デレイ鑑賞完了 年末終了ドラマざっくり総まくりETC #大河ドラマ#鎌倉殿の13人#PICU#invert城塚翡翠倒叙集#エルピスー希望、あるいは災い

 今年も仕事納めが終わって、テレビやラジオもその少し前から年末体制に入り、レギュラーは「良いお年を‼」とお休みに入り、昨日あたりからは地上波は短縮されたニュース以外は、朝から総集編やイッキ見せ、ロング特番のオンパレード。要するに商店でいうと、シャッターを閉めて【〇日まで休みます】の張り紙を貼ってる状態です。

 テレビドラマを、みんなが同じように見る時代ではなく朝ドラや大河でさえ見てる人は語り合いたいが見てない人は何やそれなので、ドラマのレビューをブログでするのはあまりなかったのです。舞台や本、映画のレビューはしてましたが、よく考えるとそっちのがもっとマイナーなので、原作や映画、脚本家、役者がらみで楽しめた年末終了のドラマ中心に感想をまとめてみました。

 敬称略で、まず大河ですが、「鎌倉殿の13人」やはりここ数年の中でもバツグンに面白いし、さすが三谷幸喜です。細かい史実でごちゃごちゃ言う歴史家はいるでしょうが、この時代を興味深く掘り起こした功績と、群像劇としての面白さ、小栗旬の北条義時がブラック化する描き方など見事です。
 それぞれの役者さんも大河ならではのキラ星のごとくで贅沢使いでしたが、随所に三谷ファミリーがいい味を出していました。1年は長いし、生涯で時代が流れるので、昨日総集編を見ると前半にこんな人も出てたんだと思いだしてびっくりします。
 国際派女優の菊地凛子は、義時の3番目の妻で一番正確の悪い「のえ」を憎々しく演じて、同時期に吉沢亮主演の「PICU小児集中治療室」では、主人公らを助ける熱く正義感溢れる北海道知事をスカッと演じてカメレオンぶりを印象付けました。収録時期、クランクアップは不明ですが18日日曜日大河、19日月9と連夜の最終回を迎えました。PICUは北海道が舞台で、木村文乃さんが好きで何となく見始めましたがいい内容でした。吉沢亮安田顕となると2019年の朝ドラ広瀬すず主演の「なつぞら」を思い出します。「なつぞら」で主人公なつの恋人ながら、病で若くして無念の死を迎えた画家天陽くんが、北海道で蘇って小児科医で奮闘したような印象でした。吉沢亮の前年大河「青天を衝(つ)け」も頑張っていたのですが、正直面白いドラマではなかったので、PICUは吉沢亮らしさが全面で良かったです。
 なつぞらでなつの義姉裕美子を演じた福地桃子が泰時のしっかり女房役で、当時のしっかりした裕美子役を彷彿していました。
 大河では、脚本家の力量と、時代が古いほど創作や想像の範囲が広がる反面、最終的には大きな史実が変えられないジレンマがあり、そこらのバランスが鎌倉殿の13人が優れた部分でしょうか。
 「青天」でもうひとついうと、やはり吉沢亮の相手は広瀬すずが良かったのではとも思います。PICUでは木村文乃ちゃんがツンデレで吉沢亮と恋愛に向かうかと思いましたが、一切恋愛なし、ラスト前は重病の分かった大竹しのぶ演ずる母と吉沢亮とのほとんど二人だけで親子のやりとりの回が秀逸でした。
 大竹しのぶさん「鎌倉殿」にも巫女のおばあさん役で出ていました。「なつぞら」の後半でなつと結婚する中川大志もすっかり中堅のイケメン俳優として「鎌倉殿」で畠山重忠。瀬戸康史、坂口健太郎、と小栗旬からタイトルクレジットの前半の役者名は若手中堅イケメン大集合という感じで、高橋英樹とか緒形拳も直人も遠いそんな時代かと感服します。

 そんな中で今回の大河で一番のブレイクは北条時宗を演じた歌舞伎俳優坂東彌十郎でしょう。後鳥羽上皇の尾上松也ら歌舞伎枠でドラマ出演の多い昨今ですが、主役級では初登場で誠に渋いセコい人間味のあふれるオヤジを演じ、悪女宮沢りえのりくとも味のある夫婦でした。同時期終了の「クロサギ」にも前半のラスボスとして出ていて、これから頻々とオファーがありそうです。「クロサギ」はマンガ原作、平成版山下智久主演のリメイクですが、山Pドラマでさえもうかなり前なのかと、ここでも時代は新しいジャニーズ系しかも退所予定キンプリ平野紫耀、今年の朝ドラで賛否あった「ちむどんどん」黒島結菜井之脇海の料理店コンビが再共演してました。

 「クロサギ」にはシロサギ白崎役で山本耕史が出ています。メフィラス星人人間体もそのキャラのまま演じた山本は。新選組、真田丸の三谷大河に続き鎌倉殿で義時を支えほぼ出ずっぱりでラストを迎えた三浦義村役でした。10月の前の夏クールになりますが公取を描いた坂口健太郎主演の「競争の番人」で最初の敵役。この番組は大河の政子役の小池栄子もレギュラーで出ていて主演の坂口健太郎とともに3人が大河掛け持ち。4月時期の綾瀬はるかの主演ややマニアックなミステリドラマ化「元彼の遺言状」にも頼朝大泉洋と共演しています。義経約菅田将暉も1月期の「ミステリというなかれ」で主演していました。これも面白かったです。鎌倉殿で掛け持ちがなかったのは完全主役の小栗旬ぐらいだけみたいで、昔の大河では考えられないスケジュールの調整が難しい裏話は山のようにありそうです。

 鎌倉殿で後半の重要な役どころを演じた坂口健太郎、やや地味なイケメンキャラでしたが、昨年前期の朝ドラ「おかえりモネ」の菅沼先生で主演して、主演清原果耶の萌音と淡い雰囲気の相手役で「俺たちの菅沼」としてブレイクしました。 

 その清原果耶、NHK出演も「透明なゆりかご」「朝が来た」「なつぞら」その他数多く優等生的な感じの強い彼女が、ややあざとく怪しい霊媒探偵城塚翡翠を演じた「霊媒探偵城塚翡翠」とそれに連なる「invert城塚翡翠倒叙集」評価が難しいところです。これまたマニアックなミステリの映像化です。
 原作者とのトラブルもあったようです。ただ元々ある程度人気女優で映像化するような意図もあるようなキャラミス的な作品でありながら、倒叙や叙述トリックなど普通には映像化が難しい矛盾を抱えたホンでしたから、まあ作者のこだわりが強くそれなりにはよくできています。結局作者が脚本をほとんど書いたような裏話です。
 10時半というプライムですが、「朝が来た」でも共演した主演級の小芝風花、瀬戸康史(鎌倉殿で「トキューサ」こと北条時房を演じ蹴鞠などもこなした)を脇に使いながらも、視聴率はやや苦戦したようです。
 最終話はテレビ的に映像TRICKを加え、全話に伏線を張って作者みずからが原作と違うなかなかすごい結末を用意していました。しかし、翡翠と小芝風花演じる真ちゃんが悩みは抱えるも可愛くきゃぴきゃぴ過ぎて、多くの人はそこで深くミステリの細かい部分まで行かず、キャラミスに思えてしまうでしょう。あざというのが嫌いな人は避けてしまいそうです。倒叙ミステリということで刑事コロンボの系譜、三谷幸喜の『古畑任三郎』ばりに出演者がテレビ視聴者に謎解きと挨拶をするのも、知っている人にはニヤリですが、知らないとなんやこれになっているのかもです。
 平成の古畑と比べられない低視聴率は残念ではあります。それと、ネタバレになりますが、原作を変えて最後の話は城塚翡翠を真が変装を早々に犯人に見破られたことにして、目撃者役も翡翠のなりすましではなく翡翠に雇われた別の人物に設定にしたのです。ここはやはり無理しても最後まで真が翡翠に変装したままでもできたのではとも考えます。大どんでん返しで最初から小芝風花が城塚翡翠だったというのを推理していたファンもいました。小芝さんの贅沢なキャスティングがそれかなとも思わせました。

 「鎌倉殿の13人」でナレーターだったのが長澤まさみさんで今クール「エルピス 希望あるいは災い」ではセクハラを受けたりのアラサー元人気アナウンサーを好演してました。鈴木亮平や三浦透子など脇も良かった。ほとんど見逃し配信でしたが、内容は鋭い地上波ではぎりぎりよく内部事情も描いたような感じは受けます。鎌倉殿前半のヒロインだった義時最初の妻八重を演じた新垣結衣とともにすっかりアラサーの実力女優です。永野芽以との「ハコヅメ」が人気だった戸田恵梨香も結婚、妊娠とありながらも同世代でいい仕事をされています。川口春奈「silent」その他いくつかのドラマ割愛させてもらいます。
 石原さとみ含め10代後半20歳前後から見てる人がアラサー、映画ではとだえりもそうでしたが芽以ちゃんの母親世代というあたりが、平成の世が過ぎたなあという感じです。
 令和も4年が終わる2022年12月終了ドラマ、マイペースにレビューさせてもらいました。たぶん、最初で最後、来年はもう見ない、、かな。

旬の時代が早く過ぎる

 一人の女優さん特にメチャクチャ推しでもないのですが、何だか時代の流れの速さを痛感したので話題にしてみました。

 広瀬すずさんの熱愛報道が出て、引退がささやかれてます。

 そのちょっと以前から、たまたまトーク番組の内容で、何だか残念というか心配なことをしゃべっていたので、何か伏線だったようです。

 雑誌モデルなどを経て2015年の映画「海街diary」で新人賞、助演女優賞で注目され、その後「ちはやふる」や「チアダン」など主演映画もヒットする。完璧に近い容姿と演技力で席巻し、2019年にはNHK朝ドラ「なつぞら」主演、紅白歌合戦もその前年から2年続けて司会をこなしました。昔は若手女優の登竜門だった朝ドラに今さら広瀬すずという最強のビックネームをという感じでしたが、あれが3年ほど前20歳過ぎた頃でした。

 いわゆる顔面偏差値の高い、瑕疵を見つけるのも難しいような美人女優で、これから一時代が来るのかと思われました。

 私自身はアイドルの群雄割拠時代で、美人過ぎて個性がないような感じで特にファンではありませんでした。滋賀県で仕事をしていたので、女性だけど広瀬すずが好きだという同僚がいて、いろいろ魅力を教えてもらったり、ちはやふるの映画ロケ地を辿った思い出がある程度でした。

 もちろんどんどん演技も達者な、美しい若手女優が後から後から出てくるのですが、2020年を過ぎて、明らかに広瀬すずのパワーは落ちます。旬が過ぎたのか、元々コアなファンが多くなく作品にも恵まれなかったのか。ちはやふるでは引き立て役のような助演者の上白石萌音や清原果耶がその後の朝ドラに抜擢され、「旬」はそちらに行ってしまいます。

 前出のトーク番組で語った。10代前半の小さい頃から姉を追いかけて芸能界入りして、「ほとんど学校生活も青春も恋愛も経験がない。恋愛も青春もこんなもの何だろうかなと想像して演技していた」

 何だか、それを言ったらおしまい。俳優としては禁断の発言のような気がします。女優として虚構に生き続けるより、リアルな生き方をしたいとの願望だったのでしょうか。

 私の友人が好きで推した、新人の頃の情熱があり、ひたむきな演技は徐々に消え輝きを失ったのは、そのあたりが原因かもと想像します。

 昭和の時代の吉永小百合さんのように時代を築き、ブライベートをあまり語らず見せず生涯女優として生きていく人などもう出ないでしょう。

 「なつぞら」の主題歌だったスピッツの「優しいあの子」は今もよく聴き歌います。散策した近江神宮のみどり紅葉を思い出すと、わずか3-4年で時代が流れ、人はターニングポイントを迎え、悩み抜く時を経ます。旬の人やモノがだんだんと置き換わっていくなあと少しセンチに切なく思います。

「見逃し」の無い時代

 私の子供が小さい頃、地方に住んでいたのでたまに関西でしかやってない映画や子供が喜びそうな番組を親が録画してくれていました。
 操作もままならない老夫婦が頓珍漢なこともしていました。まだVHSが往生する寸前ぐらいでその後DVDだと機器の互換性が下がりそんなことも難しくなりました。
 今はリアルで視聴できず録画もできずとも、見逃し配信サービスがあります。昔の映像、映画やドラマもBSやCSはじめその他の配信サービスを探せば、問題があって放送禁止以外はたいてい見れます。
 チャンネル争いで兄弟げんかしていたころに比べると、テレビが見れなくてもすぐスマホというのが今の子供たちです。
 昔の優れたものとも対抗していかないといけない今の制作者はそれなり大変です。その上、多チャンネル化、働き方改革、テレビ離れで予算も時間もないのでしょう。
 それだけテレビ地上波もスカスカになってきています。
 ちょっと前に引退した先輩が暇で鬼平犯科帳ばかり見てるというのを、バカにしていましたがそんなものなのかもしれません。

昭和33年 映画が娯楽の全盛 都会と地方は格差はもっとあった?

松本清張原作、野村芳太郎監督の『張込み』上映は昭和33年1月でした。日本の映画館入場者数は昭和33年(1958年)に年間11億人に達し、入場者数がピークになった年でした。
 街の大きな娯楽や、情報伝達も映画だった時代で。テレビの家庭への普及は翌昭和34年の皇太子ご成婚(平成の天皇)が契機ですから、映像ニュースは映画館が主流だったのです。
 清張原作の短編をより人間の業、情念を深く描いているとともに、時代の風俗、都会と地方の情景も良く描かれています。
 鉄道マニアには冒頭出てくる、東京発西鹿児島行きの「急行さつま」帰路長崎からの「急行西海」の映像も垂涎ものです。ときおり映る機関車、駅名標。沿線風景も貴重な映像ですし、このような長距離を立ったままや、硬い直角の座席で一昼夜過ごす旅も過酷そうですが当時は当たり前だったのでしょう。
 ストーリーとしてはネタバレにもなりますが、平凡で地味な日常に終始する28歳の主婦が究極的な選択の運命に翻弄されます。年齢といろんな習慣、世相も今とは違いますが、なかなかにどんな時代でもあり得る選択肢です。
 戦後の復興、地方にも活気はあったのも描かれています。しかし首都圏までの交通の便や、文化やインフラは大都市中心に進んだことも如実に分かります。地方で犯人を追いかける刑事が走る道がまた舗装もされず過酷なのです。すでに多くのネオンの描かれた東京との格差はある意味当時の方が大きかったかもしれません。

「Fukushima50」名も無き人たちが日本を救った

門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を原作とした映画「Fukushima50」が公開されました。
やはり涙なしには見れませんでした。
9年前、テレビ報道でこの一連の原発事故を一喜一憂しながら見ていた世代でも詳しい内情はもともと知りませんし、忘れていたこともあります。
今のこの映画の評判にしろ、原発関連のいくつもの本も、推進派反対派左右に分かれて恣意的なものも多く、全ての真実を知ることはもはや難しいかもしれません。
しかし米国や海外から賞賛された、命を張って大事故を防いだこの50人。「Fukushima50」が早々に逃げ出していたら東日本は壊滅的な打撃へと広がっていることは間違いありません。
総理や東電幹部の当時の言動や行動を今さら批判してもしょうがありません。我々離れたところの一般市民も同じです。
その現場に居合わせ、その原発に携わった運命に逃げることなく、(あるいは逃げられずでもいいでしょう)日本を守り故郷の被害を少しでも食い止めた彼ら。そして消防、土木、警察、自衛隊などの人々もよく仕事をしてくれたのです。
美しい山河、恵まれた文化、産業、伝統ある日本を縁の下で支えるのは常に名前が世間にそれほど知られることもない人たちです。
山奥に道路や鉄道、電柱、鉄塔を見るたびにそんなことも思われます。