低視聴率というが:秋ドラマ出だしレビュー

 NHKの朝ドラ「おむすび」が元々出足不調な上、橋本環奈さんのパワハラスキャンダルも出て、ワースト更新が懸念されるぐらいと話題となっています。
 パワハラ報道は、兵庫県知事選じゃないですが、どこまでウソか本当かわかりません。全く火の無いところでもなさそうですが、アイドル女優とは言え重箱の隅をつつけば何か出てくるものです。
 視聴率が低いのは、前期の「虎に翼」が朝ドラらしいテーマからターゲットを広げたのに対し、「おむすび」は平成ギャル以降という新機軸という、元々チャレンジングな試みである程度予想されたものとは擁護されます。

 ただ、まあ橋本環奈では、ビジュアルはよくても彼女のスペックとスケジュールを考えるとやはり役作りや演技では、幅広い層に視聴を広める感じではありません。他のドラマや映画、CMでも毎日露出し、「しょっちゅう見かけるキレイな子やね」で、今さら見ない人は見ないのでしょう。実際には目の下にクマまで作った感じで、やややつれた演出もしているようですが、私もあえて橋本環奈を見ようという気にはならないので朝ドラパス組です。

 朝ドラを超えた重厚ドラマとしては、やはり日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」軍艦島の最盛期と、現代を神木隆之介が二役でこなし、二つの時代の人物をどうつなぐのかの魅力的な謎を軸に展開が目を離せないですし、ロケもセットも潤沢です。そして、杉咲花、土屋太鳳と朝ドラ主演3トップを並べたキャストも豪華です。

 同じ日曜ですが、別局の「マイダイアリー」も元朝ドラ主演で演技力には定評のある清原果耶、大河ドラマでブレイク必至の見上愛、吉川愛と、実力と人気の3人を並べているのですが爆死なみの低視聴率だそうです。若者の何気ない日常の日記を思い出すようなアンニュイだが切ない内容で、見ても見なくてもいいよ見たいな話で、悪い内容ではないですが、選挙や野球に押されたりの悪い要素もあり、民放のコアは時間帯では近年で最悪だそうです。
 舞台や映画では評価された清原さん、吉川さんもそうですが、ルックス良くて演技もできてもテレビでは視聴率を取れない評価が定着しそうです。
 俳優さんのお仕事に選び方、売り方というのも難しいものだと思います。ある程度、仕事を選ばず露出を続けないと忘れられるし、かといって低評価を受けると引きずる感じでしょうか。
 今クールで、予想以上に評価高いのが「ライオンの隠れ家」と「嘘解きレトリック」だそうです。

 ミステリ好きなので見始めてましたが「嘘解き、、」は昭和初期レトロの探偵、ホラーでTRICKテイストなのでテレ朝深夜なのかと思いきやこれがフジの月9とは驚きです。ミステリ色は弱めで、恋愛要素あり、松本穂香のまったりしたキャラに癒され応援したくなります。

 朝ドラも何か「女性の社会進出か一代記もの」からいいかげん脱却して、若手俳優の発掘場ではなく、演技を競うドラマ自体の面白さを追求して欲しいものです。他のNHKスペシャルドラマでやっているような恋愛、社会派、経済事件やミステリ、時代劇などジャンルを広がてお金をかければと思います。

 あんなに忙しい女優さんを無理に高いギャラで引っ張って最終的に低視聴率というのはやはり企画の責任モノではあります。
 NHKはこういう面では、本当に無駄なお金を使い、かつ民放のように視聴率を気にする焦りのようなところがあり情けないです。
 次の今田美桜さんも、人気はあるし今回のリバウンドはあるだろうけど忙しさと露出の多さは似たり寄ったりであまり期待はできない、次々回の高石あかりさんに少し期待というところです。
 高石さんは、マイナーな映画で注目していました。他のドラマレビューとともに次の機会に。

くちびるに歌を 映画&読書レビュー

 アンジェラ・アキのヒット曲「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」をモチーフにした小説と、その映画化です。

 元々、この歌いつまでもみずみずしい青春を呼び戻せる神曲だと思いますが、2008年なのでもう16年前にもなります。
 そして、この本と映画が少し経った2015年で10年ほど前です。コードブルーでブレイクした新垣結衣が主演という、まさにこの物語の男子生徒と同じ鑑賞の仕方で入った人も、ガッキーを忘れる感動で映画館を涙しながら出てきたそうです。逃げ恥で大ブレイクする直前の新垣結衣と、15歳の中学3年の生徒役で、その後朝ドラや映画でも活躍中の葵わかな、恒松祐里、佐野勇斗らが若い姿で出ています。【以下ネタバレ 今さらの古い作品ですが】

 彼らの成長した姿を見るだけで、もうタイムスリップした感じです。モチーフへの15歳へ手紙、30ぐらいの大人になった新垣結衣演じるピアニストの産休代替教師の思いもあるのですが、彼女自身最後みんなに見送られながら五島を旅立つ、これからの人生まだまだどう生きるのかと気になります。

 小説は生徒の人間模様がもう少しいろいろ描かれていますが、映画はガッキーの悩みを深く掘り下げています。

 自閉症の兄のために、生徒たちが大会後に歌う姿は共通の感動を呼びます。涙ぐみ必至の場面です。

 映画はあと、長崎、五島の自然が素晴らしくキレイです。

 いつか旅したくなると思います。大きなクリアな画面で再生したくなる映画です。

 そして、やはり原点となった アンジェラ・アキの歌詞。
そういつの時代も悲しみは避けて通れない。苦くて甘い今を生きている。
 15歳の倍の30歳の、未来の自分に、逆に昔の自分に手紙を送った、そのさらに倍以上の時を経ても、人生に全ての意味があり、苦くて甘い今があるのです。

 また若い頃の悩んでいた自分に手紙を書きましょう。今さらやり取りできないと思わず、きっと何かいい返事が来るような、気づきがあります。

年金問題を少し落ち着いて考えさせる 楢山節考

年金問題は奥が深く煩雑です。今も年収の壁問題や、非課税世帯への給付などが連日話題に なり、少し物価が上がると年金生活の人は苦しいと騒がれます。

 非課税の年金世代にも壁があり、給付をすれば壁は高くなります。また今、年金を既得としてもらっている世代の人は原則下がりませんから、団塊世代以前からのサラリーマンで定年まで勤めあげた人などは比較的悠々な年金生活を送った状態が続いています。高額の高齢者施設、介護やケアのサービスもビジネスとして成り立ち、シニアをターゲットんしたクルーズやグルメなども盛んです。是非は別にして、生産性の高い年代に比べて経済の流れというかが何か変な方向に向いていて、寿命や生命の尊厳もビジネスになり、ただ長生きしていればsこには国も医療機関もコストをかけることを誰も否定できません。

 そんな時、ふと昔の価値観、生命観を思い出させ、考えさせられるものがあります。

 「楢山節考」深沢七郎の小説。昭和33年木下啓介監督、田中絹代さん主演での映画化、そして二度目の映画化昭和58年の今村正平監督、緒形拳、坂本スミ子さんのもの、私は二度目の映画を劇場で見て、重いインパクトを受けました。しかし、当時はその重さの意味が本当には分かっていない20代でした。

 【以下 ネタバレ、ストーリー】 
信州の山々の間にある貧しい村に住むおりんは、「楢山まいり」の近づくのを知らせる歌に耳を傾ける。村の年寄りは70歳になると「楢山まいり」に行くのが習わしで、69歳のおりんはそれを待っていたのである。山へ行く時の支度はずっと前から整えてあり、息子の後妻も無事見つかる。安心したおりんは自分の丈夫な歯を石で砕く。食料の乏しいこの村では老いても揃っている歯は恥ずかしいことであった。

「自分が行く時もきっと雪が降る」と、おりんはその日を待ち望む。孝行息子の辰平は、母の「楢山まいり」に気が進まない。少しでもその日を引き延ばしたい気持ちだったが、長男のけさ吉の妻はすでに妊娠5ヶ月で食料不足が深刻化してきたため、家計を考え、急遽早めにおりんは山に行くことを望む。
そして、その最後の日、辰平は禁を犯して山頂まで駈け登り、念仏を称えているおりんに「雪が降って来て運がいいなあ」と呼びかけた。おりんはうなずいて帰れと手を振った。--村に帰りついた辰平は楢山をのぞみ見ながら、合掌していた。


 ただ、その情景だけが登場人物とともに描かれる。
現代人が失った生命の尊厳を問い直す「棄老」の物語。
 そこには、悲しみや怒りも、主張もなく、ただ自然とともに力強く、生きて死んでいく姿があり、おそらく、この人の生き方は現代人よりてらいなく濃密なのろうと想像させます。

 現代の寿命、生き方、高齢者の福祉や介護、経済や食糧事情、環境も全て違います。60や70になっても、今の世代の高齢者は歯を折るどころか、行列のできるような名店や、ミシュランの三つ星グルメ店で、豪華な食事をして写真をアップしています。
 あるいは、そこまで恵まれない裕福でない老人は、家族に養われることもなく、年金だけでは生きていけないとイラ立って国を責めているかもしれません。

「棄老」姥捨て的発言は暴論で、炎上してしまう何もかも違う時代、閉塞した高齢化社会だからこそ、何か次の考えを馳せるとき、「歯が揃っていることが恥ずかしい時代」を省みることも必要ではないかと思います。かつては「老人ホーム」に親を居れることは「棄老」「姥捨て」と罪悪感を持って言われまいしたが、そんなことも時代により変わっているのです。もうこの話に描かれた、高齢者を捨てる家族すらいない時代です。
 高齢者は自立して福祉を勝ち取り自分勝手に長生きするだけの爛れた国家が残っているというのは暴論でしょうか。

大都会は何でもあって何もない 映画:「ナミビア」の砂漠レビュー

 今年流行ったドラマ「不適切にもほどがある」でブレイクした河合優美さん、今の朝ドラやCMにも引っ張りだこの彼女の主演映画。
 小さい映画館中心の上映ですが、好評で延長になっているということで見に行きました。
 タイトルだけだと、アフリカの自然に癒されるような内容と思う人がいそうですが、舞台はすべて日本の大都会です。
【以下 ネタバレ注意】

「ナミビアの砂漠」とは現地の言葉で「何もない」という意味で、日本の都会には何もかも揃っているようで、結局「何もない」とでも言いたいのでしょうか。
ほぼ全編、不適切の不良娘以上に、鼻ピアスをしためんどくさいエキセントリックな女性カナが、自分中心に生きる姿を脇の人物を重ねながら映されるだけで、スカッとしたものは何もありません。
昔「東京砂漠」っていう歌がありましたが、東京に行くと、本当にたまにそうなんだなと思います。
 人に酔う、何でもあるということが、結局は「何もない」ということなのでしょう。

夏ドラ総括と次

 夏期のドラマでは活動休止中の嵐の、二宮和也の「ブラックペアン2」と桜井翔の「笑うマトリョーシカ」は同じ局で、やはりドラマには定評ある局と枠で、それなりに楽しめました。
 アイドルグループ歌手から、MC,バラエティやドラマにと単独で活躍するメンバーですが、この二人なかなかの演技でした。
 二宮くんはシリーズ2作目で、安定感もあり、段田康則や内野聖陽、石坂浩二らベテランや韓国人俳優や若手俳優とも渡り合い、風格さえありました。
 桜井くんも、リアリティにない役が多かったのですが、操られる若手政治家という役が填まっていました。総裁選のさなかでなかなか政治劇が面白かったです。既読の小説ですが見ごたえありました。
 政治つながりでは、「ブラックペアン2」に、あの人の兄が出演していました。裏切りそうで裏切らないいい役で、あれは総裁選中に、よく似た弟の印象を上げていて問題とも思いましたが。
 そして元朝ドラヒロインの競演も、気を使った印象でした。
 同時期の「虎に翼」に関しては先日書きました。葵わかなさんはブラックペアンの1作目もう6年前になりますが、そこで朝ドラ「わろてんか」主演後の民放初出演でしたが目立たず、正直それ以降パッとしない時期が続きましたが、やはり天性の輝きはあります。そして、同じく1作目で少し昏いキャラだった趣里さんは、「特別出演」扱いで、ブギウギでのブレイクで脇を好演しています。共に出番はスケジュールの都合かやや少なめでした。

 朝ドラで括って繋げますと、「舞い上がれ」の福原遥さんも「マル秘の密子さん」で主演、コメディだかサスペンスだか良く分からない作品で、ちょっと評価には値しないです。途中でギブアップ、最終回もチラ見でした。現朝ドラの橋本環奈さんにも共通するキレイだけど、どうでもいい見るほどではない感じです。もう国民的な女優という存在はないのですが、カバーガール的な美形の俳優群の一人という感じです。

 少し前の朝ドラヒロインの競演がもう一つ、松下奈緒さん(ゲゲゲの女房)、比嘉愛未さん(どんと晴れ)戸田菜穂さん(ええにょぼ)まで出ている「スカイキャッスル」木村文乃さん、高橋メアリージュンさん、小雪さんら目移りする豪華すぎるキャストで生き馬の眼を抜く展開もまあ面白いのですが、何だかチグハグな作品になっています。

 そして、今クール一番の秀作と評判をとったのが目黒蓮くんと、「ひよっこ」有村架純が共演した「海の始まり」でした。月9としては久々のヒットと言えるのでは、架純さんの演技いいです。31歳ですか、可愛さ変わらず、イケメンの蓮くんもいい演技でした。古川琴音さんと、大竹しのぶさんの脇もいい。ラブストーリーですが、ひねりとしまった感じがありました。
 秋クールでは先ほども紹介した趣里さんの主演、朝ドラ以降は映画や舞台にも活躍した清原果耶さんの主演ドラマは始まります。演技は申し分ないですが、ドラマをひきつけ注目さあれるのは企画や共演者、脚本全てにフィットしないと難しいです。そんなに見る時間もないですが、秋の夜長を楽しむ一つにはなるかもです。

9月終了 夏ドラも朝ドラも終わる寂寥感

 残暑は厳しく、猛暑日が9月もあり、いい加減夏には去って欲しいのですが、9月末に近づくと、さすがに街角、店先に目に入るもの、朝晩の風には秋を感じます。

 テレビも秋への改変期を迎え、7月に始まったいわゆる民放の夏ドラマ、4月に始まったNHKの連続テレビ小説朝ドラも、9月には全て終わります。今クールは、法曹界を描いたテーマということで、ひさびさに朝ドラも含めて、興味ある内容、キャストもあり録画や追っかけの配信含めいくつかを観ました。

 朝ドラは女性初の弁護士、裁判官を主人公にしたということで、法律の問題に関して歴史なども含め、初めての知識も多く勉強になり楽しめました。
 主演の伊藤沙莉は若手の中では演技力あり、いわゆる女子部のサブメンバーも好演でした。女性の社会進出、差別などの社会問題、戦争やその後の原爆裁判、尊属殺人の違憲から、いまどきの夫婦別姓問題やLGBTまでも、掘り下げていました。
 一部、大人の事情的な子役のキャスティングもありましたし、女性の権利から、戦後の憲法に関してあまりにも金科玉条にしていまうのは少し残念な描き方です。
 9条ではないにしろあまりにも憲法13条などが常に刷り込まれるのは、護憲に偏りすぎです。
 そこはやはりNHKに対しては不満でした。
 多くを望みすぎず、楽しめばという意見もあるでしょうが、大事な社会問題や歴史を扱う以上、辛口かもしれませんが、NHKには全ての面で公平中立、しっかりして欲しいところです。

 朝ドラファン的な人が、サブの登場人物で人気が出てブレイクすると、「スピンオフドラマ」をとか次の主演とかよく、騒ぎ考察されるようです。若手俳優の登竜門的なところは否定しないですし、全体に悪い脚本ではなく、面白い作品でしたが、やはり登場人物が多く、キャスティングされると、俳優によって、主役よりも視点で描かれる時間が長すぎるのは、私は好きではありません。その視点のバラつきに一貫性がなく、あるときはデティールまで描くのに、急にでなくなり、ナレーションで死が告げられるなどです。どうなっているだろうと、見ている者を引き付けるのですが、テーマや主役の掘り下げからは逸脱しているときが多いのです。これはキャストが先に決まるテレビドラマの特徴ともいえる欠点です。

 比較的、秀作が多いドラマ期が終わると、それでもちょっと寂しいものです。朝ドラ以外のドラマはまた別の機会に。

近江商人の街五個荘町『てんびんの詩』が『ふてほど』にならないように

 近江商人の十訓や『三方よし』に関しては過去ブログで結構検索閲覧もされています。滋賀で仕事をしていた期間も長かったのですが、近江商人のふるさと五個荘や日野はビジネスで行っても街並みや施設をじっくり見ることはなかったので散策がてら訪ねました。
 質素という概念が薄くなり、SDGsと言われながらも、分別はしても実質履き捨て、使い捨てるのが当たり前の昨今。
 私の子供時代は、膝やひじにつぎはぎの衣類を着てましたし、繕い糸が見える靴下も履いていました。今の子供も親も繕いなどしない知らないかもしれません。すぐに100均やUNIQLO、しまむらへGOでしょうか。
 一見豪華に見える五個荘の街の古いお屋敷、建物も『舟板塀』という舟に使用していた材木を土塀や壁に再利用しているものだそうです。
『てんびんの詩』の映画の中で、なべぶたの行商を課せられる主人公が母はいつもキレイな着物で贅沢しているし大店の家にはお金はいっぱいあるのにと嘆き抗うと、『この着物も何代も前のおさがりで、繕い繕い裏地は古い風呂敷を玉ねぎで染めたもので、これを子や孫に伝えるのだ』と諭されます。
『てんびんの詩』に関してはそのうちもう一度詳しくレビューします。確かに時代は違いますが、心に響く『質実』『節約』『奉仕』の心構えが散見され、親と家の『愛』もあり感動する内容です。
 大正時代の内容を昭和の終わりに映画化されたもので、その冒頭にインタビュアーが成長し家督を継ぎ老境の設定の主人公に対し「今の時代(昭和の終わり)にも通じるものがるので是非語ってください。今は何でも『気軽』『気まま』にライトで自由にやれることで、恵まれすぎて誤り失われたものが多すぎる」という趣旨で熱く語られて物語が始まります。
 当時でさえ、高度経済成長、国際化、技術革新と過去の価値や倫理を否定する変革が進んでいるのです。
 ゆとり、働き方改革、多様性と言われながらも、なべぶたを洗い、釜や鍋を叩いて直し、傘も靴下も修繕が当たり前の時代だった頃から、失われたものも多いのだと思います。
 
 

三方よし 近江商人十訓を現代に活かす – 天使の星座 戒めは今の時代に十分通じる (seizafpkotodama.com)

三方よし近江商人の訓が守られないから不況や、値上げに弱い – 天使の星座 (seizafpkotodama.com)

草彅剛が俳優としてスゴイ

 かつてアイドルグループの中では、キムタクやリーダーらに比べどちらかというと一番地味だった草彅剛が、役者としても今一番旬を迎えています。
『碁盤切り』は時代劇で、役者の個々の力量も試されます。アイドル的な雰囲気は完全に消え静から動へ変わる難しい役を見事にこなしています。
 大河ドラマでも重要な歴史的人物を演じ、その独特なまったりした声はバラエティっぽい教養番組のナレーターも長くこなしていました。
 劇作家で演出家として、時代を風靡した故つかこうへいさんの芝居に出て、その薫陶を得て、つかにも絶賛されていました。それだけ常人を超えた役者だというお墨付きです。
 事務所があんなことになりましたが、SMAP全員が芸達者で、演技も上手く今後も役者やMCなどでも活躍はするでしょうが、草彅君が独自のポジションでその実力を発揮し続けていきそうです。
 稲垣君、香取君と解散後のグループを組み、特に香取慎吾とは親しん五ようで、この二人がもう50歳近いというのも驚きです。大河ドラマや連ドラの主役とかはもう世代的には卒業なのかもしれませんが、渋い演技を続けていって欲しいものです。

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女優吉高由里子 ブレイク中

 吉高由里子さんが2014年の朝ドラからは10年経た今、35歳で大河ドラマのヒロインでブレイクしている今、旬の女優と呼べるのではないでしょうか。
 朝ドラ以前から映画やドラマで活躍していて、その後も主演ドラマや映画は続いていましたが、やはり実力なのかここへ来てのブレイクはさすがと思わせます。
 20代後半。30代半ばとかになると、アイドル的な人気や美貌で席巻した女優さんも、露出が多くて飽きられたり、結婚や出産で仕事を減らしたりで「旬」を過ぎていく人も多いなかで、この時期、この年齢で最も輝く一人になっています。
 CMもかつて「花王」が2006年、まだ番手みたいな軽い扱いで大衆的なヘアケア商品に使っておりましたが、その存在価値はどんどん上昇しています。若い吉岡里帆さんの後でどん兵衛のCMにも起用されました。
 2014年にも朝ドラ女優ということで、紅白の司会を務めるブレイクだったのですが。昨年は大河主演前ということで審査員席に座り貫禄と凛々しさがありましたが、やはりこの10年はそれほど注目がない時期もあった感じです。
 同年代か少し上には、北川景子さん、石原さとみさん、長澤まさみさん、新垣結衣さん、戸田恵梨香さん。など日本を代表する綺羅星のごとくキレイな女優がいますが、先に大ブレイクの時代があった分、今の勢いはトップではありません。その後にも有村架純さん、広瀬すずさん、上白石姉妹、永野芽以さん、杉咲花さん、高畑充希さん、清原果耶さん、黒島結菜さんらが朝ドラヒロインを勤め、ひしめくように追いかけていますが大河の主演を張るには人気実力がまだまだであったり逆に旬が過ぎている感じの人もいます。
 今回、大河ドラマの展覧などで吉高さんの実際のインタビューで琴や書道の練習などの地道な努力とこだわりを知り、良い女優さんで人気が続いているのも良く分かりました。
 以前の映画やドラマでも、上品なお嬢様や小悪魔的な可愛さで女刑事や悪女から、容疑者の社長、等身大のビジネスパーソンまで幅広く上手く役をこなしていました。
 大河での「まひろ」役はまさにそんな集大成的な、演技が楽しみになる感じです。
 源氏物語の平安時代など、実際にはリアルで描くには何もわからず想像と空想がほとんどのドラマですが、吉高さんはじめ俳優陣、演出の妙で引き込まれる時間ではあります。
 

映画レビュー:「青春18×2君へと続く道」全世代に送る青春メッセージ

 このタイトルが旅行好き、鉄道好きにはあの「キップ」を連想します。
 私も勇んで、初日主演俳優と監督の挨拶ビューイングのある時間帯に映画館に駈けこみました。
 日本と台湾の美しい情景を舞台に、初恋の記憶と人生の岐路に立たされたシュー・グァンハン演じる主人公の旅を描いていく映画で、ちょっとお涙頂戴、ハンカチ必携の泣けるストーリーでありながら、どの世代にも力と希望が湧くようなワクワクの旅もの、青春ものの映画です。
 鉄道好き旅好きでも、そうで無い人も、必見の台湾の電車から、日本に来て江ノ電そして、JR東日本の珠玉的車窓のローカル線、飯山線や只見線が登場します。

 少しだけネタバレ混じり、公式で明かされている範囲程度からの感想ですが、18の意味はJRの企画切符ではなく、本当に年齢の18歳の意味で、✖2というのは主演の二人というだけでなく、リアルタイムではその倍の年齢になった主人公が18歳の時代を回想するという意味も含んでいます。
 実際に旅の途中で出合った道枝駿佑演じる18歳のバックパッカーに、年齢を尋ねられ自分は2倍だと返す場面があります。
 大都会の品川から、鎌倉、松本、飯山、長岡、只見と旅をしながら回想が挿入されます。学生時代に立ち上げたゲーム会社を彼は大きくして、結局は追われてしまったようで、18歳の時代の初恋の相手の絵葉書を頼りに感傷的な旅です。回想での初恋相手、清原果耶演じるアミと仲間たちと過ごした時間は甘く楽しく切なく描かれます。
 今流行りのチートなタイムリープではなく、ただ過去の思い出の回想との輻輳だけですが、見ている方にも、36歳の主人公が果たして時を隔てて、初恋の人と再会できるのかは想像できる部分はあります。
 ミステリではないので、叙述的(映像的)トリックも、視点のバラつき、アンフェアも評価の対象ではないのですが、見事に伏線回収され、それでもまた希望を持って次の青春をあるこうとする姿に「いいな」という終わり方です。挿入されるミスチルの音楽も幅広い世代にいいなと思わせます。
 鉄道でトンネルを抜けて「雪国」の情景が現われる時、道枝君が川端康成の名作を知っているのにも驚きですが、物理的なカメラではなく静かに「心の(人生の)シャッターを押しましょう」という感じのセリフもインスタ全盛の時代になかなかの名言でした。
 清原さんはほぼ台湾の場面だけなので、黒木さんや道枝君らとほとんど絡みはないのに、談笑しているオフみたいな初日挨拶は考えれば面白いです。黒木華さんは、ネットカフェの店員という脇役、最近のドラマでもいろんな役を好演していて、正直清原さんよりは役者としての幅も奥行きも格も上だなとは思いました。
 本人もゲーム開発者ですが、松本、飯山線、長岡、只見とそれぞれゲームで情報をくれるような人と出会いながら、主人公が進んでいくのは現実にはそんなのありかとツッコミたくなりますが、ゲームのような面白さでもあります。
 若い人も若い頃を思い出す人も十分に楽しめるだろうという感じの映画でした。