残念な就職氷河世代の男性

 ある役所の繁忙期で3カ月ほど短期職員をしていた時、年輩者に交じってKという40代の男性がいて、一緒のチームで仕事をした。
 大柄だが、どこか気の弱そうな印象で、不安気な表情で、少しメンタルの弱い、自閉症気味もしくは発達障害的な雰囲気がありました。
 40代で定職につけず、結婚もしていないで、年金暮らしの親元から年に半分ぐらいの期間、役所などの事務系の短期の非正規社員をしているそうです。教職免許やら、資格もあるけれども、学校の先生や民間企業の営業などの仕事に長く勤めるのは、トラウマなのか、無理だとお諦めている様な話をしていました。
 他の職員や臨時職仲間が、年金プラスアルファや、扶養内の小遣い稼ぎ程度で優雅に働いて休憩中はグルメや旅行の話をしている中、彼は昼も自分で作ってきたおにぎり2個か、カップめん1個で質素に済ませて、散歩をするぐらいでした。
 私などが、外食をする話を聞いても、牛丼屋に550円出したり、カフェでコーヒーとスイーツを贅沢と感じるのかお金がないのかほとんど経験すらないような感じでした。
 そんな彼ですが、頭は悪くないのですが、どこか年輩者には、疎んじられイジメられ卑屈になっているのが良く分かりました。一人で黙々とやれる仕事や、力のいる整理などの仕事などは暑い中でもよくやっていましたが、誰かとやる仕事になると、「無駄口をしたり、何となく会話のキャッチボール、リズムが合わない、失礼な聞き方をする」など小さいけどもイライラするのです。嫌われているのが分かりました。

 チームのリーダーの主任はうまく、Kを一人でうまくやれる仕事を回したりして、イジメもなくよくやっていました。私も多少イラつきながらもKとお互いフォローし合いながら慣れない仕事もこなせました。Kは何となくなついて来て、話を聞いてもらいたい感じですが、相変わらず自己中心で、アドバイスや経験を話しても人の話をイラつくタイミングで切り、自分の話をします。接客や営業は無理だし、もちろん教師も無理だろうというのは分かりました。就職氷河期の不運はあっても、問題は本人にあることは明白でした。これでは結婚は別にして、良い友達ができ、仲間に理解されて仕事を長く続けるのは難しいだろうとは思いましたが、なかなかどうすることも出来ないなあという感じで、残念に終わりました。
 一度、仕事で厳しく諫めた時があります。大きな体を屈めて恐縮していましたが、それでも昼休みや帰りはむしろ私を慕うように、つきまといました。
 LGBTではなさそうですが、私もそれ以上深くは関わりたくなくて、期間満了の日も連絡先も交換せずでした。他の職員とは交換して、未だにやりとりがあり、Kには悪い気もしますが、とても残念ですがしかたない。
 Kは自覚をしているけれども、そこから前に進めない。バブル期に就職して、仕事ができないでのうのうとしている人もいますが、羨んで言い訳しても何も自分に帰ってはこないのです。自分で何かきっかけをつかんで変わっていかないといけないと思いました。
 人間関係が上手く結べない、Kが一人でやる事務仕事はいかにもAIがそのうち簡単にすませそうなものです。5年、10年先に今のようなままだとと思うと、確実に仕事は無くなります。彼の家の財政まで詳しくは知りませんが、寂しいものがありそうでちょっと可哀そうに思い返します。良い指導者、上司に恵まれ、彼が変われることを願うのみです。

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