結局何がやりたいのか岸田首相

 もう1年半前か2021年9月に、事実上日本の総理大臣を決める自民党総裁選が行われ、現総理岸田文雄が、河野太郎、野田聖子、高市早苗を破り総裁に選ばれました。
 結果を見れば当然と思えるのですが、与党の党内の選挙というのも国会議員や党員、世論もからみ複雑な要素の中から時の勢いのようなものもあって決まることが多いようです。

 いざ総理大臣になってしまうと発言や答弁には制約が多く、それまでの歯切れの良さや勢いはなりをひそめます。
 そういう意味では党首選挙の方が国会よりも、ある程度は制約はあるものの、本音と人となりがよく表れて面白いです。
 確かに1年以上前だとまだコロナ対策が重要なポイントで、各候補これを公約に上げていて、法律や制度の強化の度合いが各候補に差のある程度でした。実際に岸田さんが総理になり水際対策を強化してことは、当初世論は支持をしていましたが、国際的にはウイズコロナへの舵を切るタイミングを遅らすことになります。

 岸田さんが、特徴的に上げたのが『令和の所得倍増』でした、ウクライナ情勢などもありこれほどまでに物価が上がり、在任1年以上過ぎて、やっと財界や労組に物価に見合う賃上げを要請しているのは後手すぎます。首相がやいのやいので昨年春闘でベアを無理にでも上げれていれば、値上げはあったけど給料が上がった分少しは助かったねともう少し評価もされたでしょう。

 防衛費の43兆円とかGDP比2%への増額も唐突な感じで、総裁選で敵基地攻撃能力保持まで言及したのはもちろん保守派の高市早苗さんだけです。高市さんが敬遠されたのは、一気にこういった防衛費増強、軍拡への道に進むのではないかとの怖れでした。ところが岸田さんはアメリカやEUに言われままに増税してでもお金を出して防衛費に充てると唐突に言い出します。
 その印象を薄めるためか、最近になって『異次元の少子化対策』とか言い出しましたが、野田聖子さんの公約が一丁目一番地を子育て対策にというのでした。
 当初優位とも言われ人気のあった河野太郎は、総裁選ではあまり元来の原発反対などの持論は抑え、年金や社会保険料の一体改革を訴えていました。これも大きな問題で、結局年金や健康保険、介護保険の不安不満は尽きません。早く手を付ければ、少子高齢化対策や歳出削減にも結びつけられました。2021年の自民党総裁選は喫緊の日本の課題が全て集約されていたわけで、そこはゆっくりとしてはいられなかったのです。岸田さんはどこかに総理大臣に慣れたことで、とりあえず満足してしまったみたいなところがあり、次の手が遅いというか、何がしたいのか自分でもわからないのでしょう。

 とはいえ、他の候補が良かったのかとは言い切れませんし、総理大臣はそれまで偉そうなコメントを言っていた人でも簡単にはいけないものです。
 いざその立場だと、内外のあらゆる方面からの意見や悪質な攻撃に対応しなければなりません。大変な仕事であることには間違いはなく、岸田さんはこのところ閣僚の不用意な発言などの不祥事に任命責任などで責めまくられていますが、これには絶対ウラがありそうです。このような厳しい情勢の中、岸田さんが名を遺すような首相になるには、やはり経済、所得倍増ならそれはそれで、あらゆる知恵を絞り全力で実現させようという気持ちでしょう。力をもって驀進しているときにはスキャンダルは怖くないのです。優先順位をつけた最重要課題に真摯に取り組めば、他の問題とのバランスや予算や財源の棲み分けが明確になっていくのです。コロナの対策の予算と、経済対策、防衛費や、少子化対策は一見比べられませんが、力を入れだせば何が真実で何が必要なのかはもっと見えてくるはずです。今のままでは、重鎮だったり、アメリカだったり、業界だったり、世論などを気にしたり、言われるままなのです。何もかもかかる費用が増え、税金や国債発行が増え、給付や公的サービスは削減、次世代への借金は減らないばかりです。

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