走り始めた1カ月

 66歳を迎えた子の5月、還暦から何度目かの新しい仕事に向かい始めて、予想通り慣れない面や、人間関係の難しさも味わいながら、何とか駆け抜けてきました。

 世間では、もう悠々とリタイアして年金や運用で暮らす人、役員や経営幹部で泰然とお仕事をされるような方の多い中、知らない分野の法律や制度を覚えるこれはこれで、新鮮です。見方によれば、マゾかと思われるぐらい。とてもそんな新しいとこに入っていけないと言われますが、気が付けば新しい専門ジャンルを一つ増やしています。

 一度きりの人生、何でもやってみて、初めて会う人には、ずっとこの人はこの役場の人なんだと思われているだろうなと思うことがまた快感でもあります。

 何をされてきた人ですかと、キャリアを聞かれると、長くて説明も難しいですが。まあいろいろと、やってきていますと語ることができます。

間違って『器用ですね』と言われることや思われているがありますが、手先もそうですが、考え方も生き方も不器用です。
 一般的なギャンブルやゲームなどの遊びも苦手ですし、頭と体で理解しかしないと、なかなか呑み込めないところもあるわりには、我流で突っ走って失敗し、迷惑もかけています。

 こんなことなら、もっと若い頃から頑張って会社で出世していたらとか、勉強して公務員試験や資格試験を受かっていればとも思いますが、いろいろつまみ食いみたいに気楽に歩きながら、閉塞された業界に少しずつでも意見して、改善を促すようなところに、やりがいと使命があるのでしょう。

 私の37年もそうですが。同じ職場、同じ仕事にずーっといることは、我慢強いですし、立派だと思います。退職金貰えて、年金が入って働かなくて良くなれば、絶対働かないと思っていました。

 仕事も人生も、それぞれ、いろいろだなあとはつくづく思います。

年金改革はコメどころじゃない重要な日本の課題

 年金改革に『基礎年金の底上げが入っていない、あんこの入ってないアンパン』と立憲民主党に揶揄されて、少数与党の悲しさで与党自民党も結局妥協してしまいました。

 しかし、ドラマの題名でからかうほどこの問題は軽くありません。日本の社会構造を揺るがす大きな改正をするのかどうかです。

 厚生年金加入者からすれば、「自分たちが払った保険料が、保険料を払っていない人の給付に使われるのはおかしい」という不満が出るのは当然です。60歳から70歳ぐらいの人が年20万から30万の減額といわれたら、ブチぎれる人もでるでしょう。

 厚生年金保険料は給料の18.3%(労使折半)と結構な負担。それが自分たちの年金給付に使われるんじゃなくて、国民年金加入者の給付に回されるとなると、不公平感は拭えないものです。
 元々、国民年金の保険料というのは、公務員や会社勤めで定年のある共済や厚生年金に比べて、農家や自営の人、零細商工業者は高齢になれば収入も先細るので、お小遣いの足しにという感じのものでした。掛金も100円台とかのスタートでした。それで、十分一人で生活できるような金額では、最初から設定されていません。老人が扶養されるのに、肩身の狭い思いをせず、家族に負担をかけすぎない程度のものでした。

 今は、日本で『家』は崩壊して、独居の高齢者も増えてしまい、家族で高齢者を支えることも減りました。実際に、月6万程度の基礎年金では、生活保護を受けないと暮らしていけないのです。介護施設や高齢者住居の費用も跳ね上がり、年金+持ち出しでも、なかなか厳しい老後が待っています。

 ここで厚生年金の積み立てまで基礎年金に回すというのは無理筋で、これでは保険としての制度の信頼性を損なう可能性があります。平成16年の年金改革で『100年安心』と言われたはずが、社会全体がまだ景気も良く余裕があったので、誤解を与えています。当時から、基礎年金だけでの生活は無理があったのです。
 そこから実質的な減額をしていこうとしたのですが、元々ボタンの掛け違いのような年金は安心という言葉が独り歩きしてしまい、年金財政は破綻しないものの、就職氷河期、バブル崩壊、それに伴う賃金低迷や退職金の大幅減額と、多くの年金生活者はジワジワと貧困になりおかしいと騒ぎだしたのです。
 結局大きな思い違い、予測の外れ、計算違いがあったのです。そこをこうだから予想が外れたとしっかり説明と、謝罪をするならいざ知らず、先送りしてごまかし続けた弊害です。『年金だけでは老後2000万ほど足りない』と、小出しに釈明しても、『話が違う』と言われ、その間に年金を大きく上回る物価高で怒りを増長させました。

 年金とはどこまで保障すべきまのか、そもそも一体年金の意味は何なのか、日本の社会は今後どうなるか根源的な問題で、コメが品目として値上がりしたとか値下げすべきとかよりも大きな問題です。
 在職老齢年金の停止額はようやく上がるようですが、それも遅いし、基準はまだ月62万程度で、同じ改正案に盛り込まれなかなか50万台から増えませんでした。

 働いたものが貯めていたとも言える、拠出金が、働いていない人に回るのがこれ以上増える。そんな異常が続くなら、保険ではないのです。保険とは拠出金から給付金を出していくのが大原則であり、運用損益らも鑑み、公的な国民皆保険の性質上、免除期間者もいるので税金での補填も認められていますが、これ以上給付割合を減らすと、制度上保険ではなくなるのです。入らない方がマシというのは、強制であっても脱法が増えるだけです。
 今一度、年金部会など一部の識者だけではなく、国民全体として、年金や生活保護、社会保険料の在り方がどうあれば良いのか、議論すべきであって、選挙目当てのポピリズムで右往左往や先送りではいけないのです。コメの高騰は一過性で、節約や代替はできても、年金の改悪は生涯続くわけであって、勤労意欲や社会秩序など日本の経済全体を揺るがす大問題です。
 多くの方が、課題を理解した上で、良い結論を出されることを期待します。

書評:米澤穂信「冬季限定ボンボンショコラ事件」

 米澤穂信さんのミステリ「冬季限定ボンボンショコラ事件」書評です。2024年に刊行で、このミスなどのランキングでほとんど2位以内に入りました。その前の年が『可燃物』で1位を独占したのですが、昨年は青崎有吾「地雷グリコ」が1位独占で、僅差ですがその次のランクでした。
 作家としても評価は高く、アニメ化もされた人気の小市民シリーズ、4作目にして完結編です。シリーズを知らない人にはなんのこっちゃの題名ですが、春夏秋冬とスイーツ名を冠したタイトルの中高生の男女が主人公のミステリです。

 受験を控えた高3の冬の物語。主人公、小鳩常悟朗のひき逃げ事件と、3年前に小佐内ゆきと出会うきっかけとなった同じ堤防道路で起きたクラスメートのひき逃げ事件を、それぞれ抜け道のない密室状況からひき逃げ車はどこへどうやって消えたのかという謎を軸に、「2人にとっての最初の事件の時間と最後の事件が輻輳しながら綴られる構造」の作品です。
 恋人同士という甘さはないけれど、謎を解く理屈っぽさでウマが合う2人の微妙な距離感と、進む考察が論理的でいいです。

 完結編ということですが、シリーズを読んでなかってもそれなり、楽しめます。【以下ネタバレ】
 学園に通う主人公であり、日常の謎的な事件が多かったのですが、今回は本人が狙われた件で、ロジカルな犯人探しと、犯人消失ミステリを解きます。
 狙われていた主人公で、入院して不自由なところでスリリングな展開でもあうのです。
 犯人にはなるほどの動機もあり、それなりに納得のエンドです。ちょっと病院のところには、動機の心理は上手く描いていますが、その状況に至った背景とタイミングに偶然が多くいところはあり、1位になれない原因かもしれません。
 実際に入院した経験のある人から見たら、最初の偶然はあったとしても、現実味が薄いところで、その後までアレが続くのはどう考えても無理があり私は不満が残ります。パズラーとしてロジックができていれば、背景にあんまり宇宙人だろうと未来人だろうと、リアルな設定を求めないのですが、何日か入院して経験のある人には、サスペンスというよりはそれはないよなあという感じでは少し抱くと思います、

 「僕が思うに○○○で片がつく」恋が成就するわけでもなく、高校生の時期が終わり、シリーズが終わるのは残念で、何かの機会に米澤穂信ワールドに登場して欲しいキャラたちです。

コメに関わる恐るべき組織

 コメ高騰で備蓄米が放出されても価格が下がらず、コメが店頭に並ばない。この異様な事態の背後に農協、農水族が暗躍しているとはよくささやかれます。実際備蓄米落札のほとんどが全農であり、政府の中枢も与党自民党の農協票田に支えられた地方選出の農水族議員が多くを占めます。
 農協を知らない人が農家を支える地方の牧歌的な組織なら良いのですが、そういった1面は皆無とも言わないまでも、戦後80年を経て実態は恐るべき【日本の闇】とも言われる存在です。
 書き出すととても長くなり、検証しがたい書物も諸説もありますので、統計で見えるJAグループの組織と、画像の本をはじめ、その題材のフィクサーや、対立した京都出身のかつての政界のドン野中広務氏の書物などで、おそらく間違いない範囲での概略を書きます。

 JAグループ、農協といっても組織は大きく、多岐にわたります。ホームページで確認できます。
 JA全農(全国農業協同組合連合会)は、JAグループの経済事業を担う組織で、農家(組合員)の営農を支援し、安全安心な食料を消費者に供給することなどを目的としています。具体的には、農産物の販売、生産資材の供給、農業振興のためのインフラ整備などを行います。本来、昔ながらの百姓的な専業農家は、コメや農作物を作っても、集荷し売るのは、ごく小さな直売を除き、多くは農協に委ね、肥料や農具をあっせんしてもらったり、技術のアドバイスを受けていたのです。農協の抱かれるイメージは概ね、JA全農です。

 その並列に農林中央金庫(のうりんちゅうおうきんこ)があり、JA(農協)、JF(漁協)、JForest(森組)など、農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関です。略称は「農林中金」お金を司るJAの銀行です。

 もう一つ並列して、全国共済農業協同組合連合会の愛称であり、仕組開発、審査、査定、および資産運⽤を⾏い、JAと連携・協調しながら、JAの共済事業を総合的にバックアップしています。JA共済連は、仕組開発、支払共済金にかかる準備金の積み立て、 資金運用業務、全国的なシステム開発・運用等を担います。 JA共済は、組合員・利用者のニーズやライフプランに応じて保障を提供しています。保険事業です。
 組織としては、この大きな3事業の上にJA全中があり、統括しています。そして、この3分野の組織の下に、各都道府県JAがあり、さらにその下の地域のJAがあるわけです。
 その事業割合は
信用事業(銀行業務)::40~50% 程度
共済事業(保険業務)::20~30% 程度
購買事業(肥料、農機具などの販売)::10~15% 程度
販売事業(農産物の販売)::10~15% 程度
 その他に分かれます。
比率の推移までな詳しくないですが、戦後の高度経済成長期、バブル期と、専業農家も減り、本来の農業の売買よりも、地域の非農家も含めた金融や保険が主体なのも分かります。農協の事務は、自治体の役場と並び、地域の数少ない安定した就職先でした。

 ところがこの時代、金融や保険が厳しい業界なのは、経済に疎い人でもわかると思います。地方の銀行、信用金庫はどんどん閉鎖、統合され、大手の都銀や保険会社も統合、リストラの嵐です。外資やネットの台頭もあり、金融や保険の事業もどんどん縮小して、元の本業の農業をカバーするほどではありません。
 直近も農林中央金庫は大規模な赤字に陥っています。これは、アメリカ金利の高止まりによる外債価格の下落と、それらに伴う運用上の損失が原因です。特に、2024年4月~12月期の連結決算では、1兆4145億円の赤字を計上しており、2025年度の赤字額はさらに拡大する見込みです。
 では、JAグループの組織トップに君臨するJA全中は、何を考え、そもそも何をする組織なのでしょう。

 JA全中(全国農業協同組合中央会)は、日本のJAグループの総合指導機関であり、JAの健全な発展、農業振興、地域社会の発展を支援する役割を担っています。具体的には、政策提言、経営支援、情報発信、人材育成など様々な活動を通じて、JAグループの総合力を発揮し、日本の農業を支えることを目指しています.(ホームページより)
 

 自ら、政策提言とも標ぼうしている通り、組織を束ねって政治に関わるのが生業となあっていました。そのために、国会に議員を送り込み、地元の議員を応援して、政策に関与するのです。もちろん、政治の世界なので、やりすぎは件の野中広務や安倍晋三首相らとも軋轢があったり、全中解体を叫ばれる一部マスコミの声もありましたが、大票田のJAの暗然たる力と、農家のためとか、日本の食のためと、大義名分をカモフラージュにして、本来いらない政治のための自己防衛、自己増殖のためだけの組織になっています。

 今回のコメ問題も全中と、農水族の利権が関与していない訳はないと、考えても自然でしょう。農協に務める事務の方が悪いわけではないですが、全中は要らない組織です。

 

スマホ買い替えました

 ケータイというかスマホを買い替えました。
 3年ちょっと前のAQUOSがバッテリーも弱くなり、ストレージも90%近く使い、重くなっていたところでした。何と、交差点で急いでいて転倒していまい、前に倒れる特、手のひらで軽く受け身をとったのですが、膝小僧と、ウエストポーチに入れた携帯の液晶が傷つきました。

 修理もできそうですが、修理に出すなどの諸条件を考えると、やはり買い替えと決めました。

 画像データやアプリなどの移行もほぼスムースに行きました。何より、充電の心配いらずで、動きも早く、画面も大きく見やすいので、最新のもので高いですが、まあ納得です。

 4年ごとぐらいにスマホも買い替えています。およそ30年、もう最初のPHSからは何代目でしょうか。その時々、文化や生活形態も進化したり、変わっていき、仕事や家族のライフイベントも変遷してきました。
 QRコード決済を始めたのは、先代のスマホからです。
 昔は地下鉄線や、ちょっと外れた田舎では電波が来ないのは当たり前だったのに、今はまあ普通の生活していて繋がらないエリアはなく、無料Wi-Fiを探す時代になりました。
 ニュースやスポーツの速報は以前からありましたが、ネット初期では、何でも検索できるようになり、世界とつながった感じがありました。やがてAI,チャットGPTなど、こんなことができるのかという時代になりました。
 今の最新モデルもやがて老朽化するでしょうし、次の買い替え時期がいつなのか分かりませんが、どんな近未来が待ち受けているのかなと思います。

年金減額:慇懃無礼な手紙

 私も公務員側の立場になることが多いので、大声で怒ってもカスハラになるのは分かります。

 年金の仕事も3年以上やりましたし、公務員としては、国の税金から俸給を貰っており、国の制度を根本から覆すような非難もしたくはありません。
 辞めても、守秘義務になるところもあります。
 働きながら年金を貰うと一定額を超えると減額されることはもちろん承知しています。

 しかしながら、言いたいのは2点。

 伝達の文章、文言に配慮が欠けます。難しいです。
 その上、支払ってきた保険料にたいして払う年金を国の仕組みにより停止するのだから、もう少し丁寧にへりくだらなくてもいいですが、丁寧なスタンスが必要だと思います。
 記号的に数字に結びつけた定型文で、木で鼻を括るの典型のような連絡です。
 もう1点はやはり、難しいです。どういうことでっこうなったという、計算根拠も今後どうすればよいも何の情報もないのです。私のように年金手続きの仕事をしてきた人間でも、どの計算でこのタイミングかは、分かりにくいし、苛立ちを覚えます。
 リンク先に行っても、一般的な説明しかないので、自分で計算式に数値を調べて入れないと金額はわかりません。そもそも標準賞与額などその年の12月にならないと分からないし、昨年は人事院勧告の4月に遡る給与増額は12月最終の銀行営業日に振込です。
 全部の計算が機構側がするのも確かに大変、それはわかります。
 私など、例外的な働き方かもですが、昨年の報酬のあった勤めは辞めたばかりです。その情報が届くのは時間もかかる状況もわかりますが、だからこそ行き違いなどのケースも多々発生するのです。高齢者が対象なのですから、家族を含めて、5W1Hが分かりやすい文章にすべきです。

 税と社会保険料は概ねそうですが、社会保険労務士や行政書士、税理士、会計士などでないと分からない、いや彼らでも即答できないいくつもの壁があって煩雑です。こんなに難しいのは本来シンプルな「税の原則」公平性や簡素性からいっても大きな間違いです。
 文句も出ないよう、わざと難しくしていると揶揄されますが、そんなつもりはなくとも政治家や官僚は選挙対策やら自己の都合のいいように都度歪曲したツケです。制度がまさに迷宮のように分かりにくくなっている上、理解をして分かりやすく直すことがもう手を付けられないほどひどい状況です。

 正解がこれという答えがでにくいほど、日本国のいろいろな仕組みが制度疲労しています。AIが進化したらせめてもう少し、分かりいい通達になるのでしょうか。10年1日変わらない文言は少なくとも早く変えて欲しいです。

 苦言を呈せば、AIに頼らずとも、本来は人間の力で変えて行けるものが変わらないのが日本です。
 日本の経済界でGAFAが生まれないのうは、やはり伝統やしきたりを重んじるて、保守的な前例主義に尽きると思います。しかも従えない者はスポイルしてしまう、保守とか前例主義の伝統が全て悪いとかじゃなく、必要な時もあるし、それで守られた文化も人もいます。でもそれが、楯となり、隠れ蓑になり、制度や仕組み、しきたりが変わらない、新しい発想や改革を恐れてしまい、潰すことになってしまっているのが、多くの組織なのです。

 いろんな場で、改善の提案はしていきたいです。

映画レビュー「花まんま」朱川湊人原作

 朱川湊人さんは好きな作家で、以前は短編集はほぼ読んでいました。この原作もかなり前に読んでいたのですが、ここまで映画化されるという強い印象はなかった気がしました。

 予告編を見たり、封切りからも随分経っていたので、原作とはだいぶ変えているというのは分かりました。映画の出来は素晴らしく、原作を盛ったというより、素材にして大きく飛躍したという感じです。朱川さんは同世代作家でホラーテイストの昭和の下町の人情や奇跡的な偶然を描きますが、昏いイメージも強く、そこを現代にうまく加工しています。
 【ネタバレ】というか、ほぼ原作は回想時間に使い、後日談のような現代がメインです。令和の今年のカレンダーのようなので、30年後という以前の設定すら、原作の昭和40~50年代よりも今よりにずらしているのではと思います。

 少し、もやっとした気分の時期に、映画館に行き、隣にポップコーンを頬張る女性とカップルみたいな感じで、その横は車いす用スペースで、前が通路のゆったりした席で鑑賞できました。
 冒頭から近鉄バファローズの三角帽子の主人公になる少年、大阪の昔の下町の象徴なのか、それでも当時少年は巨人か阪神に憧れる子が多かったのですが、そこは近鉄推しにはにやりです。関西以外の人にはどうかなとも思いますが、大阪から、京都の大学、滋賀彦根とロケもいいですし、キャストもほぼオリジナルで、関西のおばちゃんと看板娘の間くらいの、ファーストサマーウイカさんとか、オール阪神巨人が関西の下町感を出しています。
 鈴木と有村もですが、カラス言葉をしゃべれるヒロインの婚約者で学者を、鈴鹿央士が好演しています。彼方側の家族もみんな好演、六角精児、キムラ緑子ももちろんいい味なのですが、父親役のキーマン酒向芳が素晴らしい。個人的には妻のお父さんを思い出しました。娘を結婚させるのは、大事なイベントです。
 近江鉄道もロケに全面協力で、蹴上のツツジ園、同志社の大学も出てきます。

 最後は、感動で隣の女性とともに涙ボロボロ。

 

書評 澤田瞳子「のち更に咲く」 平安期のロマンと暗闘

 昨年の大河ドラマ【光る君へ】で取り上げられた平安時代の物語です。
 著作は同年で、解釈や表記の違いこそあれ、あの人物だなという思い入れはあり、読み易かったです。
 藤原道長の栄華を転覆させようと都を暗躍する盗賊たち。道長邸で働く女房・小紅が、盗賊の首魁が死んだはずの兄との噂を知り探索を始めます。その過程で権力を巡る暗闘とそれに翻弄される者たちの恨みを知った小紅は、やがて王朝を脅かす秘密へと辿り着くのかミステリ的な要素も楽しめます。紫式部も地味キャラで登場、大河ドラマと違い藤式部、この物語ではふじしきぶと読まれます。和泉式部も奔放な性格で重要な人物です。

 歴史モノは良く調べて書かれることに感心します。ちなみに前年には「月ぞ流るる」という小説も同時代もので、赤染衛門を描いていました。以前にも平安時代の富士山噴火を描いた「赫夜」という作品もあり、奈良時代の天然痘が流行った事象を描いた「火定」などもあり、よくぞ調べておられます。

 不倫や権力争いも描かれた、源氏物語が宮中で世界でも珍しい古い時代での長編小説として人気を得たこと自体が、謎ではあります。大河ドラマでも政争の具としても描かれたのですが、重婚が当たり前で、モラルやコンプライアンスも厳しくない時代でも、光源氏や取り巻く女性の不倫スキャンダルの話は、宮中の女性にも人気があったのでしょう。

 今の時代でも、週刊誌が報道して、ネットで解説含めて、妻子ある有名な俳優と、若手売り出し中の女性俳優が不倫した話題で、CM降板などで騒がれます。
 国際情勢、トランプ関税、税制や社会保障の改革、参議院選挙に向けた政治や経済に比べても、どうでもいい人の不倫話。ところが、経済をどうこうしようとかは考えるだけで難しいものです。有名人のスキャンダル、不倫がいいとか悪い、重要なニュースかどうかより庶民に理解されやすく。叩きやすい話題だからもあるでしょうし、やはり面白いのでしょうか。それでも現実の人を、利害のないはずの他人が叩くのを楽しむのは良くないことです。
 

 男女の機微、権力や恋愛の人間模様を楽しむというのは、週刊誌報道ではなく、物語の世界で十分なのです。

500万でも50億でもやることは同じ

 実際に現金というのは、ますます見かけなくなった時代です。昔でも500万とか集金したのが最高ぐらいで、自分でキャッシュとして持つのは50万くらいが最高ではと思います。

 ビジネスやマネープランでも、金額の多寡というのは、実際の価値とは乖離している場合があります。

 大谷翔平が桁違いに稼いでも、いざ対戦すると、年俸が100分の1、ポッと出の新人に負ける時もあります。

 私が社会人1年目だと半期の売上目標が、500万とか1000万円ぐらいの時代でした、インフレは別にして職階が上がると、管理する数字は倍々に上がり、管理職の上の方まで行くと半期億を超えて昔とは3ケタ、4ケタも違う金額を扱っていました。

 とはいえ、数字が大きくなっても、管理するのは、月度だとか属性に分けて、進捗を管理し、課題やツボを押さえてクリアしていくやり方にハメることに違いはありませんでした。数字の全体の大きさにビビらず、この感覚にいかにはめるかでした。為替相場などでも基本は同じです。

 半沢直樹のドラマ、原作でもありました。最初のクールは支店融資課長で5000万とか5億の挽回で躍起でしたが、2クール目ではいきなり1500億とかの案件や、国交省がらみの国家規模スケールまでの役目を担っています。

 ゲームで一定の経験をし、アイテムを得たりすると、ステージが上がり、同じようなプレイをしていても桁違いの相手を倒せて、大きなポイントを得るようなのと似ています。

 大谷翔平の野球が変わらないように、新入社員と同じように苦労しても、いつの間にか桁違いの仕事をしているものです。

 芸能界、俳優、歌手。お笑いとか、作家さんや漫画家、いろんな世界の人も食うや食わずの苦労の売れない時代や所得も小さい時代があり、今世間もうらやむ年収を稼いでおられます。

 また、バブルがあって、それがはじけてメジャー帰りみたいな人も同じです。最盛期は派手に稼いでも、今はコツコツやっているような人もいます。

 派手でも地味でも、人が仕事をやっていることにはそんなに差がないのです。
 別のラスボスを倒すステージだけが楽しいのではなく、最初のステージでも遊びとしてワクワクもあり面白いものです。

ドラマ化原作のレビュー「天久鷹央の推理カルテ」知念実希人

 「天久鷹央の推理カルテ」知念実希人さんは時々ヒマつぶしに読んでいた作家なのですが、軽すぎて,読んだかどうかも忘れてしまっていました。
 朝ドラの「おむすび」が低視聴率で終わった橋本環奈が間髪入れず主演するドラマということで、オリジナルかと思ってましたが、2回ほど見てデジャブの既読感で原作者を見て、本を見てああ前に読んだ本だとやっと思い出す始末でした。
 原作と設定は少し違い、感じるイメージは違い、感じ方は人それぞれでしょうが、やはりドラマでは印象は大きく変わってくるでしょう。まあアニメやドラマ向けの本ですから、それなりにツッコんで楽しめます。ドラマはまさに朝ドラでは消化不良だった橋本環奈の独壇場のキャラミスです。姉役の佐々木希さんもキレイでハマリ役です。

 天久鷹央。天医会総合病院、統括診断部の部長を務める彼女は、明晰な頭脳と圧倒的な知識で、あらゆる疾患を看破します。外見は少女のようで行動や言動も破天荒です。
そんな天才医師の元には各科で「診療困難」となった患者が集まり、ミステリ的な謎を鷹央が解いていきます。

 原作では滋賀県の東近江あたりの設定が、ドラマでは都会に替わっています、それも気づきが遅れた点。

 間違っても本を買わずに良かったです。最近はタイトルを文庫化で変えたり、映画やドラマ化ではカバーもそっくり変えたり紛らわしいのが多いです。記憶力が悪くなると、読み進んでから「これ、読んだことある」というのが図書館本でも多いですし、買った本だとショックは大きいです。

 最近は本当に物覚えが悪くなり、会った人も相手は覚えているのに、こっちはエピソードも名前も、いくら繰り返されても思い出せないこともままあります。ドラマはハシカンファンか軽いラブコメ好きの方向け、原作はヒマがあれば楽しめる程度ですね。