雇用保険にみる日本の課題

 雇用保険、いわゆる失業保険というのはどうも役所的なところがあります。職業安定署からハローワークに随分前に名前を変えたのですが、堅物なところはそのままです。それでいて、結局は「要領よくもらえ」とか、「ホンネとタテマエ」「ウラ技」的な話がSNSでもささやかれます。
 労働局は、労働条件、労災などの保険とともに、クビになった時の「失業保険」と言われる雇用保険の分野に分かれます、
 その雇用保険ですが、確かに失業して給料がなくなり仕事を探している人にはありがたいのですが、どうも支給する条件ややり方がしっかり来ない感じがします。
 原則は掛け捨ての保険で、給付を貰えないケースも多く、払い損にで終わる人も多い、国の保険です。年金や民間の掛け捨て保険でさえ、還付がある場合もあります。雇用保険はずっと同じ会社に勤めて、一度も失業をしないで定年まで勤め、あとは働かずに年金と貯金で暮らすよと言った場合、今までの掛金は全く帰ってきません。
 離職しても皆さんが必ず受給できるというものではありません。すぐにでも就職ができる状況にあり、現在仕事を探しているということが受給の前提条件ですので、たとえ何十年掛けてあっても、自営で仕事を始めたり、次の就職が決まっていれば受給はできません。

 また、このあたりは役所も高飛車で、認定日という失業の届け出をする日に、正当な理由なく来られない場合も受給はできません。実際の受給にはこの他さまざまな条件があります。
 不正受給を厳しく戒めていますが、失業して実際、生活に苦しんでいる人に対しては、疑うようでこれが何か失礼な態度ですし、仕事を失い苦しんでる人のメンタルを傷める時もあるのではと思います。別に恵んでもらっている訳ではなく、自分たちが払った保険料が元です。民間の保険なら考えられない上から目線の不遜とも言える態度、良く表現しても慇懃無礼という程度です。
 それでいて、求職の情報に関しては、民間の大手転職会社のサイトに比べて、まともな紹介は少ない貧弱な情報量で、ハローワークで職は探さず、ただ受給の手続きにダラダラと数回来るパターンの人が多いのです。基本手当は、原則として、4週間に1回の認定日に、それまでの求職活動で就職できなかったことを認定してもらう(失業の認定)ことでその4週間分を受給することになり、その繰り返しで、給付日数分まで受給することができます。職業相談や、職業訓練などもいかにも役所がやっている予算内の陳腐なものです。
 保険なんだから90日とか150日とか期間をチマチマ決めず、この1年はキャリアアップのため、この訓練をしますとか勉強をしますとしても3か月とかしかもらえないのでは、計算もたちません。失業手当を貰いながら働いて未申告だと罰せられます。
 求職しながら、難易度の高い資格を取るなど至難の技で、しかもその後はアルバイトでも見杖けないといけないのでますます勉強は難しくなります。求職や資格取得の研修に、難しい「ジョブカード」というプランの提出を求めるのですが、これがもう何ともタテマエだけの厄介な書類です、個人のプロフィールや能力や就きたい仕事、必要なスキルを細かく書くのですが、何だかあまりにもタテマエで書いて、現実と離れていく書類です。退職後すぐに創業する場合は受給することができませんが、「求職活動中に創業の準備・検討をする場合」は対象になります。
一方、以下の状況では失業保険を受給できません。
・求職活動をせずに創業の準備・検討をしている
・創業の準備・検討期間が終了したとみなされる場合
ここらも難しいところで、求職をしている態をして、結果見つからず、事業を始めましたとなれば全額貰えるわけです。
 最初から仕事に就く気はありませんと言わず、求職をいくつかして不採用となって、そのまま年金暮らしにしても全額支給されます。成り行きで、虚偽ではないのでこれは追及しきれません。
 ファイナンシャルプランナー的には、貰えるものは少し我慢して待っても貰ってというだけの話です。
 しかし、就職を探すのは今や民間の転職の専門会社の方が、アプローチからサービス全てに優れています。探すのはハロワしか来ないところもありますので、両方の登録が必要ですが、主体は転職サイトのがいいかもしれません。

 個人的にはハローワークの求職も何度かお世話になりましたし、窓口の方、労働局の方も良くして知っています。しかし、先に書いた通りこの組織とくに求職を提唱する機能は民間と競合します。郵便や水道でさえ民営なのに、国がリストラして民間委託しないのがおかしいぐらいです。将来的には間違いなく切り離してしかるべきです。
 そして給付の在り方も、働き方の変化や、リスキリングの意思に合わせ、柔軟にかつ分厚く変えるべきです。社会に出るまでの教育体系とも連動して変えていくべきです。現状毎月サラリーマンが天引きされている原資はもっと有効活用できるはずです。
 多くの若者が4年制の大学まで、あまり社会人としてのスキルを身に着けずに就職し、失業してもスキルを身に着ける時間もお金もないこういう制度はおかしいのです。

 もう少し、このやり方変わらないと、ダメだこりゃという国です。

 

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