先日、少子高齢化の政策を打ち出すため等には現状維持の高齢者よりも若者の投票の一票に重きをおいた選挙制度の改革を提案して、若者の政治参加を促すことを書きました。高齢者の一票を軽んじることは「姥捨て」との批判をはじめ、制度改革の難しさなどいろんなご意見もいただきました。
私自身も還暦を過ぎた高齢に分類されかける立場であり、うまく整理して自分の思いや感じていることを説明しないと非常に難しい誤解を呼ぶものだと改めて認識しています。たとえば自分が年金で生活している立場、あるいは高齢で再就職しようという時に、若い人だけでマンションの管理費を上げて、年金だけで生活している人が苦しくなるとか、いざ働こうとしてもきつい汚い肉体労働しか回してくれないとかいう実態は身近にあり、他人ごとではありません。
構成比の高い高齢者の現状、実態は尊重されて暮らしやすく働きやすい環境にしないといけませんし、その声は届くようにしないとならないと思います。
子育て、教育などで高齢者が貢献でき、収入と生き甲斐を得れば一挙両得です。
また経験と知識を積んだ老人が、社会全体のオンブズマンやオブザーバー、時にご意見番となったり、現場監督として居続けることも否定はしません。
ただ自分たちの世代以前では、大幅な支援のなかった子育て、学校に巨額の予算を回して少子化を止めるような法律を作るには今の年齢構成比では否決されるのではないかと思うわけです。予算に紐つくのが「しがらみ」「癒着」とはいいませんが、長年の支援者に貢献するごく人間的に当たり前の構造だからです。
確かに若ければいいというわけではなく、民主主義の抱える問題としてポピュリズムや愚民政策、人気取りだけの政治に陥るリスクなどのご意見も現状あり得る部分です。
先見の明と公平性をもっった知恵のある神や仏に近いような政治家が経験で生まれるのに期待するという考えもあります。
それでも私は政治はバイタリティも必要ですから、ある程度社会経験と勉強を積みかさねた30代~40代くらいが管理力と発想力の脂ののりきった時期だと思います。同じ保守政党でもいいですし、高齢の経験者にはそれなりのポジションを与えつつ、世代交代をもっと進めるのです。これは活力ある民間会社なら当然進んでいることです。
行政を見ると明確にわかるのですが、官僚も地方行政も財政や組織の改革効率化等の本来喫緊の課題を見事なぐらい先送りしています。自分の部署だけは過去の前例を踏めに執着されます。政治は本来その行政の長に回ったり。監視をする立場のはずが、これも選挙期間を意識したり、しがらみや成り行きなのか、なかなか変わりません。
私の住んでいる京都市でも全国一財政状況が悪化しています。厚労省の仕事に関わっていますがお役所というのは、省庁再編時にわざと大臣の監視が難しくなるように統合してしまい、職員は減らないでそれぞれの予算は粛々と執行されていく体質です。
これらを本当に改善して、民間や国際基準に合わせ、あきらかな無駄をなくすのにももう凄いエネルギーが必要です。
本来、大臣や首長は先頭にたって財政の健全化と持続可能性を最大目標に任期中邁進すべきでしょう。
選挙の制度にしろ、社会保障の制度にしろ、子育て支援にしろ、何かを変えようとしたり、新たな提案をしたりすると、元々今の制度も複雑な変遷があったりして、既得権者に限らずどんな提案にもいろんな課題、矛盾、不整合はでます。
そんな調整こそ富岳などのスパコンやすぐれたAI、識者がやればいい話であり、トップに立つ者がやることを実現可能かを確認して決断して嫌われても実行する。最終的に方法論が決まれば、既得権者と交渉するだけです。
少子化に対しては10万円の給付などでは、砂漠にコップ一杯の水程度です。私が思うには2桁くらい違う予算をつけないと変わりません。
それを進めるにはやはり今の年齢構成、既得権者主体の代議員構成では法案を通すのが難しいという意味あいです。
10万円の18歳未満給付にすらやっかみ自分のほうが貧しいから所得制限をつけろという高齢者がいます。高額納税者もさらにキャピタルゲイン課税をしてというと反対意見もあるでしょう。
しかし結局、若い人にそっぽをむかれ外国に逃げてしまわれたり、政治に無関心のまま停滞した国家を放置されてはこの国の未来はありません。
いろんな国家プロジェクトの推進、大きな改革には、当然賛否が生まれます。受益者もいれば損や犠牲を蒙る人も出ます。どんなことでも推進するには犠牲的な協力は必要なものです。それが一般論だと理解は得られても、いざ自分や家族に降りかかると知ると、神や仏の領域からすぐに餓鬼や修羅のごとく反対に転じる場合があります。私も自分に直接金銭的負担が来るとなると、主張が変わる場合もありました。
政策を進めるには十分な説明と、補償などがセットにならないと理解は得られないでしょう。
道路や橋、トンネル、鉄道を新たに作る、新しい制度、組織や産業を作る。新たな薬、ワクチンや医療機器を承認して現場で使う。すべて犠牲はつきもので既得権者の反対をくぐりぬけないとできないのです。しかし国に未来を再優先に考えると嫌われても誰かが推進しないといけないのです。