テレビや世の中のウラが分かる 書評:「君のクイズ」小川哲

 今年はジャニーズや宝塚の問題、自民党議員の裏金問題で、芸能界や政治、社会の仕組みの根幹が揺さぶられた年でした。
 大晦日でも、プロレスのキラーカーンや、吉本のお笑いでは坂田利夫さんの訃報までありました。

 年末押し詰まって最後の日でも読書レビューかと思われますが、この本はまさにそういうエンタメやメディア社会の仕組みを考察できる興味深さで一気読みできます。
 本屋大賞、ミステリランキングにも入っていますがミステリというには、殺人などの事件ではない漠然とした謎で、ネタバレになりますので結末は書きませんが、テレビやエンタメの業界はどういう風に題材を求めてどうつくられるかが、良く分かります。私もそういうものかと思っていたこともあれば、クイズのプロの世界はじめ、テレビの編集などに関しても初めて詳しく分かったこともあります。
 ミステリ的な本の中味に関しては、画像にある通りの導入です。Q⁻1というクイズナンバーワンを決める架空の番組が設定されています。
 G-1やM-1、Kー1といったメジャー大会が各業界にありますが、結局はそのトップを決めるのも演出があり似たような背景があると、勘だかい読み手はすぐ想像できると思います。
 全てがヤラセとか八百長ではないけれども、その境界線がグレーなのです。
 かつて、力道山やら馬場、猪木のプロレスでも真剣だと信じて声援を上げ、レコード大賞も紅白もよく売れたその年の優れた曲と歌手が選ばれ競い合っていると信じて誰もが見ていた時代がありました。大相撲で忖度や無気力な相撲があれば、その事情をスクープした雑誌が大きな物議を醸した時期もありました。
 興行であり、エンターティメントであり、映えのするコンテンツであり続けないといけないという見方がわかれば、おそらく今のテレビやメディアの裏、社会はすぐに見えます。
 クイズ王になるような人の知識、東大に入るとか医者や司法試験に受かるアタマの人にはやはり敬服します。
 

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