行政のムダ 難解な言葉

 【難しいお役所言葉】

 私も長い文章を書き誤字や悪文も多く後で推敲します。英数字の半角全角、漢字とひらがなの統一も難しいものです。
いまどき読んでもらえない漢字は使うべきではないとSNSなどを使う人向けの最近の新しい文章作法には指導があります。ところが公的機関の市民に対する接遇ガイドラインハンドブックの中に『分かり易く丁寧な説明を』とありますが、これなどそもそも『易く』『丁寧』が読めない人がおり、ひらがなにすべきと指導されそうなのですが、国の文書では当たり前です。

 民間企業で、パソコンの導入によるIT化の推進や、リストラやコストカットを味わい、最後はSDGsやコンプライアンスの波に翻弄されてきた者にとって、役所や公務というものは何とも奇異なぐらい遅れておりました。

 公務員は安寧安泰というと、決してそうでもないのでしょう。ことに無駄とか矛盾があっても前例を踏襲して上司や組織に盲従する忍耐力が養われるでしょう。

 日本の行政手続きの多くが、紙媒体に印鑑を押しての申請主義であり、権利を得る条件を満たしても多くの場合、時効で消えることはあっても自動的に得られることはありません。庁内、役所の中では未だに市民には難解な言葉を羅列した紙の決済が、しかもスタンプラリーか御朱印長巡りのように上位に回り稟議(りんぎ)され、代理決済が許されないので時間が経過します。管理職の残業は際限なしになります。モリカケや桜を見る会などの政治家スキャンダルで、よく文書を廃棄したとか管理していないことが問題にされますが、逆に言えば多くの役所には紙の書類が大きなスペースを取り、日の目を見ることなく保存管理期限を待ち廃棄されるまで時間と場所を食い、税金を浪費しています。
 その管理の監査などは、もうそれに対する準備などを含め、壮大な無駄に感じます。
 しかも誰もそれを無駄とは言えません。法律で文書の保存期間が決まっているからです。PDFデータ化し、パソコンの中でデジタル管理すればいいものを原本に拘ります。市民のスペース、対面のスペースや身障者の動線配慮よりも倉庫の確保が必要になります。

 マイナンバーカード導入で少しずつ動き出してはいますが、民間企業に比べおよそ20年から30年遅れになっていいる感じで、日本のバブル以後の失われた20年にちょうど合います。日本の経済力はじめGDPなどに示される国力や豊かさが国際的に低下したのは、ITなどの社会構造の変化に日本の行政組織や政治、法律がついていっていないのです。

 【役人の人数は必要だが、改革が必要】

 これは官僚や政治家が悪いだけでもなく、市民もまた行政に期待するものが旧いからかもしれません。
 個人的には公的サービスをする公務員、それを監視し、法律や条例を作る議員は必要だと思います。システム化が進んでも今後介護や生活保護の現場、インフラ整備などは必要であり、ハンコをつくだけの管理職は要らないにせよ人員は要り、監視やシステム化やスリム化、統合化を進める議員も必要です。
 人数よりも変化への対応です。GAFAはもちろん日本の一流企業でさえ、毎年のように組織や業態を大きく変えています。日本の官僚機構は30年に一度とか、制度を5年後とに見直すとかのそれも小手先のマイナーチェンジや改悪で乗り切り、何周も遅れる原因になっています。今よりも良くする効率のいいものを毎年毎年ゼロベースで考えることが、日本の周回遅れを取り戻す道です。

 お役所的とは言いながら、市民の多くはお上に逆らわない体質を引き継いでおり、革命的な反体制意見などが浮かび上がらないように上手く飼いならされているといっていいでしょう。ときおり不満が湧き出ても、トカゲのしっぽのように責任を取らされる人が出てガス抜きされ、またもお上の言うことには唯々諾々の状態が続きます。

 今いろいろ囁かれる政治や社会問題の根っこはほとんどこの辺りにあります。60や70の爺さんがデジタル担当や少子化担当、あるいは科学技術の先端を管理する経済産業省を司る組織の長とか言うのが到底無理なのです。周回遅れ、2~3周遅れていることに気付かないのです。

 戦後の経済成長期、昭和の40年から50年代に作られた法律に基づく制度が変わらずに、続いていることが今の残念な結果に繋がります。しかも他の部門の文化に関する言葉は時代とともにどんどん変化し、外国語を取り入れたりしている中、法律用語や条文は旧態依然で難読であり難解です。司法試験を受かった弁護士や検事らがやり合うだけならまだしも、法律は多くの国民のためにあるものです。
 まして、それぞれの産業などの分野には、薬機法(旧薬事法)とか景表法とか、道交法と言う感じで刑事や民事の弁護士でも専門ではない場合があります。他の書士など業界だけに絡む専門家しか深くは知り得ないものもあります。これ等の中には平準化した言葉にし、タブレットで入力可能なものにすれば、〇〇士など必要ないものも多々あります。
 いわゆる扶養パート社員の130万円の壁などもそうですし、少子高齢や安全保障、社会保障、国際的に見れば戸籍法も旧いままです。何となく手をつけないまま、議論さえされずに旧態依然ということが多すぎるのです。しっかり議論をすれば保守派が寄り切って全部は改革されなくても、制度が旧いままのデメリットやリスクも露わになり対策がとられて、調整ぐらいはできたはずです。

 高度成長が止まり、ある程度後進国に追い上げを食い、衰退するのは仕方ないにしろ、衰え方、負け方が悪いのです。
 一流大学を出て、頭のいいはずの人が官僚や〇〇士になっても、俯瞰して大きな流れを見ることができず、目の前のことに流されてしまいます。既得権益と自分の立場を守るだけの生涯という感じの、つまらない官僚、役人、〇〇士になって日本が腐っていくことを止められなかった悲しい構造が見えます。

 

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