進化する大都会の鉄道と、廃止検討の過疎路線の格差

 大阪駅に新しくできたウメキタのホームにつながる出入り口には最新テクノロジーの顔認証ゲートができています。従前のICカードタッチでも通れますが、切符には非対応です。
 大阪の話題で言いますと、万博が2025年で、その跡にIRということで、それまで遊休地に近かった舞洲地区にも路線が延びます。
 首都圏では、この春新横浜線が開業して、神奈川と東京界隈がさらに便利となり、羽田と都心を結ぶ路線も計画が進んでいます。
 土地が高い、大都市圏でも新路線や新設備がどんどんできる一方で、地方の鉄道は休止や廃線、バス転換など厳しい話題ばかりです。
 JR各社、ローカル私鉄で多少の差はあれども、JR北海道がすでに廃止を進め、東日本、西日本も多くの赤字路線の地元協議を提案しています。JR東日本では、只見線が災害から長期の不通からようやく復旧したかと思えば、米坂線が被災で再開には相当の困難なようです。あまちゃんで有名な三陸鉄道は、ファンドの呼びかけで、地震と台風のダブルパンチから蘇りましたが、トーマス列車やSLの運行などで有名な大井川鐡道はまだ台風被害からの、一部区間不通復旧のめどはたっていません。
 これから数年、JRの多くの路線が、三セクやバス転換され、青春18きっぷで行けるような旅情ある路線は無くなってしまうと予想されています。
 JRは儲かる都会の区間だけに投資して、地方や過疎地域は見捨てるのかという声もあります。あるいは、公共交通機関なので、国や自治体が支えるべきだという意見もあります。
 鉄道好きの私が書くのも残念ですが、それは違います。
 国鉄を解体し民営化したのが悪いとか、分轄のエリア分けや安定基金などの仕組みに問題があると言われるのも頷けるところもあります。しかし、40年ほどの前の政策の結果論であり、その後もモータリゼーションの進化や、人口減少、過疎化などを全て予測など誰にもできなかったでしょう。
 私自身、ローカル鉄道の車窓を見ながらビールでも飲むのが好きです。渓谷美、川沿いをのんびり走る米坂線とか姫新線とか乗るのは大好きですが、経営とか数値を見れば残念ながら違うのです。
 観光シーズンの青春18で乗る休日は多少鉄などで混雑しても、普段は誰も乗っていないから、こういう廃止検討数値になるのです。
 コロナで観光客も減って、乗客もゼロに近くなり利益は無くなり、路線維持だけで大赤字です。
 地域に住む、通学や通勤、買い物や通院に利用する高齢者などの住民を見捨てるのかと叫ぶ方もおられますが、ごく一部の方を除いて、ほとんど乗らないという厳然とした数値なのです。
 それを慈善事業のような公共事業として続けるべきだとか、都市部のサービスを犠牲にして、あるいは運賃などを値上げして、利用者の少ない過疎路線の維持に回すというのは、逆に都会で利用してる人や企業として株主には説明しきれません。都市部にもライバル私鉄や他の公共交通やマイカーとの競争もあり、それにも負けると企業価値は下がります。
 国や自治体が支えればいいというのも、結局そう簡単なものではありません。受益者の地域などの特定をどうするかですが、結局いわゆる市民の血税で、一部の通学の高校生と乗り鉄のための路線を維持することになります。わかりやすく言えば、「〇〇鉄道の復旧、維持のため、〇〇県と〇〇市の住民税や、水道代を上げます!」といえば大クレームですし、「JR〇〇の赤字路線15線区維持のため、ガソリン税を倍にします。自動車税上げます。高速道路の料金3割上げます‼」と言われたら、もうそんなんエエワになるでしょう。
 ハッキリ言って新幹線くらいのスピードか、せいぜい在来線でも特急の許容最高速度の130キロくらい出せる基幹線区でもない、50年前か、下手すると100年前にできたうねうねグネグネした鉄路で、最新の高速道路とかで、快適空間で移動できるクルマの勝てるわけが無いのです。
日本は過密な鉄道王国で都市部でそれは残りますが、何十年か先は北米などと同じ、都市部だけに鉄道があり、一部の大都市間は高速路線があるだけで、他はクルマとバス路線になるのではと予測されます。
 とても残念ですが、それが近未来です。

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