今日は阪神淡路大震災から29年経った1月17日です。能登で今年も大地震があり、感情的に走り直ぐに被災地支援にかけつけることがパフォーマンスで迷惑と是非が論じられます。いずれにせよ被災の支援、復興支援は地道に継続してお金のかかることです。
熊本地震で被災して運休となっていた南阿蘇鉄道(以下南鉄)・立野―中松間が昨年2023年7月15日に復旧し、7年3カ月ぶりに全線再開を果たしました。
南鉄は南阿蘇村、高森町など沿線自治体が出資する第三セクターの鉄道会社。熊本から大分方面に延びるJR豊肥本線の立野駅を起点として、熊本県の阿蘇カルデラの南側を走って高森駅に至る17.7kmの路線を運営しています。もともとは国鉄高森線でしたが、JR化前のいわゆる第一次の赤字ローカル線廃止方針となったことを受けて同社が継承しました。草村社長は高森町長が務めています。そして吉良清一副社長は南阿蘇村の村長など資本面、経営面で沿線自治体と一体化しています。
2016年4月14日、熊本地震が南鉄を直撃しました。一部区間が比較的軽微で3カ月後に運転再開したものの、立野―中松間は第一白川橋梁など重要インフラが被災。「廃線を考えるほど甚大な被害を受けた」と言われ、なにせ被災直前の同社の売上高は1億円程度でした。これに対して、試算された復旧費用の総額は65~70億円ともされ、とても負担できる金額ではなく廃止という暗雲が漂いました。
地域の公共交通機関として通学や通院の乗客に不可欠な存在であり、ローカル移住促進にも重要なツールである。何より、地域にとって観光は産業の柱で、雄大な阿蘇を眺めながらゆっくりと走るトロッコ列車はその象徴ともいえ、鉄道の廃止がもたらす観光への悪影響は避けたい。「鉄道での復旧しかない」という経営決断により、ありとあらゆる関係者への努力を積み重ねたそうです。
そして、その前の東日本大震災から3年で復旧にこぎつけた三陸鉄道のスキームも参照していました。その三陸鉄道はJR山田線区間を移管されて全線開通半年後の2019年10月台風で再び被害を受けて甚大な被害で7割が不通区間になり翌年3月にようやく全線復活。それこそ励まし合うように南鉄が7年3か月ぶりに復旧した年、コロナ禍がほぼ終息して三陸鉄道にも新駅も開業、朝ドラテーマの観光列車も走り始めたばかりでした。
個人的な想像ですが、田舎の町長、村長とて決して暇ではなくさまざまな仕事、議会もあるはずですし、決して給料を上げて働いたわけでもないでしょう。身を切る改革とアピールしたわけでもないでしょう。頭が下がる思いです。
この南阿蘇鉄道が今、今年1月1日に壊滅的被害を受けた石川県の三セク「のと鉄道」に県下他2社(肥薩おれんじ鉄道、くまがわ鉄道)とともに募金を募り、エールを送っています。
1月17日は関西では阪神淡路大震災が思い起こされますが、断続的に能登は余震も続き不明者の捜索、避難している方、断水などライフラインが未だ復旧していない状況が続いています。
私も熊本にはふるさと納税もして、ネットで南鉄の切符やグッズを買ったりしていましたが、なかなか全国各地大変です。関西の方、全国の方も、特に富裕層の方、優雅な旅のファンの方、興味のある方は落ち着いたら能登の支援、ファンドなどもお願いします。