能登地震で発覚のマイナンバーカード不信、相変わらず下手な説明

 マイナンバーカードというのは、カードの一元化という面では持ち運びが一枚になるという点においてのみ【便利】かもしれません。それも個人の感覚であって、失くした時や情報漏洩したときの【不安】はつきまといます。
 セキュリティの安心があれば、認証などは【便利】ではなく面倒くささはついてくるもので、従来見せれば良いだけだった保険証に比べ、顔認証や番号など【不便】は代償としてつきものです。
 それを誤魔化して【便利】を強調すると、そこが実際に反論で崩されると嘘臭くなるので【不信】を招くのです。


 能登半島の地震でマイナンバーカードは役に立たず、カードリーダーをそもそも役所が備えていという欠陥をさらしたあげく、非常時の医療や公的手続き、身分確認などはマイナンバーカードなしでもできることも判明しました。
 民間企業であるJR東日本のSuicaのリーダーを借りたりしていましたが、元国鉄のJRはもとより、クレジットカード会社などの民間企業に比べ、ハッキリ言ってやっている組織も人間もデジタルで何周も遅れているのです。もう十数年前から、小売業などの流通やメーカー、携帯電話会社などは自社顧客の囲い込みのため、必死にアプリの登録などを進めノウハウも課題も試行錯誤しながら進めていました。土壌にない役所や国がヒョイと横から簡単にできるものではないのです。

 マイナンバーカードのメリットの大臣の説明はとても苦しい感じです。マイナンバーカードが便利と推進する姿勢は、子供だましで矛盾だらけです。説明が上から目線で雑な上、本人も良く知らないし、騙しきろうという態度がミエミエです。裏にいろんな事情があるとも勘繰られます。
 個人情報が複合的に詰まったカードなので、セキュリティは堅牢にしておかないといけません。それは便利とはどうしても相反するものです。そういう面も含め、すべてのスペックと現在の立ち位置、進捗を正直に話せばいいのです。セキュリティにしろ完璧なものなどなく、どんな会社も失敗して頭下げて、経験値積んできたのです。慣れない役人がやるのですから、失敗があるのは当たり前のことです。
 薬の情報、オンライン情報で災害時対応できるというのは、今の保険証と基本的にそう変わらないですし場合によって【不便】です。
 官僚や大臣はあまりに実態を知らないです。
 病院のレセプトがどういう風に入力されるとか、タイムラグはどのくらいあるのかとか、保険証とマイナンバーの連携は誰がどのタイミングで処理しているのかなど、当事者でないとなかなか分かりません。
 投薬や診察の履歴はリアルタイムで入らないです。そんなことを「病院を変えても投薬履歴が分かる」と言い切り利便性とするは違います。紙のヤツにしろ、デジタルにしろ自分主体で管理するお薬手帳をしっかり整えていれば良いことです。
 「そんな細かいことできない、薬覚えていない」という老人がマイナンバーカード持っていたらこと足りるケースは少なく、直近の投薬や治療が不明だとむしろ危険です。


 新卒の公務員でさえ、保険証としてマイナンバーに紐就くのは半年かかります。これには民間と違う、公務員共済独自の問題がありますが、議員でそれを知る人も少ないでしょう。
 結局能登半島地震ではその利便性を自己否定してしまいました。避難所でマイナンバーカードが無い人を不当に扱うなどできるはずありません。

 たしかにコンビニで住民票取れるのは、コンビニが近くにあって役所が遠いとか平日に生きづらい人にはかなり便利です。しかし、それも過渡期の話で、将来的にはマイナンバーカードがあれば住民票を印刷しての手続きそのものがそもそもいらなくなっていくのではと思います。
 その便利な未来へのステップだから、今はちょっと不便な面もあるんだけど、やっていこうという説明が必要なのです。
 「これがあれば、すごく便利」とか、「セキュリティ完璧で安心」とかいうのは、要らないウソ修飾で、かえって不信を呼ぶのです。

 こういうIDカード自体は必要なものですし、保険証や運転免許証もいちいち別に都度持ち歩くよりは便利なものです。身分証明だけでなく、住民票や所得証明に使えたら、役所の手数料収入は別に考えるとして、使い道としては良い機能です。
 進め方が雑で、変だから、嫌がられるのです。

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