物価はどんどん上がり、税金や社会保険料は上がる。所得は上がらず、その場しのぎの給付はたまにあっても、基本的な賃金、年金などは上がらない。少子高齢で人口も減り、国の財政が厳しいからだと、よく喧伝されています。
おそらく、今行政の仕事をしているほとんどの人が、公務員、公僕としての役割を分かり、頭もよく関連の法律を覚え、厳しい予算管理の中、ルールののっとり自らの業務を改善しながら遂行しているでしょう。
税や社会保険料が収入の4割から5割にもなろうとして、一部の識者から江戸時代だと一揆が起こるほどの悪政だとの批判もあります。
日本の財政はそこまで厳しいのかというと、賛否分かれるところのようです。決して右肩上がりではなく、企業もずば抜けて国際競争力のあるところもなく、経済は停滞し、何より人口は減っていて働かずに社会保険を貰う側の高齢者層が増えているわけですから、いい状態とは言えません。とはいえ、外国に借金しているわけだはなく、むしろ貸しているお金持ちの国であり、信用創造という面ではまだまだ国債も発行できるので危機的な財政ではないと言われる向きもあります。
いずれにせよ、比率の増える高齢者を支えるため、国防もこれからさらに必要だとして、税や社会保険料は増やすという提案がでます。
しかし、ここで強く言いたい今日の論旨の中心は、国がやっていることに切り詰められないムダはないのか、組織や、仕組みを変えて劇的に効率が上がることはないのかです。
税や社会保険料をきちんと納めないで逃れていく人を見逃さない【徴収機能】と、集まった税などのお金を適性に無駄なく使う【適性な分配】これが非常に重要な点です。
私が公務に関わって、民間企業と比べて感じた点、あるいはいろんな識者、官僚経験者から聞いた話でのポイントもここです。
とにかく、行政の問題は、無駄が多い、経営感覚の無さです。その経営を立て直そうとして収入を上げようと、税などの国民負担を増やし、国民へのサービスを低下させて切り抜けようと言う官僚の考えは、根本がおかしいのです。経営というか、国家の最大のステイクホルダーである国民をないがしろにして、財政を立て直せるわけがないのです。
デジタル化一つとってもそうです。世界に比べて日本の役所のデジタル化は遅れています。どうしようもないほど、時代について行っていません。多くの企業がCX,DXと大きな変貌をとげて、時代に会わない会社や組織は淘汰され、人員は別のところに行かされています。新天地で流動したことで活躍した人、広がった分野もあります。
行政の仕事は、細かい法律や規定に基づき、個人情報っを守った申請主義の届け出などデジタル化を阻む言い訳はよくされます。私に言わせれば、そんなもの民間の大企業でも一緒です。倒産も失業もないから、要は経営感覚も危機感もなく、国民の税金や国債で最後は何とかなるから、誰も必死にならず、前年前例踏襲の予算を確保して使い切ることに汲々としていたからです。
最も税収の分配、あるいは効率的な徴収を阻ばむのは省庁の縦割りです。
国民、市民目線では役所はみな同じに見えます。しかし国の出先機関には、法務局や旧社会保険庁の年金事務所など、縦割りに別の省が上位にいて、予算も別ですので当然横の連携はスムーズにいきません。
「縦割り」と聞くと融通の利かない諸悪の根源のようですが、間違った方向に行きやすいのは、よく不祥事などで指摘される「〇〇(道路、復興など)という名目で集めた税を別の支出に使った」という流用的な問題です。こういう指摘が『正義』ということでまかり通りやすくなると、予算の弾力性、融通性は失われます。お金に色はついていないのですから、基本的にトップが国民の信のもとに、臨機応変に別の項目に使っていいと思います。
年金保険料や健康保険の徴収の活動も、所得情報も含め、税徴収に一本化することで、無駄も取りはぐれも激減します。これはおおもとが財務省国税庁にもっていかれるのを厚労省などが嫌がってるだけの問題です。国交省などでもそうですが、結局それぞれの官僚のために、国民は負担が増える縦割りの弊害が増えているのです。
民間企業は社長や、その直轄の意思決定で事業は再編されます。それだって並の苦労じゃないです。その繰り返しを国も行政もやれないはずはないのです。
官僚は一人のカリスマではなく、代々組織として引き継がれた巨大なアメーバです。そこを政治が打破して、財政を立て直すのです。民主党政権は大失敗しましたけど、政治のトップがここを抑えないと日本は良くならないでしょう。