書評:レモンと殺人鬼

第21回 『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作!
ということです。

「どんでん返しが大好きな私にとって最高の作品でした!
最初から最後まで、物語にどんどんと引き込まれていき、そしてある一文で鳥肌が立ちました。
狂気に満ちた人間たちに翻弄されて、読み終わったあとは放心状態になります。
沢山伏線がはってあるので、何度も読み返したくなる作品です!」――齋藤なぎさ(女優・声優)
 いわゆるイヤミスでかつ、トリッキーな展開がウケたようです。

 湊かなえ・真梨幸子・沼田まほかる がイヤミス3女王がそうですが、新たにくわがきあゆさんが新女王に加わろうとしているそうです。イヤミスとは読んだ後に「イヤ」な気分になる後味の悪い「ミステリー」。決して楽しい気持ちにはなれないのに、ついつい読んでしまう映像化された作品も多く、女性ファンの割合が大きいのが特徴で、なぜか女性の作家が多いのです。
「イヤミス」と厳密には分類されていなので、書評や店頭の煽りで読んでいることも多いのですが、ミステリとは言え、基本読書で不快な思いをするのは好きではありません。これは一部の叙述トリック系でもそうなのですが、小説という文学作品として何のために書かれているのかとなると、あまりにも意味が不明で対読者だけの小細工になるのも好きではありません。
 ネタバレになるので、ミステリの部分には触れませんが、【どんてん返しの連続!】キャッチコピーで煽られてますが、間違いではないのですが、パズラーミステリと違いやられたというほど心地よくないのがイヤミスです。
 この堕ちていくようなイヤイヤ感を味わうのが好きな女性読者が多いのでしょうか。
 伏線は回収されると考えると、見逃さず読んで組み立てるとおよその結末は、パズラーで捻りの多い小説よりはカンタンに予想できでしまいます。
 たぶんそういう読み方はせず。ひたすら受け身でマゾ的な読み方をする人のが多いのでしょう。
 
 うーん?これでこのミス1位は、どうもやはり『納得できません』(坂口健太郎風に)
 だいたい伏線なんてもんは、回収すればポイントが上がるみたいな評価になってしまう傾向です。もう何かフィギュアスケートとか体操競技みたいになってないかと思ってしまいます。現実の世界では伏線回収などキレイにならないもので、そこにリアルもあります。
 謎を提示してそのままはいけませんが、ミスデレクションの回収が多いのがポイントではないと思うのです。ミステリの醍醐味は、物語の幹がしっかりあって、TRICKやストーリの独創性か切れ味だと思います。
 とはいえ、まあそれなりに楽しめる人は多いでしょう。
 

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