梅田の聖地でピンチに 天使が舞い降りる2  #コイバナ #ラノベ #人生応援 #ハロウイン

 前回↓のつづきです。梅田の聖地案内とともに、人生応援のコイバナ、少し長いですが、お時間のある時に是非お楽しみください。

梅田の奇跡 天使が舞い降りる1 #コイバナ #ラノベ #人生応援 #ハロウイン – 天使の星座 (seizafpkotodama.com)

 【怒涛の一日の船出、謎のニックネーム
 ハロインメイクのレッスンイベントは無難に立ち上がり、メイクアーティスト水野香菜さんはバツグンの動きの速さと、気配りと、明るさでたちまち会場を席捲しました。
 その動きは武道のすり足のようでもあり、優雅な舞踏やエネルギッシュなダンスも思わせた。わずかに光る汗が天使の輝きに見えた。
 混雑時には、早めに見事に仕上げて後の細かいテクニック指導や販売をスタッフに任します。引き継いだ後もクロージングに声をかけるのも忘れない。そして、予約制ではないため。混雑もあるが客がしまう時間もどうしても生まれると、さっとアプローチで客を掴むのです。基本は自分で選ぶ人も多いので強引に声をかけてもいけないが、アプローチ用に小さなチラシでブースへスタッフが案内する。昔は強引に百貨店でアプローチでもやったがそのアプローチ通称ナンパに香菜さんも加わります。
 アーティストは一日契約だし、集客が多かろうが少なかろうがギャラは変わらないし、集客までは当然本来の仕事ではなく責任はないのです。もちろん常に成功をおさめると、次回の指名も増えるが、たぶん彼女はそんなことよりも、仕事をしたくて楽しんでいる感じがしました。そのやる気は私も含めた周りのスタッフに伝わります。
 ハロウイン仮装用の猫耳をつけて、アイドル級天使がビラ配りをしてくれているのです。私も負けずと声を出してイベントを盛り上げました。館内放送もお願いし、店のバイト君にもチラシを増刷して手配り隊を増やします。
 香菜先生の猫耳姿には、フロア長酒居はじめ男性スタッフも驚き、異様なファンが写メを撮りに群がりだすほどでした。
 12時を過ぎて、少し遅いお昼を、私と香菜さん、ホンファの3人で近くに寿司屋に行った。会社のカードで少し上等のランチをごちそうした。コーポレートカードが神々しく見えたのか、二人とも感激していた。ホンファとも食事したのは初めてで、寡黙で水分もお茶も摂らない。でも美味しいとは言ってくれた。
 香菜さんは元々、大阪で国内の大手化粧品メーカーには就職できず元外資化粧品メーカーに受かり、百貨店ではライバル関係でもあったし、内部での競争は激しく、人生で一番苦労もして成長も出来た時期だという。
「ひさびさにナンパした。関西のお客さんは、結構シビアや」
「水野先生は元々大阪何ですか?」
「先生はやめて、カナとかカナカナ、ルカでいいの。井上さんはバディだから、そうね、マーベラスって呼ぶことにするから、元々徳島なの」
「徳島ってうどんの」とホンファが初めてボケる。
「よく間違われるけど、それは香川県、徳島は何もない。阿波踊りとすだちぐらい」
「すだち?」
「フレバリーシトラス?」
 何となく、親子ほどの年で相性は悪くなかった二人で安心しました。
「マーベラス、Kの一押しのブラックのアイライナーの在庫がちょっと厳しいかもです。融通ってできますか」
「当たってみましょう。これほど単品で出るとは予想以上でした」
「私が打ち合わせに行ってない責任です。ハロウインでも、奇抜な赤とかよりもベースで落ちにくいブラックの極細のアイライナーは全員に勧められますから」
「了解です。明日も入荷は一定量で今日の売上POS反映は来週火曜の入荷でっすから、店間バーターを考えます」
「午後は、店頭よりそっち優先で、最悪他のものを売りますから、状況を教えてください」
「了解、午後からもよろしく、、ルカ」
「ことらこそ、派手に行きましょうマーベラス」
 マーベラスがどういう意味かは分からないものの、午後は商品手配に追われる。
 大阪近隣で在庫の多い店を、酒居さんにパソコンで叩いてもらい依頼をかける。売上にはつあがるが、注文のリベートに繋がらないので通常は嫌がられるが、そこは先ほどからの香菜先生の魅力で、協力的になっている。対象は神戸三宮店と出た。梅田から30分、あとは移動往復だけ、香菜さんに報告すると、事務所が近いのでマネージャーに走らせるという。往復も私が現場を離れるのは拙いと言い、直ぐに直接電話して店間融通の手続きを伝えた。わずか1時間足らずで、100本のアイライナーを揃えられた。amazonよりも早いだろう。
 細面のイケメンマネージャーが、私と香菜さんの奮闘ぶりをさもありなんと確かめて、すぐに帰った。
 会場は夕方近くまでひっきりなしの盛況だが、それはそれで良からぬ輩も現れる。
 昼前にメイクをした中年の女性が、ご主人らしいいかつい男を連れて、目が腫れたとクレームをつけて来た。野々村さんいう方でした。
 大きな皮膚クレーム事件もあり、慣れて入る案件ではあるがそれはそれで丁重に扱わないといけないし、アーティストをあまり時間的ロスさせたくない。
 アイメイクで目がかぶれたのであれば、それ以上の使用は中断し、商品は回収して代金を返還する。スキンケアのような長期連用の肌トラブルではない。使用方法の説明はしてあるので、必要以上の謝罪で足元を見られてもいけない。アーティストも、関わったスタッフも一度大きく頭を下げたが、その後は私が引き継ぎ、医者に行って治療代がかかり、原因の書いた診断書と領収書があれば治療代は払うと説明する。商品自体や、接客、アーテイストのラインの入れ方にもクレームをつけるが、まさに売上本数最大の商品でクレーム率がゼロ近似であり、アーティストの技量の高さも説明し、そこは相手にしない。それ以上慰謝料めいたものはもらえないと思うと、野々村さん夫婦は捨て台詞を残し去っていく。
「ありがとう!マーベラス、問題なかった」
「大丈夫だよ、ルカ」
 このニックネームのやりとりは、スタッフには大うけでした。ムードも売上も最高潮で、初日は競合店の同様イベントに並ぶ実績でした。3カ所のイベントを回ってきた幹部には、盛り上がりは最高なのがここだったと賞賛されました。別にまあ、数字だとか競合は意識はしませんが、とにかく香菜さんと熱く激しく、楽しくできたのは良かったです。

 【聖地での告白と、急襲
 大変な盛況で、各人疲れた中でしたが、労いと明日も出勤の人にもう一日の奮闘をお願いして解散でした。明日は土曜日に出れないパート社員も多く、この勢いだと、当初は任せといて片付けだけと思っていましたがフル出勤を決めざるを得ません。土曜を利用して来る遠方からの役員や幹部社員もいる情報でアテントも必要でした。
 会場の問題点のケアもありましたが、24時間営業の店で逆に早朝からでも仕込み直しができるので、終礼しいったんブースを閉めて解散となり、香菜さんは事務所からのアーティストと落ちあい食事に3人で一緒にいくことになりました。どうせならとそっちの担当の若い営業の山城くんも電話して呼びました。深い意図はありませんが、山城君もイケメンだし、2対2のがいいかなと思いました、後輩で新婚だけど、こういう遊びすきな彼は尼崎の家の戻りかけでも喜んで駈けつけてくれました。
 たぶん170センチくらいある背の高いモデルのような西野さんといアーティストと、180センチはある山城くんがいてバランスはとれました。並ぶと肩ぐらいまでしかない香菜さんのちっこさが目立ちます。
 こじゃれたイタバルのような店で香菜さんと西野さんも近況報告してましたが、いつのまにか山城君が西野さんにアタックしだした感じで、私は香菜さんと昼の続きでいろいろな経験談とか、今日のイベントについてとか、仕事に関してああだこうだと話していました。
 結局、山城君はまあある程度想定した通り、西野さんとどこかに行く感じで、
香菜さんは歌いたくなったと言い「マーベラス、カラオケに行こう」と言われて、いい加減酔いも回ってきて、さんざん「残酷な天使の、」とか「檄、帝」とかアニメソングやAKBやらJPOP、などを歌いまくりました。
「ルカ、あした喉大丈夫か」
「マーベラス、あたし飲みすぎた、酔い覚ましに歩こう」
 もう、私も自宅の京都に帰るのはあきらめて梅田のビジネスホテルを抑えた。その辺を歩くことに、彼女の住まいは地下鉄で行ける天王寺なのでもう少し時間はありました。
 少し歩くと、そこには曽根崎心中で知られる通称「お初天神」正式名称を露天神社(つゆのてんじんしゃ)がありました。
 桜の花びらのようなピンクのハート型の紙が鈴なりになっていました。お初天神は知ってっいましたが、ここまで聖地化されているところとはしらずに酔い覚ましにきて驚きでした。
 何組かのカップルもいます。
「恋人の聖地」と書かれたプレートや、曽根崎心中の話に香菜さんは酔いを醒まして、興味津々で見入っていました。
「マーベラス、私たち、何だか運命のようなところに来てしまいました」
「ルカ、取りあえず、今日の出会いと仕事の成功に感謝してお詣りしましょう」
「明日もすばらしい一日になるのと、二人の恋愛が成就しますように」
「二人って?まさか」
「私とマーベラスに決まってる。私ね、アラサーちょっと、手前のファザコン、年上大好き、一目見た時から、マーベラスに運命感じた。胸がキュンときてこの2日間、いい仕事できるって思ったん」
「ちょっと、からかってないか。僕、結婚して子供いるって言ったよね」
「それは井上さんよ、わかってるわ。でもこの二日間はマーベラスだから。マーベラスは孤独な一匹狼。結婚!私結婚なんて当分考えてない、仕事ばっかりの毎日だもん、事務所の休みも全部仕事かレクチャー入れちゃって、家事も掃除も苦手だし、結婚しても即離婚よ。でも時々好きになる人はいる。マーベラス、私にだって人の心は読めるし、自分の相応もわかる。まんざらじゃない話だと思うけど。改めてお願いする。あと腐れなくこの二日間だけ恋人になってください」
 しっかりと、腕を抱かれて、緊張が走った。
 私は彼女を送っていくのか、どうしうようか。地下鉄かタクシーの手配か迷ってスマホを確認しながらも、半ば混乱して、メールや着信を確認した。
 腕をからませ、組み合い身体は密着に近づいていく、少し下を向かないと身長差があります。
 柔らかい天使の感触です。
(この柔らかさ、暖かさは何だ、このお初天神に本当に天使が舞い降りてきている?)
 こんな可愛い女性に深夜にこの状況で告白されてあまりの驚きに思考停止になりそうだが、騙されているのかという思いや、心のどこかで自分はモラル面で山城君とは違うという意識もめぐり、それでも彼女の思いを無碍に断ることもまた難しいとも考えつつ、時間が経過しました。
(お初、徳兵衛じゃない。マーベラス、ルカ、どうする、近松門左衛門。もう心中かな)
 そして、そんな二人を襲う邪悪な輩の影が、取り巻いてきた。好事魔多し!いかにも半分グレた、社会に反しているような連中数人だった。
                           
                       つづく
 

 

“梅田の聖地でピンチに 天使が舞い降りる2  #コイバナ #ラノベ #人生応援 #ハロウイン” への2件の返信

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください