90歳を超えられたと聞いても驚きますが、100歳でご存命と聞くと衝撃ともいえます。あえて名前は伏せますが大きな会社の社長会長を長く勤められ政財界にも強い影響力のあった方の話です。
戦争の語り部と言われる方、その世代の方がもうどんどん高齢化していてます。
今、90歳の人でさえ、終戦当時は12歳ですから、満州事変や真珠湾攻撃など戦争が始まったときの状況や詳しい背景とか、社会の受け止め方をリアタイで感じてはいないのです。100歳くらいの方で初めて開戦当時大人だったことになります。
80歳代のすでに後期高齢の方でやっと、子供の頃敗戦を体験し、その後の占領下の苦しみを経験されている世代です。その方たちでさえだんだん少数になっています。
右翼とか左翼は関係なく、戦争の語り部がいなくなることは残念なことでもあり、恐ろしいことでもあります。
たまたま、その経営者の方の戦争に関する思いや、政治に対する評論を読み返していて、この人がもう100歳でご存命と知りました。経営者としては結果的に問題もあった方ですし、独善的なところもあります。
表現が難しいですが、そこに書かれてることがリアルというか、ニュートラルで、ナチュラルな感じに当たり前に戦争のあった時代が語られているのです。それが今のテレビや映画、文章や映像の戦争よりも新鮮で違うものだと思いました。
残念ながら今戦後世代が、映画や小説とかを作ると、いろんなバイアスがかかり、偏りの考えに囚われます。美化したり、戦争反対とか、愛国保守か極端に分かれて恣意的なものに知らず知らずなっていくのでしょう。肝心の映像や文章表現でも制限があって、どんどん違うものになっています。その映像を見て、それが戦争だと思い込みます。
戦後生まれで昭和40年代くらいまではもう少しリアルなものもありましたのが、現代では史実が希釈され過ぎて、まるで違う実像をばか丁寧に描くような危ない創作現場があります。おそらく明治維新や日露戦争をリアタイした人から直接間接に話を聞いた世代なのでしょう。
現実とは違うものを戦争と思って、反対するのも賛成するのも少し違うような、否、だいぶ違うと思うのです。
そうやって観ると、今のテレビの報道なんて30代くらいのアナがせいぜい40代50代の解説委員と深く調べもせずにやっている内容が浅すぎて軽すぎです。
平成以降でヒットした、右側の人が作った戦争の映画も、左側の人の作った映画も、アニメか実写問わず、リアルとは程遠いものなのです。
この本の内容についてはまたの機会に詳しく。