簡単には語れない赤字ローカル線廃止

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 JR西日本が先月末、赤字ローカル線の最新の収支(2020年度~2022年度の平均)を公表しました。 東日本や三島のJRも苦しい線区を公表していますが、ここは西日本からですみません。
 公表されたのは、2019年度時点で1キロ当たりの1日の平均乗車数「輸送密度」が2000人未満だった17路線30区間です。  対象となった主な路線の2020~2022年度の「収支率(運輸収入÷営業費用)」と100円稼ぐのにかかる費用を示す「営業係数」、2022年度の1日あたりの「輸送人員」のワーストから並べると下記のとおりです。
 ・芸備線(東城~備後落合)0.6%/1万5516円/20人
 ・木次線(出雲横田~備後落合)1.8%/5695円/54人
・大糸線(南小谷~糸魚川)2.6%/3835円/108人
・芸備線(備後落合~備後庄原)2.6%/3777円/75人
・姫新線(中国勝山~新見)2.7%/3745円/132人
 ワースト区間の芸備線は1日利用わずか20人、100円稼ぐのに1万5516円です。
近畿圏でも、このほかに加古川線、山陰本戦、播但線、関西線、紀勢線、小浜線など多くの路線が赤字で、JR西日本は、これらの路線については「大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に発揮できていない」として、沿線自治体と課題を共有することで、鉄道の上下分離などを含めた協議を進めていきたい考えです。
 都市部を抱える、私の住む京都府やその他近畿の兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県なども中には過疎路線を抱えています。
 廃止や三セク化、バス転換もかなり現実味を帯びています。ワースト5は一部末端区間とはいえ、その近くも似たりよったりで、貨物輸送でもなければ、線ごとの廃止などの処置も十分考えられます。
 青春18族が、シーズンの休日に乗る時は、多少なりとも乗客はいますが、オフの平日などはからっきしで空気を運んでいるのが良く分かります。買い物や通学、通院に必要と議論してもそもそも利用されていないのです。
 観光といっても、鉄道だけでは観光地の目の前には行けません。通院や買い物も同じなのです。駅前に大型の商業施設や病院でもあれば違いますが、そちらはクルマのテリトリーというケースが大半です。
 高速での快適な移動でも、きめ細かな日常への用務でも、鉄道がクルマに勝てないのです。
 それでも、鉄路は遠くに繋がり、夢があります。カッコいい電車が走れば、子供やファンは目を輝かせます。三陸鉄道にしろ、只見線、仙石線など被災で復旧、再開した路線が復活した時の、地元の喜び、子供たちの歓声は心に響く、特別のものがあります。
 大人というのか、政府のトップが日本全体の交通体系、ネットッワーくの中で、鉄道の在り方を考えないといけません。ただ赤字だから、どんどん廃止でいいものなのかです。
 故田中角栄の日本列島改造論ではないですが、かつて地方各地の政治家は、北陸や東北、山陰、四国はじめいわゆる今のJRでの三島会社のエリア含めすべての地方に新幹線をめぐらせ、大都市圏に地元が劣らない利便を持つことが日本の発展と考えて、力を入れて綱引きもしたわけです。
 新潟を皮切りに新幹線が早めにできたところと今ようやくというところ、鉄道が空白に近いままの地域もしくは、ローカル線のままのところでは、地方間でも大きな差になりまあした。かつては、街道や海路の港や宿場で栄え、耕作地もある地域でも今は過疎で見捨てられそうなもったいない土地もあります。
 航空会社、鉄道会社、道路公団がバラバラでは物流も人の流れは上手くいきません。政治が道を開き、コロナ後でもリアルが必要で、住んでいける国土、地方を今創生しないといけないのです。

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