洞窟の比喩とは、古代ギリシアの哲学者プラトンが自らの著書『国家』の中で「イデア論」を説明するのに使った例え話です。
プラトンはこの比喩で、人間が知覚している世界の限界や、目に見えない世界の本質「イデア」やその理念に対する認識に関する考えを表しました。イデア論とは本当にこの世に実在するのはイデアであって、我々が肉体的に感覚する対象や世界とはあくまでイデアの《似像》にすぎないとする説です。
洞窟の比喩(寓話とも)は壁の前で縛られて拘束されずっと後ろから投影される像だけを見せられた囚人たちの話です。一人が解き放たれ自由を得て、まぶしい太陽のあたる真実の世界を見ますが、戻ってきて他の囚人に外の世界を説明しても分かってもらえない。
というような寓話です。
テレビもインターネットもない時代の哲学が今の時代の事象にも当てはまるというのがなんともプラトンの偉大なところです。それだけ人間の営みと悩みの本質は不変ということでしょうか。
政府や政党、大企業のリークやプロパガンダの可能性が高いテレビや新聞、SNSなどネットで偏った情報ばかり見て、それが世の中のすべてだと思ってしまう人もいます。
情報は、いつも同じ方向から見ていると、いつの間にか視野が狭くなっていき、価値観が狭まってしまうということです。
与えられるもの、見えているものが全てだと思っていると、「洞窟の囚人」たちのように、物事の本質というものを見失ってしまうのです。
プラトンの考察は解放された囚人が見た太陽もまたイデアかもしれないと言われています。