2024年元日、能登半島を襲った大地震は、今も水道などインフラが回復せず。避難所や倒壊しかけた住宅で、寒い中厳しい生活を強いられている人がいます。
今回の地震が石川県能登地方ということで、人口はそう多くない地域だということが不幸中の幸い、噂される首都圏直下型や南海トラフ地震で大都会でなくて良かったと内心は思った方もいるでしょう。
都市型の災害で、人口が密集した地域の火災、地下街や低地の津波、電車の大事故、帰宅困難者などは過疎地とは桁違いの犠牲者が出て、パニックが起こるでしょう。
多くのシミュレーションがされ、いつ来るか分からない地震に、防災の日や震災の日には思い出したように点検をして、意識を高めます。
建物やインフラはそれでも大都市圏の方が堅牢です。耐震工事が済んでいる割合も、今回の能登地方のような人口過疎の田舎的な地域よりも、都心部は進んでいます。
かつて、田中角栄が日本列島改造論をぶち上げ、全国に新幹線網、高速道道路網が進みだしました。高速道路は21世紀になり地方にも多くのルートができ、旅行や観光、移動や物流の主役となり、目覚ましく発展してモータリゼーション、クルマとトラックの時代を迎えました。逆にクルマが無い、運転できないでは田舎では暮らせません。新幹線網の全国拡大は出始めだけで、多くは絵にかいた餅に終わりました。
新幹線や電車はおろか、バスすらも都会とは比べられない頻度で、それも赤字で自由に買い物に行けるような本数ではありません。
田中角栄が失脚し、忘れられるとともに、地方の整備も忘れられていきます。
地方自治体は限られた税収からの予算で、高騰する諸経費、人件費に対処し、介護や福祉などの予算はまったなしに上昇し、インフラの再整備、防災などライフラインの非常時への備えなどに回す余裕はありません。水道管や電気設備が老朽化してポシャれば、対症療法的に直すので精一杯なのです。
メガ都市圏を除けば、県庁のある市でも多くの過疎地を抱え、インフラは脆弱で、水道や電気も事業として厳しいものがあります。設備が老朽しても、今回の能登のようにすぐバックアップできないのです。これでは比較的小さな災害でも被害が大きくなり、復旧させる人員にも事欠く、悪いスパイラルに陥ります。
例えば今さらと言われながら、景気対策には不可欠だと強攻した二回目の東京オリンピックや、次の大阪万博などもそこで潤った経済が、東北の復興など、地方の再生に回らないといけないのですが、そんな形跡は微塵もないのです。これは日本の政治、経済の構造の大きな問題です。
石川県はいい例で、元総理の大物政治家や選挙区でその息のかかった元大臣が知事をしながら、耐震基準もインフラ再整備も大都会との格差は歴然です。
その首都圏ですら、ちょっとした雪で多くの人が怪我、高速道路はマヒする体たらくですが、それでもマシなほうなのでしょう。本当に大地震への備えができているなら、人の少ない地方のインフラはある段階でスパッとあきらめて、大都市部と主要の地方都市周辺だけに住んでいくような国になっていくというやり方もありかもしれません。大きな経済、社会のうねりと、大災害とどちらが先に来るかが運命です。
北陸新幹線 楽しみばかりではない – 天使の星座 (seizafpkotodama.com)