書評:早見和真「笑うマトリョーシカ」

 桜井翔と水本あさみ主演のドラマが終わったばかりですが、その原作です。
 しかも、ちょうど総裁選で総理大臣は決まるというタイミングなので、政治がらみのエンタメなのかサスペンスなのか? ミステリであり不条理なとこもあります。

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四国・松山の名門高校にろ通う二人の青年の「友情と裏切り」の物語。
27歳の若さで代議士となった男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。秘書となったもう一人の男は、彼を若き官房長官へと押し上げた。総理への階段を駆け上がるカリスマ政治家。
「この男が、もしも誰かの操り人形だったら?」
最初のインタビューでそう感じた女性記者は、隠された過去に迫る。

 書店舞台のライトミステリ『店長がバカすぎて』とも全然違うテイストです。

 ドラマも良かったです。櫻井翔くんの、操り人形のような頼りなさ、少し不気味な影のあるほほえみが、誰に操られているのか考察を呼びました。原作者もイメージ通りという、はまり役のようです。視点を女性の新聞記者にして家族などキャストを増やしているのも許容範囲です。
 少し信用ならない若手世襲政治家が総理を狙う時代なので、なおさらリアルに怖いです。ただまあ、現実の政治が一人の若いカリスマの人気で変得られるかというのは、良い悪い別に難しいというか、無理はあります。国会も行政も、アメーバのように旧態以前の組織を守る輩が出てきます。
 中山七里さんの社会派作品同様に、現実はもう少しつまらない、変わらないものです。

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