書評:栞と嘘の季節 米澤穂信 図書委員シリーズ

アニメにもなっている「氷菓」古典部シリーズが著名のミステリ作家ですが、ノンシリーズ含めミステリランキング上位の常連、そのクオリティはさすがです。
 昨年のランキング上位独占の、米澤穂信さんの作品の書評です。ネタバレしないため、作品内容はあっさりと。
 日常の謎、学園ものということで設定は地味なはずなのに、遠く年齢を離れたオジサン世代でも、わりと引き込まれて一気に読めます。学園1,2の美人と言われる女子高生が出ますが、魅力的な人間を描きつつ古典部シリーズのような恋愛系も一切なしで、謎解きに特化しているのもミステリとしての評価が高いところかもです。
 最近日常の謎系を読んでると、このジャンルも洗練されてきたと思います。読む方も慣れて来たのか、初期の北村薫さんなどは、殺人が起こらないのになぜそんなに考えるのかに、不自然さが生まれた感じがありました。
 主人公の三人称視点で、叙述のゴマカシのないところも好感で、共感します。
 やはり、今は毎週殺人事件に小学生が出くわすような、人類がほとんど死に絶えた未来での密室殺人とか、特殊設定が当たり前すぎて、平凡なリアリティが貴重です。

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