「そうじのおばちゃん」は差別用語?

 今は「おそうじおばさん」などというと職業差別になるのでしょう。
 ビルやオフィスの床やトイレを掃除する人もメンテナンススタッフとか言われます。
 職場でも、このスタッフの方が掃除をしに来てくれています。「キツイ仕事なんやろな。入れ替わり激しいなあ」と同僚と言っていました。隔日交替ですが、男女で女性の方はわりと長いこといますが、男性はよく替わっています。たまに若い方もいますが、概ね年配の方です。女性の方も若くはないですが、別にまだ事務などでも働けるのではと思うぐらいの感じです。男性のトイレもそれほど躊躇いなく清掃されています。
 職業に貴賤はないとは言われますが、最近でも「キツイ、汚い、危険」とか言われる現場の汚れ仕事は低賃金のまま現存します。

 私が小学生の頃、故3代目笑福亭仁鶴さんが唄っていた哀愁ある曲に「おばちゃんのブルース」というのがありました。B面、カップリングの曲ですが、A面よりリクエストが多く良く歌われていました。語りも入った哀愁のあるブルースです。
  
 歌詞は仁鶴さんの作詞です
わたしゃビルのお掃除おばちゃん モップかついで生きてゆく

ひとり息子を自慢のたねに毎日 床を みがくのさ

 おばちゃん おばちゃんがんばってやおばちゃん

(セリフ)「おばちゃん 腰にぶらさげてんのん トランジスタラジオ?ようやる」

 やがて息子は 立派に育ち 

 今じゃ一流    サラリーマン  

 だけど 嫁さんもろうてからは 

 息子は はなれていったのさ  

 おばちゃん おばちゃん 

 がんばってや おばちゃん 

(セリフ)「そら息子が悪い 悪いチャンチャコや ソンナ息子ドツキチャンチャコしたりぃな!」

 息子にゃ 息子の道がある (セリフ)(ナンジャイナ) 

 わたしゃ ひとりであきらめた  

 しぼり足りない 雑巾のように 

 初めて わたしは 泣いたのさ  

 おばちゃん おばちゃん 

 がんばってや おばちゃん 

(セリフ)「おばちゃん、若い時 だんさんと一緒に行水入ってんてな」

 わたしゃビルの お掃除おばちゃん 

 モップかついで 生きてゆく  

 ピカピカ光る 床の様に 

 汚れちゃいない 人生さ 

 おばちゃん おばちゃん 

 がんばってや おばちゃん 

(セリフ)「夕焼け空に おばちゃんの顔 きれいななアー」

  以上 歌詞引用
 

 最後のセリフこそ、少し救われますが、2番以降の展開もなかなか悲しい歌詞です。憂歌団がアレンジした曲は放送禁止になりました。
 こういう差別を封じ込めるような、問題に蓋をするのも何だかと思います。

 今のオフィスやショッピングセンターで見かけるトイレのメンテナンススタッフの方にも、それぞれこういう人生のバックボーンがあるのだろうかと思います。
 潤沢にお金をもって、高等教育を受けられる環境に恵まれれば、就かないのではと思ってしまうのですが、何らかの難しい事情があるのでしょう。そんな目線すら恥ずかしい差別意識かとも思います。
 安易に水商売などに走らず、お金だけではないとも見えてきます。「汚れちゃいない、人生さ」と言い切れる気概を持って仕事をしている人はホワイトカラーの職業の人にどのくらいあるのでしょうか。

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