気を使い、我慢したり汗を流し泥臭いこともやりました。
 それでも、定年後公的機関に勤めまして、役所を訪ねてくる相談に来るという多くの人は、失礼な言い方ですが、もっともっと厳しい環境、貧しい生活をされているのです。一時期は自営業ではぶりが良かったり、一流の会社のサラリーマンでもやはり、落ちる時はどん底まで落ちるものです。

 特定の事案はもちろん守秘義務で語りませんが、人生を誤ってしまうストーリーを見てしまうケースは格段に増えました。
 一般の社会でも、仲良い夫婦もいれば、仲が悪く喧嘩になり、暴力を振るうとかの夫婦は見たり、聞いたりするでしょう。その最悪のケースが相談に来るわけです。
 ギャンブルや浪費、犯罪に手を染め、借金にまみれる、大谷さんの通訳ではないですが、無名の人でもそんな転落の人生はざらにあります。
 投資の失敗、突然の事故や病気、不況や裏切り、「まさか」のどんでん返しはドラマの話だけではないのです。

保険というのも、保険会社の儲けや宣伝、人件費も考えるとなかなか率が良いとは限りません。それでも掛け捨てでも保険をかけた時ぐらいの蓄えは必要でしょう。健康やクルマの運転などはある程度自覚で大きな損失につながらないようにはできます。保証人やローンなどは慎重に考えないと、学費や住宅ローンでにっちもさっちもいかない破産もよくあります。
 私自身でも振り返ると30代後半から40代、50すぎくらいまで住宅ローンを抱え、子供二人を大学に行かせてた時代が、年収はそこそこでも一番可処分所得が少なくしんどい生活でした。結婚式の祝儀や歓送迎の飲み会などに、自腹で1万円~3万円、餞別込みで課長は12、000円とか言われると、待てよ!みたいな感じでした。
 先の読めない時代でも40代にもなれば、生涯のライフプラン設計は必要です。最悪、最悪を考えると楽しくないので、いろいろ盛り込みながらも、まずはこのぐらい遊ぶには、このぐらい小遣いもらうにはどれだけ働くか稼ぐかから始めないと、お金の計算に慣れていきましょう。投資や社会保険の言葉、その仕組みも難しいですが覚えていきましょう。