追悼 稲盛和夫氏 ビジネスマン時代の心の師

 私の後輩にD君という、けっこうイケメンだがどこか冷めたところのある社員がいて年は離れているが結構ウマがあいました。よく呑み歩いたり議論もかわし、アドバイスもしました。
 性格的に似ているので同じようなパターンでつまずくので、よく相談にものりました。他の後輩もたまに薦めたが、稲盛会長の本は優秀だが斜に構えたようなタイプの人がスランプに落ちた時に、熱く自分を奮い立たせることができる本だと思っています。

 私自身は若い頃、とても稲盛さんの京セラに入っていたらついていけないような、ダメ社員だったと思います。1982年くらいの京セラの噂はリクルートしている学生にも耳に入っていました。今の自分が思えば、そこで稲盛さんに出会い心酔していれば人生変わったかもしれないので、そういう選択もありかなという気がしないでもありませんが、やはり無理でしょう。

 私とD君もそこまでは熱くなれないという感想を共有しつつ、やはり自分の甘さやらネガティブな感情を稲盛流なら克服できることは感じ取りました。
 それでもなおかつ、ミステリ作家森博嗣の気楽に生きるようなエッセイもいいなという感じで共有していました。人間適度に熱くなり、ときどきは気楽に生きるのが一番のようにも思いました。

 歴史を見て、今の境遇に甘えないで少し冷静に自分を見て足りないところを補う、最低限のところは、私と後輩D君は学べたと思います。

 稲盛さんは一時民主党を支持されていて、政権交代後に失望されて政治とは距離を置かれていました。それでも政府に乞われJALの再建に白羽の矢が立ち、冷静でかつ熱い稲盛さんに重要な経営再建を遂行しました。まさに適任でした。
 90歳での大往生、心よりご冥福を祈ります。

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