梅田の奇跡 天使が舞い降りる1 #コイバナ #ラノベ #人生応援 #ハロウイン

 本当は、この話をもっと早く小説風にしたかったのです。コイバナシリーズの原点?的な体験であり、それ以上に人生応援のブログスタートになったぐらいのエピソードなのです。しかしそれゆえ実在の方との調整もあり時間がかかりました。コイバナというか、いろんな方へ人生応援のハートウォーミングなお話です。今日は第一回
 

天使25法則:人生応援ブログの原点 – 天使の星座 (seizafpkotodama.com)

ハロウィンの淡き思い出 – 天使の星座 (seizafpkotodama.com)

 化粧品メーカー勤務ということで、若い頃からイベントで、メイクやヘアのアーティストと仕事をすることが多かったです。土日が中心で仕込みや片付けで深夜になり、それは若い営業時代の苦労話と思っていました。まさか50を過ぎて若手と張り合うそんな仕事が回ってくるとはと最初は乗り気ではなくイヤ感があふれてました。
 それが40年を勤め上げたメーカーでの仕事人生で、最高の2日間になろうとは、引き受けた時は思いませんでした。
フランス帰りのメイクアーティスト水島香菜
 メイクアーティストというのも男女、年齢、ギャラいろいろあって、お金を払うのはこっちだが、気難しい人もおれば、能力がマッチしない場合もある。通常はイベントが続く場合などは、必ず事前の綿密な打ち合わせをします。今回はハロウインで自社のプチプラメイクをディスカウント系バラエティストアで、ミニイベントでほぼ流動客に紹介して売るというものでした。
 事前に先方の神戸の事務所まで、他の企業や店舗を担当する営業写真と打ち合わせに出向きました。背の高い細いモデルのような女性と、ややグラマラスな茶髪の女性、アーティスト2人と優男のマネージャーが出てきました。
 ふたりとも170センチぐらいありスレンダーで顔に小さい、菜々緒さんとか、冨永愛さんみたいなイメージですね。韓国のダンスしたりするアイドルグループのような感じもします。
 詳細の資料を説明すると、私の担当店舗のアーティストだけパリから帰るのが遅れていて、前日ギリギリになるが力量はトップクラスなので当日の打ち合わせで大丈夫だと言われた。
「香菜はすごくパッションがあって、テクニックも表現力も超一流だから、井上さんが一番ラッキーですよ」
 男性マネジャーに待ち合わせ時間と場所の詳細は伝えましたが、どうも不安でした。
 実は私の担当は大手ではあるけど、カウンターパートナー酒居フロア長とのやり取りも結構シビアな上、化粧品を売る「格」としては新参のバラエティストアです。他の担当がドラッグストアやGMSであり、どうも舐められた感じはしました。実際、他の2人の社員が打ち合わせが進んだ後、伝言とぶっつけ本番という感じでその朝のアテントを迎えます。ただ、それでもこれから伸びる流通であり、インバウンドも多く、若者の圧倒的支持のある店舗への先見と、長年の営業経験を活かして負けたくないという気持ちはむしろ募りました。
 前日夜に、会場や流れ、当日の顧客誘導、トラブル対応などをフロア長と、ウチのスタッフリーダー、中国人通訳兼販売アシスタントと綿密に打ちあわせました。酒居フロア長は、集客と販売の拡大とトラブルがないことを強く要求、中国人スタッフのホンファは40がらみに見える年配の方ですが。化粧がうまく昔はかなりイケイケの美人だった感じのある気の強そうな人です。
 大阪を代表する繁華街ですから、早朝でもにぎわっています。
 24時間営業の店舗なので、早朝から化粧品やヘアケアなども買っていく若い人もいます。待ち合わせ場所は店舗入り口横の大きな水槽の前です。週末の金曜日でも、平日朝に男女や連れと待ち合わせて登校する学生も多くいましたが、時間になってもアーティストらしい女性は現れません。 
 やはり、なかなか待ち合わせのアーティストは現われない。次々と、出社や登校の待ち合わせの人は落ち合って足早に行きます。後は女子中学生か女子高生かわからない、寝ぐせの髪ですっぴんのタヌキ顔のちっちゃな女の子が、熱帯魚を所在なさげに見たり登校相手が来ないのか、きょろきょろしているだけ。
 打ち合わせ時間が短くなるので、こちらもイライラしてきます。
 事務所にメールを入れると、もう家は出てそろそろついているはずでの返信のみ。
 タヌキ顔の女の子は可愛らしいピンクのコートを着ていていましたが、よく見るとその下はセーラー服の制服に見えたのですがそういう私服のようでした。
 まさかとは思ったのですが、よく考えるとそこには彼女しかもういないのです。念のため声をかけようと近づくと、向こうもようやく恐縮したような感じの笑顔で話しかけてきました。
「〇〇事務所の水島香菜です。すみません今日メイクの仕事をする人間です。あなたが井上さん、会って話聞いてて言われてましたけど。ええっと、どういう人ですか、ここの責任者?あっ?メーカーの人ですかね。私あんまりわかってないんでごめんなさい。ちょっと朝がギリギリでメイクもしてなくてごめんなさい。衣装も持ってますし、メイクもしますからね」
 先日の事務所のアーティストたちのルックスや、パリから戻ったばかりというイメージとは大違いで認識が遅れました。私は自己紹介して、こちらの気づきの遅れも詫びました。
「今日のイベントの責任者です。よろしくお願いします。大丈夫です。これから説明します。従業員入り口まで行きましょう」
 背が低く、童顔で化粧していないので本当に高校生のような感じなので分かりませんでしたが、よく見るとタヌキ顔ですがふっくらとした丸顔で透き通るようなきれいな肌の女の子です。髪は寝ぐせがありますが、真っ黒で艶やかで輝くように朝日に照らされて丸い銀色の輪ができ天使のように見えました。
 内容的にはこれから、打ち合わせする内容が多く、しかも事前の認識もなさそうな申し送りの悪さにイラっと来そうな局面ですが、彼女は真摯によく内容を聞きました。そして流動性と集客が未知数なところが多い点を指摘、理解し臨機応変に対応し、スタッフの技量も追って掌握すると状況判断と理解の鋭さを見せました。
「すみません。少し寝坊しまして、すっぴんのままでした。すぐメイクすませます」
 試着室で着替えてきて、ケープをかぶり急造のメイクブースでアッという間に化粧とヘアメイクを自身で始めました。見る間に学級委員長にような清楚な女の子が、目元をばっちりメイクして坂道グループのセンターを取りそうなアイドル級の輝いた姿になりました。プリント柄のリボンのような襟で、チエックの入ったパープルと白でコーディされたブラウスとやや短めのスカートです。
 私も化粧品メーカーで、メイクアップ技術を駆使した多くの変身場面を見てきました。醜いアヒルの子が見事に美しい白鳥に変化する様や、逆にかなりの美人のすっぴんが実はとんでもない実像も見慣れています。それでも、その短い時間で、元々の素材も可愛い彼女があっという間に、超絶なアイドル級に変わる姿とそのテクニックには、正直度肝を抜かれました。
 笑顔で語りかけてきましたその瞬間、50年生きて来た私の人生で初めて、天使が舞い降りて来たと思えました。
「井上さん、お会いできた運命に感謝しています。素敵な時間にしましょう!」
 少し見上げるように見つめる彼女の瞳に胸がときめきました。それが、彼女との熱い二日間の始まりでした。
 一癖も二癖もある、フロア長、担当販売員や、インバウンド通訳、自社のスタッフも香菜の登場に驚きました。
「アーティストの水島香菜先生です」
 紹介したフロア長酒居さんは、こちらにこっそりと、「やるな、カネボウ!犯罪レベルに可愛くない?」とささやきました。中国人通訳のホンファも、少し驚きとジェラシーのこもった目線で見ています。
「よろしくお願いします。楽しく行きましょう!」
 香菜さんの笑顔は、そんな緊張をとく爽やかなものでした。

「若い頃は良かった」とか「私の人生ずっとつまらない平凡」「しんどい人生、いいことないし、死にたい」「外れガチャの人生」とか思っている人がいたら、私は声を大にして言いたい。
「人生にはいつか天使が舞い降りる」
 化粧品会社だから良かった?なんてことは、ほぼ無かった。ブラックなノルマ企業で、粉飾で事実上倒産、何とか身売りで生き残ったものの、大規模な皮膚クレームで、後半も円満な会社人生の時期など皆無でした。もう退職金を多めに貰って早期退職した方が良かったのかと思った時もあります。
 それでも、耐え忍んだあとに、いつか人生には天使が舞い降りる時があるのだということがその日分かったのです。
                               (つづく)

 

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