定年後再雇用 定年延長を考える

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 【報道のまま】定年退職後の再雇用で基本給や賞与が引き下げられたのは不当だとして、名古屋自動車学校(名古屋市)の元社員60歳の定年後の男性2人が差額分(業務内容は変わらなかったが、基本給は定年前の半分以下の月額7〜8万円になっていた)の支払いなどを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は20日、基本給が正社員の60%を下回るのは違法とした二審名古屋高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻しました。嘱託職員の基本給は「正社員とは異なる性質や支給目的がある」とし、詳細に検討すべきだとの判断を示しました。

 個別の判決の趣旨に対してではなく、定年延長と、定年後の再雇用という高齢化社会の難しい問題をはらんでいます。
 これは司法、裁判の問題でもありますが、雇用、労働の深い闇と光の部分です。細かい部分で言えば、高齢者雇用継続給付金が雇用保険から支払われ、基本給の3分の2の範囲で低下した部分をカバーしてくれますが、ここまで下がると給付されてもかなり苦しいでしょう。
 ただ多くの60歳以上にとって、全く新たな仕事、会社に移るのは並み大抵のことではなく、雇用されたとしても、やはり最低賃金に毛が生えた程度で、雇用保険からのカバーも高年齢再雇用給付金となり期間などは減額になります。


 多くの人が、定年延長ならベスト、定年後の再雇用も仕方のない選択なのは事実です。企業にとっては、年齢を重ねた社員は給料は上がっていますから、経営者によっては本当は雇用さえしたくない本音もあるかもしれませんし、退職金も払った上、そこそこの給料で雇用するのは厳しい財政事情という企業もあります。この教習所がすぐに経験者が雇えない現場なのか、合理化で人は余っているので若い社員に切り替えたいのかは分からないところです。
 いずれにせよ、労働者が求めれば、働く権利は認められないといけません。管理職や、転勤のある正社員のリーダーなどが60歳を迎えた時はそれなりに、裁判になっても名目はたちます。同一でない仕事ということで判決的には納得できそうな仕事の区別ができます。実際にはこの会社のように定年前後で同じような仕事をしている営業現場や事務仕事、作業などというような感じの仕事は多いでしょう。
 再雇用制度にはこのあたりに限界がある気がします。
 この問題を突っ込んで考えると、元々正社員と、非正規社員で同じような仕事をしていて、そこにも矛盾がある深い問題が浮かび上がります。
 むしろ正社員が定年後に非正規に均されているような面もあります。
 
 いわゆる管理職定年で、裁量権のない現場的な一般職に年齢とともに降格させて、60歳で急な変化のないような定年延長を段階的に公務員は考えており、大企業も追随しそうですが、これも結局職種や業種によっては難しい面があります。能力の低い正社員が同程度か、それ以下の仕事をしていても高い賃金を貰っている場合があります。給料が高くて、少し人たらしで部下に指示し、自分はスキルなくスタッフに助けてもらうだけの管理職なら、バイトの方が仕事はキツイこともあります。それでも、長年勤め上げ、世間的には価値なくとも本人はそれなりなのですから、始末は悪いです。

 平たく言えば、そもそも管理職までやった人が40代から50歳前後にヒラに降格するというのは結構残酷な話です。やっと、部下に命令して、自分は経営企画に携わり、重要案件の決済、勤退管理やチエックなどに専任と思っていたのが、一から書類を作り商談に赴く、時には現場の作業など指示され加わるのです。それもAIが進化すれば人手がいらないような状況で、人手が要るのはより泥臭いところしか残りません。
 中高年の雇用のところは、考え方を変えないと明るくなりません。昔の体育会系のように、一年先輩が神様ではなく、入社した時から、フランクな友達感覚ぐらいでないと、こうゆう流れにはならないでしょう。

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