沈みゆく日本

 今年中には日本はドイツにGDP(名目国内総生産)で抜かれるといわれていますが、先日の産経新聞1面トップで「GDP 独に抜かれ4位、インドも迫る 円安・低物価・低賃金が定着『安い日本』脱出なるか」との見出しに、やはり失望というか残念な思いを抱きます。オリンピックやサッカーやラグビーのW杯、WBCなどでニッポンと叫び応援する人も、共通のナショナリズムのような気持ちで日本が上にいることを望んでいる人は多いと思います。

 ドイツの人口は日本の3分の2で、約8,000万人である。人口14億の中国に抜かれ、同じく14億のインドに抜かれるのはむしろやむを得ないとしても、人口8,000万のドイツに抜かれるとはショックであす。
 かつて、太平洋戦争でアジア諸国からも、欧米と渡り合ってくれた日本は尊敬され、自分たちも欧米に負けないと戦後成長しましたが、今人口もですが、所得や賃金で追い上げられ、追いつかれようとしています。
 いろんな要素もあると思いますが、日本の復活、経済成長に向け、腹を据えて本当に考えて実行していかないといけないでしょう。

 振り返ると小泉政権で新自由主義政策が進められ、都会優先、地方切り捨て、非正規、パート、契約社員制度になり、日本の文化ともいえる終身雇用、年功序列といった仕組みが形は残しつつ弱くなり、日本人の一番の財産であった勤勉性が失われ、若者をはじめ多くの勤労者がやる気をなくしてしまいました。そのツケが今になって大きく残ってしまったような気がします。23年前、小泉政権が誕生した時、メディアは改革政権ともてはやし、抵抗勢力、守旧派とレッテルを貼り伝統的、遺伝的に頑張ることを止めてしまったように思います。
 東大を出て、プログラミングができて、IT企業を立ち上げた人物が何百億と稼いで,プロ野球や放送局、政治にも参加しようとしました。サラリーマンや公務員がどんなに頑張っても2千万ぐらいがせいぜいの時。その100倍以上を汗も流さずに稼ぐ人種が現われました。一方で、少し頑張れば中流の生活ができた職業は淘汰され始めました。全体の富の上限は決まっているのです。

 今、格差が拡がり、若者にやる気をなくさせた一番の原因は何かと考える時、日本はこのころに何かの選択を間違ったのでしょう。
「人よりも努力すれば、頑張れば結果が付いてくる時代」
 どの街の商店街にもあった個人経営の小さな飲食店、クリーニング店、電気屋さん、化粧品店や薬店、いろんな店の人が日曜も祝日もなく、朝早くから仕込みや準備をして、夜遅く閉めて銭湯で汗を流し深夜に休みました。

 エネルギー資源なき日本が、世界に冠たる日本になったのは、国民の勤勉性であり、働く姿の勝利でもありました。その仕組み、その姿をもう一度取り返さない限り日本の再生はないと思う。

 

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