いかにも日本的会計基準の「辞める相手にボーナスは払えない」

 会計基準とかIFRSというと、いかにも硬い難しそうな話ですが、ちょっとしたところが日本って変わらない変えられないのだなあという話です。
 退職時に、退職金を貰えるのは当たり前、でもボーナスはというとたいていの会社は6月か12月が賞与月で、その時に在籍していないと貰えないところが多かったものです。
 まだ退職したことがない、あるいは勤めたことがない人でも、同僚や家族、後輩らが会社を辞めることになって、その際ボーナスを貰ってからとか、あるいは急だったので貰い損ねたという話を聞いたことがあるかもしれません。
 実際、退職時期を決める時、ボーナス時期、有給消化は考慮しないといけない問題でした。
 ところが、昔は部下の女性の退職をさんざん扱ってきて、人が足りないときや優秀な人材には「何とか次の12月賞与までいないと損だよ」と引き延ばしていたものです。
 ところが、いろいろ体制の変わった中で、定年退職で60歳の誕生日月の20日で規定通り辞めた際、新体制の会社では在籍期間を計算した「退職賞与」が貰え、次の6月に貰える賞与より少し少ないくらいの金額が貰えました。
 IFRS(国際会計基準)で退職金引き当て金を計上している会社なので、どの時期に辞めてもそれに相応する賞与が貰えるのです。
 カネボウが花王傘下に入った時、当時の組織に無理をいい花王のアカウンティング(会計)幹部養成教育に最年長で参加させてもらいました。1週間以上にわたり、簿記と国際会計基準や未来会計戦略を学びました。極めて合理的で、よく考えれば道理にかなうことが多いのです。
 日本の会計基準は「細則」「前例」に拘り、全体的な考えが歪むのです。粉飾なども、法律の抜け穴とか、ギリギリの基準なら許されるだろうという「法は守っても道徳は守らない」のが許されるのです。
 賞与の問題でいうと、辞める相手にボーナスは払えない、残っている者に悪いし、経営として当たり前じゃないかという考えは今でも多くの会社や公的機関にもあります。
 しかし、労働者の公平を考えれば、5月まで働いた人と6月まで働いた人に給料2か月分の賞与がオールオアナッシングになるというのはおかしい話です。そのために退職時期が賞与月に集中するのは、会社としても全く得になることはありません。どうしても時期を急いだ人以外が、賞与まで待ち、フルの賞与を貰い、その間モチベーションの低い仕事をされれば、会社に害の方が多いからです。
 こう考えると、退職時に計算して賞与支給は合理的に思えるのですが、結局その後公的機関に3年勤めるも、4月に入り、6月賞与貰えずで次の12月から貰いだし、夏冬あと2回貰いましたが3月退職では次の6月分はゼロでした。
 公務員系は全く、そういう計算なしです。
 退職賞与は労働協約の賞与規定で決められていますから、貰えないところは多いです。
 誰も損しないのに、国際的な基準にならない。日本にはそういう変わらない慣習が多いものです。
 
 あの時の研修は本当に良い内容で、現場ではもちろん役には立たないが、世の中の会計的仕組みが目から鱗が落ちるように分かりました。強い会社というのは、こういうところなのかと思います。
 

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