年金関係、社会保険関係の復習

 仕事としては、年金や労働、厚生労働省のお仕事は卒業したのですが、年金委員としてFPとしても、常に情報を上書きしたり、復習しておかないと記憶も悪いので勉強し直しです。
 年金に関するテキストめいたものは、さまざまありますが、それなりに勉強していただければ、言葉が難しく最初はとっつきが悪いですが、分かると面白いものです。
 高橋洋一さんは元財務相官僚で、小泉内閣、第一次安倍内閣で参事官ブレーンとして活躍、最近は動画投稿サイトでも頻出されています。
 著作は数年前になり、コロナ情勢などは加味されませんが、最近の彼のわかりやすい動画の背景になる肝はまとめて書かれています。
 老齢年金が長生きのリスクに対する保険であって、福祉ではないということが頭に入り、賦課方式が頭に入れば、年金制度の突然の破綻はないことが良く分かります。
 

 財務省や政府のウラからも見れば俯瞰的に良く分かる話です。マスコミやら財務省なのでしょうか、不安を煽れば、自分の立場が良くなる人は多いせいで、年金問題は複雑に見えます。歴史的な経緯から複雑化しすぎた日本のシステムの無駄の多さは、2冊目の下の写真の本でもわかります。鈴木亘さんは、日銀から大阪市の特別顧問や、東京都でも顧問として、西成対策や待機児童など福祉に精力的の行動された学者です。
 こちらはコロナ対策から生活保護制度、医療制度、介護崩壊に年金問題、そしてベーシックインカムと、皆が気になる社会保障の各論点についてわかりやすく解説し、自説も含め展開しています。5年に一度の年金改正法案が骨抜きなのは、この2冊を合わせて読めば良く分かります。
 年金とは離れますが、介護保険財政問題の解決策として、家庭内介護に報酬を払う案なども、介護休暇とともに政府はもう少し検討し、支援してもいいと思います。
 民主党政権は、そもそも経済も政治も分かっていなかったとみんなにボロクソに言われますが、マスコミの電波利権、財務と厚労などの歳入の一本化などマニフェストに掲げた命題は間違っていないだけに残念な面もあります。官僚の抵抗をあまりにも甘く見過ぎ、知識や実力の不足を知らずに進んだのが改革の頓挫の主因です。

 高橋さんの著書の後半にある通り、60歳から65歳、年金を支給されそうな時期というのは、同じ地域の学校、大学を出てさえ、大きな収入の差を迎える時期だということには納得します。
 そのトシで働けること、働ける仕事があり、身体などの条件があることも運命ですし、大きな収入があり年金に頼らなくてもいい人、年金と貯蓄などでそれなり優雅な人、年金でつつましやかに生きる人、年金も少なく無理に働く人。この世代の格差は非常に大きいです。
 彼は個人的な見方で、同じ年代で同じ学校なら能力に差は無いので【運】だと言い切ります。
 お笑いで、ビッグと言える大御所の目に留まり、才能を存分に発揮でき億の年収を獲れる人もいれば、芸は優れていても売れないまま夢を諦めて、貧しい老後しかない人もいます。
 この運、不運というのは、どの世界でもあります。そのためにも、しっかりと、生活基盤の最低ラインに年金があり、自助のためにもう少し蓄えないといけないのです。
 政府は、分母に税、社保料控除後の数字、分子(給付される年金)には控除額をいれない目くらまし的な数字で、年金の所得代替率を3分の2とか、6割だとか、福祉国家的アピールをしたいようですが、これは反って誤解を生みます。例の2000万不足問題はここが根幹です。
 定年後、ローンや子育ても終われば、今までの生活、付き合いや遊びを抑えれば、何とか年金だけで暮らせるだろうという幻想を産むのが、この所得代替率6割です。
 実際には値上げとか、病気、家のリフォーム、電化製品やクルマの買い替えとかいう以前に、年金から健康保険料や所得税、固定資産税やら引けば、元々手取りの所得代替率は4割です。

 高橋さんの、年金財政構造の、現役時代40年2割負担、年金世代4割受給で、バランスが良く分かると同時に、年金生活の意味が分かります。現役時代の4割程度のシュリンクした生活を覚悟しないと、年金だけではやっていけないのです。厚生年金40年でも、これですから、国民年金だけの方はもっと大変です。こんなことは100年安心の前から、わかっていたことです。国民年金の人まで含めて、2000万問題を炎上させ、総花的年金不信を煽った人の罪は重いです。

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